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籍ごと追い出されたら、裏アカが世界株を爆買い の小説カバー

籍ごと追い出されたら、裏アカが世界株を爆買い

結婚三周年の記念日、織田七海は丹精込めたディナーを用意して夫の帰りを待っていた。しかし、戻ってきた夫が口にしたのは「妊娠中の恋人がいる」というあまりに非情な離婚宣告だった。元カノのために捨てられた彼女は世間の嘲笑の的にされるが、離婚を機に隠された本性を現していく。次々と明かされる裏の顔が世界を驚愕させ、彼女は圧倒的な存在へと変貌を遂げた。かつての妻の輝きを目の当たりにした元夫は、特大のダイヤを手に土下座で復縁を迫るが、もはや手遅れだった。冷徹に拒絶する七海の傍らには、彼女を独占しようとする実力者・高田宗紀の姿があった。宗紀は執着心を隠さず、馴れ馴れしく縋りつく元夫を容赦なく排除するよう命じる。愛に裏切られた女が自らの価値で世界を屈服させ、真に自分を愛する男と共に新たな人生を歩み出す。クズな元夫への痛快な復讐と、億万長者との情熱的なロマンスが交錯する現代ドラマチックな物語。
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3

「お兄ちゃん!」

「良陽お兄ちゃん!」

矢継ぎ早に名を呼びながら、

西永恵瑠と北村深悠が良陽に駆け寄り、 その行く手を阻むように立ちふさがった。

「お兄ちゃん、まさか、あの女のところに行くつもりじゃないでしょうね?」恵瑠は目を丸くし、信じがたいものを見るような眼差しで良陽を問い詰める。

良陽は不快げに眉をひそめた。 「恵瑠、誰にそんな下品な口の利き方を教わった。 西永家の品位を汚す真似はよせ」

「良陽お兄ちゃん、恵瑠ちゃんを怒らないで。 あの子はまだ子供なんだから……もし織田お姉様のことが好きなら、はっきり言って。 私、絶対に邪魔なんてしないから……今すぐ消えるから」

たちまち深悠の瞳が潤み、赤い縁取りが浮かぶ。 彼女は悲痛な面持ちでそっと背を向け、その場を去ろうとした。

「深悠!」良陽は慌ててその細い腕を掴んで引き留める。 「違うんだ、お前が思ってるようなことじゃない。 俺と織田七海はもう何の関係もない。 誤解しないでくれ」

「良陽お兄ちゃん、 本当のことを言って…… まだ織田お姉様のことが心に残ってるの? 私…… 私は大丈夫、 受け入れられるから……」 深悠の声は涙で震えていた。

その痛々しい姿に、良陽は胸が締め付けられる思いがした。 「考えすぎだ。 あいつが自分を安売りするのは勝手だが、俺には関係ない」

「良陽お兄ちゃん、織田お姉様にも何か事情があるのかもしれないわ。 私たちで助けてあげない?」深悠は悲しみを堪えるように、しかし健気な思いやりを滲ませて言った。

良陽は彼女への愛しさを一層募らせる。 「深悠、お前は優しすぎるんだ。 あいつの死活なんて気にするな。 手切れ金は一生遊んで暮らせるほど渡したんだ。 体を売って虚栄心を満たしたいなら、好きにさせればいい」

「でも……」深悠が何かを言いかけた、その時。 不意に、彼女の身体がぐらりと揺れ、か弱く後ろへ倒れかかった。

良陽は目を見開き、とっさにその華奢な身体を抱きとめた。 焦燥に駆られた声で叫ぶ。 「深悠!」

「私……大丈夫……ただここがうるさくて、少しめまいが……個室に戻りましょう……」 深悠はまるで骨がないかのように、ぐったりと彼の腕の中に身を預けた。

「病院であと二日大人しくしてろって言ったのに、聞かないからだ」 良陽の声には、呆れと甘やかしが溶け合っていた。

彼は恵瑠に視線を移す。 「お前、先に深悠を個室に連れて行ってくれ。 俺は化粧室に寄ってからすぐ戻る」

「お兄ちゃん、まさかこっそり織田七海に会いに行くんじゃないでしょうね!」恵瑠が疑いの目を向けた。

良陽が何か言うより早く、深悠が割って入る。 「恵瑠ちゃん、織田お姉様は今、道を踏み迷っていらっしゃるのよ。 良陽お兄ちゃんがこれ以上堕落しないよう説得するのは当然のことだわ。

……それに、織田お姉様は良陽お兄ちゃんの前妻なのよ? 変な噂が立ったら西永家の顔に泥を塗ることになるもの」

「深悠姉さんは優しすぎるよ。 こんな時にまであの女のこ……」 恵瑠ははっと息を呑み、自分を射抜くような良陽の視線に怯え、慌てて言葉を飲み込んだ。

「お兄ちゃん、深悠姉さんの体調、まだ万全じゃないんだから、早く戻ってきてよ!何かあっても私、責任取れないからね!……深悠姉さん、行こう」

そう言うと、恵瑠は深悠の手を引いて歩き出した。

……

化粧室から現れた七海が、 しなやかな手つきで豊かなウェーブヘアをかき上げる。

その何気ない仕草一つが蠱惑的な空気を放ち、 バーにいる男たちの視線を一斉に惹きつけた。

良陽の目に、七海に注がれる男たちの粘つくような視線が映る。 品定めするような、あるいは貪るようなその眼差しに共通するのは、彼女を己の物にしたいという剥き出しの欲望だった。

「織田七海!」良陽は、苛立ちを隠そうともせずに低く叫んだ。

声のした方に視線を向けた七海は、良陽の姿を認めると、唇の端に冷笑を浮かべた。 まるで値踏みでもするかのように、彼の頭のてっぺんからつま先までをゆっくりと目でなぞる。 そして挑発的に片眉を上げ、笑って尋ねた。 「あら、どうしたの?元旦那様。 私に何かご用?」

そのあまりに淡白な口ぶりは、彼への未練など微塵も感じさせない。

その事実が、良陽の胸の奥で燻っていた苛立ちに火をつけた。

彼は衝動的に一歩踏み出し、七海の白く華奢な手首を乱暴に掴んだ。 「来い!」

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