フォローする
共有
蹂躙されるのはあなた達よ〜覚醒した天才神医と最狂ドンの淫らな執着〜 の小説カバー

蹂躙されるのはあなた達よ〜覚醒した天才神医と最狂ドンの淫らな執着〜

天才外科医としての顔を隠し、愛のために家庭を守ってきた桜井知美。しかし夫の田中鴻太は、帰国した初恋の女性と彼女を比較し「メスも握れない専業主婦」と蔑んで離婚を突きつける。夫の家族からも、失踪した母を侮辱され続けた知美だったが、彼女の正体は国連軍最年少の執刀医であり、欧州マフィアの首領を父に持つ令嬢だった。離婚を決意し、本来の居場所へと戻る彼女。再会した父の傍らには、圧倒的な権力を誇る最狂のゴッドファーザー・鷹司丈嗣の姿があった。医学サミットの場で、かつて見下した元妻が伝説の神医であることを知り、田中は己の愚かさを痛感する。一方、鷹司は知美に対し、狂気的なまでの独占欲を剥き出しにする。「他の男を見るなら、そいつを消し去る」と囁き、壁際へ追い詰めては彼女の傷痕に口づける鷹司。知美は彼の常軌を逸した愛に戸惑うが、冷酷なはずの男は彼女の前でだけは跪き、壊れそうな声で愛を乞うのだった。地位と名誉を取り戻した知美の、逆転劇と激しい執着愛が幕を開ける。
共有

1

知美は手にした保温ポットを抱えるようにして、田中グループの本社ビルに入った。

この一盅の薬膳スープのために、彼女は南米の地下オークションに顔の利くルートを使って、唯一出品された「静血草」を押さえ、さらに土鍋の火加減を六時間も見守り続けたのだ。

夫である鴻太の命綱は、重度の偏頭痛を和らげるこのスープに懸かっていた。

ドアを押し開けた瞬間、目の前に飛び込んできた光景は――鴻太が小泉清佳という女性に、ある封筒を手渡しているところだった。

小泉清佳。田中鴻太が心の底で忘れられずにいた、いわゆる“初恋”である。

なぜ、彼女がここに?

「嘘……信じられない! 聖ミサ年次総会の招待状じゃない!」 清佳は甘えるような笑みを浮かべて封筒を受け取ると、勝ち誇ったような視線を知美へと向けた。

「来ていたのか」物音でようやく存在に気づいたのか、鴻太が冷淡な声を出す。その視線は一瞬だけ知美の手にする保温ポットを捉えたが、すぐに興味を失ったかのように逸らされた。「そこに置いておけ」

その素っ気ない態度に、清佳はさらに得意げな表情を浮かべる。彼女はわざとらしく招待状を何度も裏返しながら、うっとりと声を上げた。

「ありがとう、鴻太さん! これって、世界のトップクラスの医学者しか参加を許されない会議ですよね……? 私がもうすぐ博士号を取るからって、こんな素敵なサプライズを用意してくれるなんて……本当に嬉しい!」

サプライズ?

入り口で立ち尽くす知美の胸に、やりきれない思いが渦巻いた。あまりにも、馬鹿げている。

あの招待状は、聖ミサ側が知美と、そして彼女の母親を医学講演に招くために特別に送ってきたものだ。

鴻太には、ただの「受け取り代行」を頼んだに過ぎない。それが今や、彼が他の女の機嫌を取るための道具に成り下がっている。

知美の母は、かつて致死性の希少遺伝病の治療法を研究するためにその生涯を捧げた。しかし、研究が実を結ぼうとした直前、何者かの陰謀によって失踪――世間からは「学術詐称」という身に覚えのない汚名を着せられた。

この五年間、知美は田中家で「料理しか能のない主婦」を演じ続けてきた。だがその裏では、屋敷の地下にある粗末な実験室に籠もり、目を血走らせながら幾度も薬剤を調整し、膨大なデータを検証し続けていたのだ。すべては、母の遺した研究を完成させるために。

そして先週、その研究成果はようやく国際医療連盟による臨床二重盲検試験をパスした。

この招待状こそが、母の潔白を証明し、同じ病に苦しむ患者たちに希望の光をもたらす、最初で最後のチャンスなのだ。

知美は一歩、また一歩と歩み寄り、清佳が握りしめている封筒を射抜くような視線で見据えた。「それを……返しなさい」

清佳の手がピクリと止まる。彼女はすぐさま、か弱い被害者を演じるように鴻太の背後へと身を寄せた。「……知美さん、急にどうしたんですか? これは鴻太さんが私に贈ってくれたプレゼントなんですよ?」

