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追放された令嬢、実は最強大富豪の娘でした の小説カバー

追放された令嬢、実は最強大富豪の娘でした

長谷川家の令嬢として二十年以上も何不自由なく育ってきた絵渡。しかし、血縁関係がないことが発覚した途端、真の令嬢による策略で家を追われ、世間の嘲笑の的となってしまう。行き場を失い、実の両親が待つ農村へ戻った彼女を待ち受けていたのは、予想だにしない真実だった。実は彼女の本当の父親は、国一番の大富豪だったのである。各界の頂点に君臨する天才的な兄たちに溺愛され、平穏な日々を送る絵渡だったが、彼女自身もまた、伝説のハッカーや舞踊界のカリスマといった、驚愕の裏の顔を隠し持っていた。再会したかつての家族や元恋人が彼女を見下し、貧乏人だと罵るなか、絵渡はその圧倒的な実力と財力で次々と報復を果たしていく。さらに、夜京を支配する強大な権力者が夫として現れ、彼女を全力で守り抜くことを誓う。偽りの令嬢という立場を捨てた絵渡が、真の富と才能を武器に、自分を貶めた者たちを震撼させる逆転劇が幕を開ける。華やかな社交界の裏側で、彼女の真の輝きがすべてを圧倒していく。
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3

「中島さんがここに来たって話、もうどこかから漏れちゃったみたい。お姉ちゃんもきっと彼女に弟子入りしたくて来たんでしょ?」 長谷川恋夏は無垢な顔で、か弱そうな声を出した。「中島さんはまだ、お姉ちゃんが追い出されたって知らないんじゃないかな?そうしたら、これからは私もお姉ちゃんも彼女の生徒ってことだよね!」

長谷川夫人の顔は、これ以上ないほど険しくなった。

彼女は大股で前に出て、絵渡の行く手を阻もうとしたが、絵渡はそのまま四季ホテルの中でも最上級の個室――翡翠の間――に向かって歩いていった。

(翡翠の間に?一体何のつもり?)長谷川夫人の心に疑念が湧いた。あの部屋は、特別な来賓しか使えない空間なのだ。

「お姉ちゃん、あんな部屋に入るの!?」 長谷川恋夏もまた目を丸くした。「あそこって、普通の人が使える場所じゃないよ? やっぱりお姉ちゃんすごいなぁ。付き合ってる人もみんな一流なんだろうね」

「何が付き合ってる人よ!」長谷川夫人が怒鳴った。「このクソ娘……まさか貧乏暮らしに耐えられなくて、金ヅルの男でも釣ったんじゃないの?

それならもう……長谷川家の面汚しにもほどがあるわ!」

長谷川夫人は内心吐き気を催していたが、それどころではなかった。慌てて中島さんに電話をかける。

「申し訳ありません、急用ができまして」冷ややかな返事が返ってきたかと思うと、すぐに通話は切られた。

長谷川恋夏の心は奈落の底に突き落とされ、思わず顔を覆って泣き出してしまう。

長谷川会長はそんな彼女を慰めるように、「また次の機会がある」と声をかけるしかなかった。

一方その頃、電話を切った中島さんは、ソファに背筋を伸ばして座っていた。

彼女の兄――中島会長が突然家族を集めたのは、行方不明だった娘がようやく見つかったからだった。

「お姉ちゃん、外でずっと苦労してきたんでしょうね」

隣に座る少女が口を開く。整った顔立ちに上品なメイク、高級なドレスに身を包み、まさに名家の令嬢そのもの。しかし、その眉目にはかすかな憂いが宿っていた。

恭理の心がふっと和らぐ。「聞くところによると、育ての両親には大切にされていたらしいわ。そこまで苦労はなかったかもしれない」

玲暖は素直にうなずき、純粋な声で言う。「お姉ちゃんには、精一杯優しくしなくちゃいけませんね」

恭理は彼女の髪を優しく撫で、その目に慈愛と満足の色を浮かべた。

――さすがは自慢の弟子。 玲暖は中島家の養女だが、心が広くて純真無垢。実の娘が戻ってきても、自分の居場所が脅かされることなど微塵も気にしていない。

だが、艶やかなチャイナドレスに身を包んだ中島夫人だけは、どこか様子が違っていた。まるで何かに取り憑かれたように、玄関の方をじっと見つめて動かない。

その姿を見た玲暖の胸に、ふと奇妙な違和感が浮かび上がった。

ようやく扉が開いた――

運転手が入ってくる。

そのあとを、少女が歩み出た。辺鄙な田舎で育った娘ならば、地味でやつれていても不思議ではない。だが、彼女の肌はまるで光を宿したように透き通っており、白く輝いていた。冷ややかで整った顔立ちは、中島夫人と五分六分ほど似ている。

