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見捨てられし愛玩、マフィアの女帝 の小説カバー

見捨てられし愛玩、マフィアの女帝

8歳の冬、燃え盛る炎の中から私を救い出した黒崎龍司は、絶大な権力を握る裏社会の支配者だった。それから10年、私は彼を唯一無二の守護者として、神のごとく崇めて生きてきた。しかし、二つの組織を統一するという野望のため、彼は他家との婚約を一方的に発表する。家に連れてこられた婚約者は、周囲の目の前で私に安物の金属製首輪をはめ、「ペット」と呼び捨てて嘲笑った。龍司は私が金属アレルギーであることを知りながら、冷徹な視線でそれを受け入れるよう命じる。その夜、壁越しに聞こえてくる二人の情事の気配に、私は幼い日の約束がすべて偽りだったことを悟った。私は家族ではなく、ただの所有物に過ぎなかったのだ。10年に及ぶ献身的な愛は、絶望の中で完全に灰へと帰した。彼の誕生日、新たな門出を祝う宴の裏で、私は黄金の鳥籠を抜け出す決意をする。用意されたプライベートジェットは、私を真の父親のもとへと運んでいく。それは、龍司にとって最大の宿敵である男だった。
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美月 POV:

猫の陶器のナイトライトが、ベッドサイドのテーブルに置かれていた。

その柔らかな光は、暗闇に対する慣れ親しんだ慰めだった。

十年もの間、それは私の悪夢を追い払ってくれた。

今夜、それは嘲笑のように感じられた。

私は手を伸ばし、壁からプラグを引っこ抜いた。

部屋は息が詰まるような漆黒に沈んだ。

それでいい。

感じていたかった。

暗闇が私を丸ごと飲み込んでくれればいいと思った。

裸足が冷たい木の床を歩き、クローゼットへ向かう。

一番上の棚から、埃っぽいダッフルバッグを引きずり下ろした。

一つ、また一つと、龍司との人生の亡霊たちを集めていく。

十五歳の誕生日に彼がくれた、黒崎家の紋章が入った小さな銀のロケット。

いつか連れて行ってくれる場所、血も秘密もない場所の匂いがすると言って彼が買ってくれた、「碧の海」という名の香水の瓶。

それらすべてがバッグの中へ消えていった。

死んだ信仰の遺物たち。

ベッドの下には、鍵のかかった木箱があった。

中には私の日記。

ページをめくり、狂おしいほど乙女チックな筆跡を指でなぞる。

それは私の献身の、哀れな歴史だった。

彼からのすべての優しい言葉、すべての小さな仕草が、聖書のように記録され、分析されていた。

そして、それを見つけた。

何年も前のページ。

ライバルの組が私に「メッセージ」を送ろうと、学校帰りにチンピラを尾行させてきた後のことだった。

龍司が彼らを始末した。

私は二度と彼らの姿を見ることはなかった。

その夜、彼は私の机の上に開かれたままの日記を見つけた。

彼は何も言わなかったが、翌朝、私は彼独特の鋭く、攻撃的な筆跡で書かれた新しい記述を見つけた。

それはインクではなかった。

血で書かれていた。

『美月は黒崎の所有物だ。触れれば死ぬ』

所有物。

その言葉は、私の肺から空気を根こそぎ奪い去った。

妹じゃない。

被後見人でもない。

人間ですらない。

私はモノだった。

彼の車やアンティーク武器のコレクションのように、守られるべき資産。

彼の保護は、愛からではなかった。

所有権の問題だったのだ。

喉から、獣のような醜い嗚咽が漏れた。

狂ったように震える手で、私は日記のページを破り始めた。

大切にしてきたすべての思い出、すべての密かな希望をズタズタに引き裂き、残ったのは、自分の愚かな心の紙吹雪の山だけだった。

翌日、玲奈が龍司の隣の部屋に正式に引っ越してきた。

私の部屋。

去年、私が「女になってきた」という理由でゲスト用のウィングに移されるまで、私が使っていた部屋。

彼女は私を居間に呼びつけた。

黒崎組の幹部たち、彼の側近たちが全員そこにいて、私の屈辱のための沈黙の観客となっていた。

玲奈は、見下したような、穏やかな表情で微笑んだ。

「美月ちゃん、可愛い子。歓迎のプレゼントよ」

彼女はネックレスを掲げた。

それは私が慣れ親しんだ繊細な銀や金ではなかった。

安物の黒っぽい金属の、太くてけばけばしいバンドで、五十嵐家の家紋をかたどったきらびやかな石がちりばめられていた。

それはネックレスではなかった。

首輪だった。

息が止まった。

私は安物の合金にアレルギーがある。

龍司はそれを知っている。

かつて、学校の友達がくれたブレスレットを見て、私の手首に赤い発疹ができているのを見た彼は、嫌悪に唇を歪めながらそれを捨てたことがあった。

私は彼を見た。

目で懇願した。

『やめて。お願い』

彼の顔は無関心の仮面だった。

彼は私の視線を受け止め、その黒い瞳は冷たく空っぽで、判決を下した。

「受け取れ」

彼の声は平坦だった。

決定的だった。

それは命令だった。

皆の前で、彼は序列における私の新しい場所を示していた。

彼の下。

彼女の下。

震える手で、私は首輪に手を伸ばした。

玲奈が私の首にそれを留めるとき、彼女の指が私の指に触れた。

金属は冷たく、重かった。

「似合うじゃない」

彼女は、そこにいる全員に聞こえるように囁いた。

「ペットには首輪がなくちゃね」

笑い声は丁寧だったが、まるで石を投げつけられているようだった。

私は頭を垂れてそこに立っていた。

金属が肌に触れて温まり始めると、すぐに馴染みのある、焼けるような痒みが始まった。

喉の周りを締め付ける、炎の輪。

私は掻かなかった。

泣かなかった。

ただそこに立って、それが燃えるに任せた。

真実を、私に焼き付けるように。

私は所有物。

そして、たった今、新しい所有者に引き渡されたのだ。

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