鴻太はわずかに顔を曇らせ、突き放すような冷たい声を投げかけた。「知美、それをお前が持っていても無駄になるだけだ。

すでに清佳に渡した。今さら返せなどと言うな」

「無用の長物……?」 あまりの言い草に、怒りを通り越して乾いた笑いが漏れた。知美は震える指先を隠すように拳を握りしめ、夫を真っ向から見据える。「鴻太、私の持ち物の価値を、いつからあなたが決める権利を持ったの?」

その時、傍らに控えていた鴻太の秘書、鈴木新が鼻で笑った。

「知美さん、自分の立場をわきまえたらどうですか? あなたの体の一部から、今着ている服に至るまで、すべて田中家の金で賄われている……いわば田中家の所有物だ。 医学博士である小泉さんに渡してこそ、その招待状は初めて価値を持つんですよ」

新はさらに追い打ちをかけるように、蔑みの視線を送る。

「本一冊まともに読まない専業主婦に、その招待状の重みが理解できるはずもない。宝の持ち腐れとは、まさにこのことだ」

鴻太はわずかに眉をひそめた。新の言葉が少し露骨すぎると感じたようだが、それを否定しようとはしなかった。

彼の記憶にある知美は、毎日キッチンに閉じこもり、彼の機嫌を取ることだけに腐心する女に過ぎない。そんな彼女が医学に通じているはずがない。

(……また、こうして気を引こうとしているのか)

どうせどこかで手に入れた招待状を使って、自分に注目してほしいがために騒いでいるのだろう。鴻太はそう結論づけると、教え諭すように口調を和らげた。

「清佳はもうすぐ博士号を取得する。これからの彼女が医学界で確固たる地盤を築くためには、国際的な専門家と接するこの機会が不可欠なんだ。

お前が俺の気を引きたいという気持ちは分かった。だが、こんな子供じみた真似はもういい」

(自分を証明するために、気を引こうとしている……?)

知美の垂らした指が、無意識にギュッと縮こまった。

五年に及ぶ結婚生活。彼の目に映っていた自分は、そんな浅はかな手段でしか関心を引けない「空っぽな付属品」に過ぎなかったのだ。

知美は手に持っていた保温ポットを、デスクの上にドンと置いた。激しい音を立てて蓋が床に落ち、鈍い音を響かせる。

「招待状には、はっきりと私の名前が記されています。私の所有物を勝手に他人に贈って恩を売るなんて……田中社長は、随分と気前がいいのね」

知美の冷徹な声に、鴻太が言葉を詰まらせる。知美はそのまま、清佳を射抜くように睨みつけた。「医学博士の天才である小泉さんなら、招待状くらい自力で手に入れるのは容易いことでしょう?

なぜ、わざわざ一介の主婦の物を奪う必要があるの? まさか、医学博士の肩書きを持ちながら、主婦以下の能力しかないと認めるわけじゃないわよね?」

「なんてことを言うんですか……っ!」 清佳の顔から一気に血の気が引き、その瞳にはみるみるうちに涙が溜まっていく。「鴻太さん、ごめんなさい……私、本当に知美さんのものだなんて知らなくて……。

こんなことになるなら、最初から受け取ったりしませんでした……」

清佳は声を震わせながら、封筒を知美の方へと差し出した。「知美さん、ごめんなさい。これ、お返しします」

知美がそれを受け取ろうと手を伸ばした、その瞬間――。

清佳はわざとらしく、指先の力を抜いた。

――ボチャン。

重力に従って落ちた封筒は、蓋の開いたままの保温ポットへと吸い込まれ、薬膳スープの中で沈んだ。

上質な暗赤色の封筒には、一瞬にしてどす黒い油染みが広がっていく。見るも無残なその汚れは、知美の心に泥を塗るかのようだった。

「あっ……!」 清佳はわざとらしく口元を押さえ、悲鳴のような声を上げた。「ごめんなさい、手が滑っちゃって……汚しちゃった……。どうしよう、知美さん……っ」

油にまみれ、ボロボロになった封筒を、知美はただ呆然と見つめる。 脳裏に、今は亡き母の穏やかな声が蘇った。『私の知美が、お母さんの夢を継いで、世界で一番立派なお医者様になりますように』

