
あたたかいですね
章 2
「さて、今日も大学に行くかぁ……」
ボクは憂鬱なのを隠さずに呟く。時期は冬、マフラーを巻いてトコトコと駐車場まで歩く。そして愛車の軽のドアを開けると鍵を差し込み回す。
最近バッテリーが弱っているのか寒さのせいなのか少しエンジンに火が入るまで時間がかかる。来年の春に車検なのでその時に見てもらう事にして、今はなんとか走って貰う。
「寒っ」
幸いフロントガラスは凍結していなかったものの車内は極寒。エンジンがかかって暖房を入れる。本当はあんまりバッテリーには優しくはないけれども寒さには代えがたい。
「行きがけにコンビニでも寄ってコーヒーでも買っていくか……」
そして駐車場から出て大学へ。
やはり通勤通学時間だからか道路にはそこそこの活気があり、歩道には学生の姿が多い。
欠伸を噛み殺しながらコンビニに入り、車を止める。
「いらっしゃいませー」
コンビニの店員さんがこちらをチラッと見てから挨拶してくる。
ボクはペットボトルのお茶とパン、そしてレジ横でホットコーヒーを購入する。まぁこれがいつものルーチンワークだ。
「ありがとうございましたー」
店員さんに見送られボクは車に戻りコーヒーを一口飲んでホルダーにセットする。パンとお茶はバッグの中に入れておく。
「さて、と。行くか」
ボクは再び車を走らせて大学へ向かう。
退屈な教授の講義を聞きながら、なんとなく空虚な感覚を胸に抱える。
何故ボクはこんなにも虚しいのか、と。そして、それを埋めるにはどうすればいいのか、と。
それを自分で把握できるのであれば苦労はない。わからないから空虚で、苦しいのだ。
そんなボクはよく図書室に通う。好きなアーティストが言っていた言葉。
「学校の勉強がイマイチなら本を読みな」と。
嘘をついて、自分に害を与えるヤツを見分ける事ができるようになる、との事。
そして今日もボクは先週借りた本を返却しに図書室へと向かうのだった。
「あの、返却なのですけど」
「ああ、カードを読ませてくださいね」
ここは学生証とレンタルしている本を紐付けしているので学生証を提示して本を返却すればそれで終わりである。
「はい、ありがとうございます。返却確認しました」
係員さんの言葉を聞いてボクは図書室を後にしようとした。
「ん?」
視界の端にこちらを見ている女子生徒が映る。そちらを向こうとすると彼女はすぐに目をそらして手元の本へと視線を向けるのであった。
まぁ気にしていても仕方ないのでこちらも図書室を出る。そして帰宅するべく駐車場に向かう。
「なんか眠いな……。少し体もダルい」
風邪でも引いてしまったかな、と考えながら車に乗り込み帰り道を走らせる。風邪だったら久々なので熱とかそこそこ出るかもしれない。
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