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彼女の復讐、彼の破滅 の小説カバー

彼女の復讐、彼の破滅

息子の死は薬物過剰摂取による自殺と断定された。だが鑑識官である私は、自ら検分した遺体が発する「殺人の証拠」を見逃さなかった。真実を求めて七度の再審を請求したが、検事正の榊宗一郎はそのすべてを棄却。二十年尽くした組織は、権力で殺人を隠蔽したのだ。司法に裏切られた私は、法を捨て復讐者となる道を選んだ。榊の娘・麗を拉致し、凄惨な拷問の様子を世界へ配信。かつての恩師や息子の恋人・亜希が説得に現れ、息子の鬱病や遺書を盾に私の正気を疑わせようとする。一時は自責の念に駆られたが、私は遺書に隠された秘密の暗号に気づく。それは幼い頃に愛読した絵本を用いた、息子からの必死の救助信号だった。彼が最後まで抗っていたことを知り、私の迷いは氷解する。神奈川県警の特殊部隊が包囲し、突入の瞬間が迫る中、私は偽りの遺書を拒絶した。息子の叫びを握りつぶした者たちへの怒りを胸に、私は再び麗の肌に鑑識道具を突き立てる。この残酷な儀式は、正義が死んだ世界への、母親としての最期の宣戦布告だった。
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画面から溢れ出る憎悪を、私は無視した。時計を見つめる。さらに十分が、遠くのサイレンと、警察指揮本部から聞こえる必死の、くぐもった叫び声だけを伴奏に、苦痛に満ちた沈黙の中を過ぎていった。

その時、榊宗一郎が再び画面に現れた。今度は演台の後ろだ。記者会見。彼はファイルを掲げた。

「この恐ろしい状況を打開するため」

彼は張り詰めた声で発表した。

「遠山陸氏の死亡に関する、完全な捜査ファイルを公開します」

一人の警官が記者にコピーを手渡す。その書類が、彼の後ろのスクリーンに映し出された。

私はスクリーンに目をやった。穂村教授が署名した、あの偽造された検死報告書。亜希の、改竄された証言。同じ嘘の羅列。

私は一言も発しなかった。

三つ目の道具を手に取る。焼灼ペンだ。

手首をひねり、スイッチを入れる。先端が鈍く、怒りに満ちた赤色に輝いた。

指揮本部の誰かが反応する前に、私はその熱い先端を、麗の腕のステープルのすぐ上の皮膚に押し当てた。

ジュッという小さな音と、肉の焼ける匂い。小さく黒い痕が、永久的な烙印として、少女の肌を汚した。

「あと五回」

私は、かろうじて囁き声で言った。

榊宗一郎の顔が真っ白になった。彼が手にしていた書類は嘘の塊に過ぎず、そして私がそれを知っていることを、彼も知っていた。彼はまた一つ、機会を無駄にしたのだ。

私はメスで麗の腕に、浅い切り傷をつけ始めた。深刻な傷にはならないが、細い赤い線が肌に引かれ、目に見えるカウントダウンとなる。

「これは、その報告書ではありません」

私は冷静に告げた。

「私が欲しいのは、本物。あなたがたが葬り去ったもの。私の息子を轢いた車を運転していた人間の名前が知りたい」

私はカメラを、彼を、真っ直ぐに見つめた。

「もう一度私を騙そうとしたら、次は、彼女の顔に傷をつけます」

榊は演台からよろめき後ずさった。彼の権威の仮面は崩れ落ちていた。彼はスクリーンを、私が彼の娘の腕に引いている赤い線を、見つめていた。そして初めて、彼の目に自己保身以外の何かが、生々しい恐怖が、ちらついたのを私は見た。

志保はヒステリーを起こしていた。

「彼女に渡しなさいよ、あなた!お願いだから、言う通りにして!」

彼女の完璧な化粧が、黒い筋となって顔を流れ落ちていた。

しかし、彼は固く顎を引き、首を横に振った。

「できない」

私は彼らを、一人の母親と父親を、見つめた。そして、笑い声に近い音を漏らした。それは空虚で、痛みに満ちていた。

「あなたの気持ち、わかるわ、志保さん」

私の声は、物理的に喉を締め付けているかのような深い悲しみに、かすれていた。

「私も母親だから。自分の子供が苦しむのを見るのが、どんなことか知っている。あなたは今、私がこの半年の間、毎日感じてきた痛みの、ほんのひとかけらを味わっているだけよ」

ネットのコメントが再び噴出した。

『楽しんでるって認めてる!病気だ!』

『死んだヤク中の息子と、この罪のない幼い女の子をどうして比べられるんだ?』

『自分の息子が負け犬だったって認めて、あの子を解放しろよ!』

私には聞こえなかった。私の世界は、この白い部屋と、この小さな少女と、私の息子の命と名前を奪った人々の顔だけに、狭まっていた。

時計の針は進んでいる。また一つ、機会が燃え尽きようとしていた。警察は近づいている。わかっている。だが、真実もまた、近づいていた。これは競争だ。そして、息子のために、私は負けるわけにはいかなかった。

彼らはまた試してきた。別の書類を提示した。毒物検査報告書。同じものだ。ただ単独で提示しただけ。時間稼ぎだ。

私は何をすべきか、わかっていた。私の心は、氷の塊のように硬化した。私は再び、焼灼ペンを手に取った。

今度は、彼女の脚へと動かした。

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