それは、母が命をかけて遺した願い。

知美は糸が切れた人形のように、ゆっくりとその場にしゃがみ込んだ。

「……紙切れ一枚、まともに受け取れないのか」 頭上から降ってきたのは、鴻太の冷ややかな声だった。彼は台無しになった招待状を一瞥し、不機嫌そうに眉をひそめる。

「もういい。所詮はただの紙だ。汚れたものは仕方がないだろう」

「…………」 知美は何も言わず、震える指先でティッシュを取り出すと、封筒に付着した油を一点一点、丁寧に拭い始めた。

だが、深く染み込んだ汚れが消えることはない。拭けば拭くほど、母の誇りが汚されていくような気がした。 もはや、元には戻らない。

彼女はゆっくりと立ち上がった。掌の中でぐしゃりと握りつぶされた紙の感触と、食い込む爪の痛みが、崩れそうな理性を辛うじて繋ぎ止めている。

「……分かりました。招待状の件は、もうこれ以上は問いません」 知美は感情の消えた瞳で、真っ直ぐに鴻太を見つめた。「明日の午後三時、父が海外から帰港します。 一緒に迎えに行くと……そう約束しましたよね」 鴻太を、そしてこの五年間の生活を、まだ信じたいわけではない。ただ、けじめが必要だったのだ。「明日の三時、港です。待っていますから」

