
死に戻りの私は、清廉ぶる姉を地獄に引きずり込む
章 2
姉上の言葉が、地に打ち付けられるように響いた。
地にひれ伏したままの私は、されど前世の如く沈黙を守りはしなかった。歯を食いしばり、すっくと立ち上がったのだ。
「姉上は間違っております。如星は、落霞峰へ入るつもりはございません」
私の目には、両親を亡くした悲しみと無力感から涙が溢れていた。
「姉上のおっしゃる通りです。両親は亡くなったばかり。三年の孝期、もし私がここを離れてしまえば、一体誰が二人を弔うのですか?」
姉上の顔が引きつり、その表情は崩れ落ちんばかりであった。声も思わず甲高くなる。「ですが、お前の先ほどの態度は、明らかに両親と私を見捨てて、一刻も早く立ち去りたいというものではなかったか!」
前世の私は、確かにここを離れたいと焦っていた。ゆえに、その焦りが表情にも表れていたのだろう。
掌門の探るような眼差しが私に注がれる。私は臆することなくその視線を受け止め、まっすぐに見返して頷いた。
「はい。確かに、ここを離れたいという考えはございました」姉上が口を挟むより先に、私は言葉を続けた。「あの時は憎しみに心がくらみ、仙術を修めれば両親の仇を討てるものと、ただそればかりを考えておりました」
「ですが今は、姉上のお言葉こそが正しいと存じます。両親の亡骸もまだ冷めきらぬうちに、どうして娘である私がここを去れましょうか。それは、あまりに大きな不孝にございます!」
「仇討ちにつきましては……君子の復讐は十年を待つも遅からず、と申します。三年、待つ覚悟はできております」
掌門は感心したように私を見つめ、しばし沈思したが、すぐには可否を示さなかった。
姉上の顔色が悪くなるのが、手に取るようにわかる。
彼女は口先では入門を拒んでいたが、その心では誰よりも、仙気に満ちたあの落霞峰へ行くことを渇望していたのだ。
己の計画がすべて打ち砕かれ、掌門の心の中にある私の印象を貶めるどころか、私の言葉が原因で自分まで仙門に入れなくなるやもしれぬ――。
姉上は私の腕を掴むと、宗主の存在すら意に介さず、耳元で囁いた。
「落霞峰がどれほど素晴らしい場所か。霊気も霊薬も、こことは比べものにもならないのですよ?あなた……本当にこのまま諦めるというのですか?」
その声には、私を唆す響きが色濃く含まれていた。
私が誘惑に屈し、自ら宗主について行きたいと言い出すのを待ち望んでいるのだ。そうなれば、彼女は再び道徳という高みから、大義名分を振りかざして私を糾弾できる。
私を踏み台とし、ただひたすらに高みを目指す。長きにわたり、私は姉上のための捨て石に過ぎなかった。
私の存在は、彼女の「菊のごとく淡泊で、何事も争わぬ」という人格を引き立てるための緑葉でしかなかったのだ。
だが、私はもう前世のような純真な李如星ではない。
私は悲しみに打ちひしがれたふりをして、両親の亡骸の前へと崩れ落ちた。
声を詰まらせ、涙で瞳を潤ませながらも、しかし、この上なく固い決意を込めて答えた。「私は、落霞峰へ入る機会を辞退いたします!両親のため、三年間、喪に服しとうございます!」
「掌門、誠に申し訳ございません。三年の孝期を終えた後、必ずや試練に臨み、正々堂々と貴方様の弟子となります!」
言い終えると、私は恭しく三度、音を立てて額づいた。
姉上は、完全に呆気に取られている。
何かを言いたげであったが、あまりにわざとらしくなるのを恐れたのだろう。
手にした絹の布は、ねじ切れんばかりに強く握り締められていた。唇をわななかせたが、ついぞ一言も発することはなかった。
私は心の中で冷笑した。
姉上は気づいていない。掌門が彼女に向ける視線に、すでにいくばくかの探る色が混じっていることに。
彼女はまだ修行の世界に触れておらず、知る由もないのだ。掌門ほどの仙道を修めた者ならば、たとえ十里離れた場所の囁き声さえ、はっきりと聞き取れるということを。
これほどの歳月を生きてきたお方が、姉上の言葉に隠された暗示を聞き逃すはずがない。
私の一連の振る舞いは、それまで態度を決めかねていた掌門の心を、ついに固めさせた。
掌門は歩み寄り私を立たせると、称賛に満ちた眼差しで言った。「そなたは、実に良き子だ。私は喜んで掟を破り、そなたを我が直弟子として迎え、山で修行をさせよう。入門の儀は、三年の孝期を終えた後に、改めて執り行えばよい」
「そなたの両親の後のことは、私が人を遣わして手伝わせる。二人を弔い、安らかに土に還したならば、私と共に参るのだ」
その言葉は、前世と一言一句違わなかった。
ただ――その対象が、姉上から私に変わっただけのこと。
「ありがたき幸せにございます、掌門!」私は声を張り上げた。「この御恩、如星、決して忘れませぬ」
「うむ、良き子だ。何か困ったことがあれば、いつでも私を訪ねてまいれ」
掌門は私の頭をそっと撫で、一つの巾着を手渡すと、ある場所の名を告げて去っていった。
その背中が見えなくなると、姉上は先ほどの菊のごとき淡泊さをかなぐり捨て、顔色を豹変させ、抉るように私を睨みつけた。
わかっている。彼女は、私が彼女の筋書き通りに動かなかったことを怨んでいるのだ。本来、この絶好の機会は彼女のものとなるはずだったのだから。
しかし姉上、元より誰かのものだと定められているものなど、この世に何一つないのですよ。
前世で彼女が手に入れたものすべて、私の血肉を糧にして得たものではなかったか。
この私という引き立て役を失くして、あの「菊のごとく淡泊」な仮面が、果たしていつまで保つものか。
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