玲暖は胸の奥がわずかにざわついた。

「うちの子……!」

中島夫人は堪えきれず、駆け寄ってその細い体を抱きしめた。涙で声も出せない、胸の奥から込み上げてくる。

絵渡は一瞬戸惑い、過剰な熱情にたじろぎながらも、そっと彼女の背を軽く叩いた。

それでも――その温もりの奥に、血の繋がりが確かに感じられた。

これが……家族というものなのか。

「まずは絵渡に座ってもらおう」 哲夫が穏やかに言った。

中島夫人は絵渡の隣にぴたりと寄り添い、涙を堪えながらも、嗄れた声で言った。「絵渡……ごめんね。お母さん、今まであなたを見つけられなかった。外で、きっとたくさん辛い思いをしたでしょう」

「……別に、平気だったよ」 温かな涙が絵渡の手の甲にぽたりと落ちる。それを見て、むしろ彼女のほうが戸惑った。昔から、押されるよりも押し返されるほうが性に合っていた。まさか自分のことで、こんなふうに泣く人がいるなんて。「もう、泣かないで。お母さん。こうして、戻ってきたじゃない」

その一言の「お母さん」に、中島夫人はぱっと顔を輝かせた。「そうよ、帰ってきたのね。お母さん、これからは必ず、あなたに償うから!」

哲夫も、目を潤ませながら絵渡を見つめていた。その視線に押され、絵渡は口を開く。「……お父さん」

「うん!うちの絵渡は、なんて素直なんだ」 満面の笑みを浮かべた哲夫は、はしゃぐように言った。「さあ、家族を紹介しよう。こちらが君の叔母さんだよ」

恭理が彼女を一瞥し、静かにうなずいた。絵渡も軽く会釈する。

次に現れたのは、玲暖だった。

「お姉ちゃん、ずっとお会いできるのを楽しみにしてたの。 これからは私にも『お姉ちゃんがいるの』って、みんなに自慢できるわ!」

その愛らしい声に続き、中島夫人が少し困ったような表情で口を開く。 「玲暖はね、あなたのお父さんの古い友人の娘さんなの。まだ小さな頃にご両親を亡くしてね、私たちが引き取ったの。もし気に障るようなら……」

「大丈夫です」 絵渡は、相手の言いたいことをすぐに察し、淡々と答えた。

「それから、お兄さんが三人いるの。今日は出かけてるけど、そのうちきっと紹介するわね」 中島夫人が微笑みながら絵渡を見て頷く。胸の奥にじんわりとした温もりが広がる。

絵渡はそっと頷いた。

すると、哲夫がスマホを取り出して言った。「絵渡、この数年、本当によく頑張ってくれたな。父さんのLINE、追加してくれ」

中島夫人もすかさずスマホを差し出す。「私のも、お願いね」

仕方なく二人の連絡先を追加すると、ほぼ同時に通知音が鳴った。

【パパ】があなたに10,000,000円を送金しました。

【ママ】があなたに10,000,000円を送金しました。

「父さんからの小遣いだよ。足りなかったら、いつでも言ってくれ」 哲夫が穏やかに笑う。

「そうそう、ママはお洋服もたくさん買ったの。家に戻ったら、ゆっくり試着してね!」

あまりの歓迎ぶりに、絵渡はまだ慣れないながらも、胸が温かくなるのを感じていた。

だが、驚いていたのは彼女だけではない。玲暖もまた、その様子に言葉を失っていた。両親が一度に二千万円も――。自分が普段もらう月の小遣いはせいぜい数十万円。

(これが……実子と養子の差ってこと?)

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