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あたたかいですね の小説カバー

あたたかいですね

現代の日本を舞台に、運命に導かれるようにして巡り会った男女が紡ぐ、切なくも温かな過去の恋の記憶。物語の始まりは、日常のなかに潜んでいたほんの些細な出来事でした。見知らぬ他人同士だった二人は、その偶然の出会いをきっかけに、少しずつ言葉を交わすようになります。最初は距離のあった二人の関係ですが、共に時間を過ごし、互いの内面に触れていくうちに、凍てついていた心は次第に解きほぐされていきました。いつしか二人の間には、他者には踏み込めない特別な絆と、穏やかで心地よい信頼関係が芽生え始めます。それは、どこにでもあるようでいて、二人にとってはかけがえのない、美しくも繊細な愛の軌跡でした。本作は、そんな二人が歩んだ日々と、心の奥底に刻まれた忘れられない恋愛模様を丁寧に描き出しています。ふとした瞬間に思い出す、あの時の体温や空気感。過ぎ去った時間の中で、彼らが何を感じ、どのようにして心を通わせていったのか。現代という時代を背景に、静かに、そして深く心に響く大人のための純愛ストーリーが、今ここにつづられます。
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寒い冬の夜。お湯割りの焼酎を飲みながら、過去を懐かしむ。

「出会ったのも冬だったね」

 ポツリと呟く。湯気が浮かんでは消えていく。

「あの時キミが、あの言葉を言わなかったら今こうしていないんだろうな」

 学生時代の事だ。同じ学校に通っていた彼女とボク。学年もクラスも違っていたけれど図書室でお互いちょこちょこ見かけているくらいの認識はしていた。

「貴方と居ると、寒い冬も暖かい、か」

 彼女に言われた言葉を頭の中で繰り返す。実際この言葉がプロポーズのセリフみたいなものだ。

 みたいな、というには理由がある。実際には結婚はしていないという事だ。

「今も暖かいかい?」

「もちろん」

 彼女は頷き返す。それだけでボク達は幸せだ。ボクはお湯割り焼酎、彼女はぬる燗を。おつまみは二人でチーズを食べている。

 これから語るのはボクの過去。既に過ぎ去った事だ。

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