それが、彼女がこの冷え切った婚姻関係に提示した、正真正銘『最後のチャンス』だった。

おすすめの作品

100回目の人質 の小説カバー
7.9
裏社会の頂点に君臨する男と結婚して3年。彼の妻であることの代償はあまりに大きく、彼女は敵対組織によって通算99回もの誘拐を経験してきた。愛する妻を奪還するためなら、彼は自らの指を失い、骨を折り、巨額の身代金を支払うことさえ厭わない。そして、節目の100回目となる救出劇が幕を閉じた直後のこと。彼女は夫の身を案じて病院へ急行するが、病室の前で衝撃的な言葉を耳にする。昏睡から目覚めたばかりの夫が、部下の女性に対し「後悔している」と心中を吐露していたのだ。その後、面会した夫から「ここは君の居るべき場所ではない、海外へ行け」と告げられた彼女は、静かに離婚届を差し出した。夫はそれを、彼女の身を守るための偽装離婚という合意だと信じて疑わない。しかし、彼はまだ気づいていなかった。彼女の決別が偽りのない本意であること、そしてこの別れを機に、彼女の行方を二度と追えなくなるという残酷な真実に。
最悪の夜に私を奪った男は、潔癖症の億万長者 の小説カバー
8.0
新婚の夜、花婿を待つ彼女の運命は、見知らぬ男の侵入によって無残に引き裂かれた。この事件をきっかけに、彼女は姑から執拗な辱めを受け、夫からは冷酷に見放されてしまう。さらに夫の愛人からも嘲笑を浴びせられた末、住み慣れた家を追い出されるという絶望の淵に立たされた。しかし、彼女には敏腕弁護士という隠された顔があった。自分からすべてを奪った男を裁くため、彼女は法廷で戦う決意を固め、訴状を叩きつける。だが、その相手は街で一番の富豪として知られる男だった。彼は派手な女性遍歴を持ちながらも、実は重度の潔癖症で、激しい感情の起伏と強引な性格を併せ持つ厄介な人物だった。男はあらゆる手段を駆使して彼女に結婚を迫り、執拗に追い詰めていく。法によって復讐を遂げようとした彼女だったが、皮肉にもさらなる波乱に満ちた泥沼の展開へと巻き込まれていくことになる。富と権力を手にした億万長者の横暴な愛に、彼女の日常は再び激しく揺れ動いていく。
私を捨てるなら、全部持って行っていい の小説カバー
8.8
結婚から三年間、唐澤晩香は夫の岩田皓輝が仕事に励んでいると信じ、夜の営みがない生活も耐えてきた。しかし最愛の母を亡くした日、夫から突きつけられたのは浮気による離婚宣告だった。驚くべきことに、皓輝は新婚初夜から晩香の義妹・依奈と不貞関係にあったのだ。裏切りを知った晩香は、一切の未練と優しさを捨て、慰謝料すら受け取らずに家を出る決断を下す。周囲は「お嬢様気取りの強がりだ」「すぐに泣きつくはずだ」と彼女を嘲笑した。しかし、自立したテクノロジー企業のトップという真の姿を持つ彼女が、後悔に暮れることはなかった。やがて立場は逆転し、雨の中で跪き「行かないでくれ」と縋り付く皓輝の姿が世間を騒がせる。復縁を問う記者に対し、晩香は「自分を愛さない相手しか愛せない困った人」と冷ややかに一蹴した。そんな彼女を背後から抱き寄せたのは、表裏の両社会を支配する真の大物だった。「俺の妻を狙うなど、できるものならやってみろ」と彼は独占欲を露わにする。裏切りから始まる、華麗なる逆転劇が幕を開ける。
婚約破棄された直後、世界一の大富豪に結婚届を出させられた の小説カバー
8.6
松浦苑実は、長年にわたり秋葉健人に献身的な愛を捧げてきた。彼の好みに合わせてタトゥーを入れ、身を寄せる場所がない苦境も耐え忍んできたが、その思いは報われなかった。濡れ衣を着せられ周囲から孤立した際も、健人は助けるどころか冷酷に突き放し、幼なじみの女性に謝罪するよう彼女に強要したのである。あまりに無慈悲な仕打ちに、苑実の心はついに限界を迎えた。彼女は迷うことなく婚約を解消し、健人のもとを去る決断を下す。次に彼女が選んだ道は、千億もの資産を継承する大富豪、藤原晴樹との電撃結婚だった。二人の結婚届受理証明書がSNSで拡散され世間を騒がせる中、余裕を失った健人は「復讐のために藤原家の権力を利用しているだけだ」と晴樹を挑発する。しかし、晴樹は愛おしそうに苑実を抱き寄せると、「それがどうした。俺には彼女を支えるための金も権力も十分にある」と冷ややかに言い放つのだった。どん底に突き落とされた令嬢が、世界屈指の富豪の寵愛を受けて新たな人生を歩み出す、逆転のロマンスが幕を開ける。
捨てられ女のガチャ婚相手は、極上胸筋の(偽)貧乏人でした。 の小説カバー
8.1
入籍予定日に婚約者が他の女性と駆け落ちし、絶望の淵に立たされた伊藤結衣。彼女は役所の抽選システム「ブラインドマッチング」に運命を託し、出会ったばかりの運転手・神谷宗介と即日結婚を決意する。周囲からは、貧乏な男を選んだ結衣の将来を案じるふりをした嘲笑や、裏切った元婚約者からの勝手な非難が浴びせられた。しかし、結衣は夫の逞しい大胸筋を愛でながら、世間の冷ややかな視線を一蹴して幸せを噛み締める。そんな彼女を哀れむ声が止まない中、事態は急展開を迎える。会社主催のグローバルな式典において、スポットライトを浴びたのは、結衣が養ってきたはずの「貧乏な夫」だった。彼はステージ上で跪き、最高級のダイヤモンドを手に「ゲームは終わりだ、これからは私が君を養う」と宣言する。ネット上で話題を独占していた「世界一の富豪を射止めた幸運な妻」の正体は、他ならぬ結衣自身だったのだ。大逆転のシンデレラストーリーが今、幕を開ける。
喪服の純潔と、冷酷上司の重すぎる執着 の小説カバー
9.5
5年前、愛を信じて貧しい恋人と駆け落ちを約束した私は、当日に彼に裏切られ、無残にも捨てられた。街中の笑い者となった私に待ち受けていたのは、重病を患う相手との政略結婚という過酷な運命だった。それから5年が経過し、夫の死によって結婚生活は幕を閉じ、私は行き場を失って嫁ぎ先を追い出されてしまう。絶望の淵にいた私の前に現れたのは、かつて見下されていた過去を拭い去り、ビジネス界の寵児として凱旋したあの時の恋人だった。彼は私の新しい上司として君臨し、冷徹な態度で私を追い詰めていく。過去の傷から彼を避けようとする私に対し、男は執拗なまでに距離を詰め、逃げることを許さない。そんな中、私が別の男性とお見合いをしている場に彼が乱入する。激しい嫉妬に瞳を赤く染めた彼は、私を壁際に押し込み、震える声で問いかけた。「君はまた、俺を見捨てるつもりか?」冷酷な上司へと変貌したかつての恋人による、あまりに重すぎる執着と愛憎の物語が再び動き出す。