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白いスープと雲の街 の小説カバー

白いスープと雲の街

照りつける太陽が眩しい夏の日のこと。裏手の畑で静かに日々を過ごしていた「ぼく」は、平穏を切り裂くような凄惨なバラバラ殺人事件を偶然にも目の当たりにしてしまう。その凄まじい光景に衝撃を受けながらも、純粋な子供たちの未来を守るため、ぼくはたった一人でこの不可解な事件の真相を突き止めることを決意する。しかし、それは想像を絶する恐怖の始まりに過ぎなかった。犯人を追ううちに、少年はやがて街の深淵に潜む、おぞましく巨大な闇へと引きずり込まれていく。本作は、残酷な事件の謎を追うミステリー要素と、背筋も凍るようなホラー、そして幻想的な世界観が複雑に絡み合うホラーファンタジーである。凄惨な殺害現場の描写や、生理的な忌避感を呼び起こすグロテスクな表現、そして精神を追い詰めるような恐怖演出が随所に散りばめられている。孤独な戦いに身を投じた少年が、呪われた街の真実を前に何を見るのか。残酷さと美しさが同居する物語の幕が今、静かに上がる。
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3

「今は夏だから遅くに帰ってもいいんじゃないの」

 と、幸助おじさんは和室の壁の古時計を見た。

 午後の6時40分だった。

 和室には窓が二つあって、どちらも夕焼けの空からの涼しい風が心地よく通り抜けていく。押入れには使い古した布団と、おじいちゃんの大切なたくさんのトロフィーが隠してあった。茶箪笥には毎日一階からお湯を僕が持ってくるお蔭で、おじいちゃんの大好きな番茶がしまってあった。小型のテレビは部屋の隅っこにある。

 幸助おじさんは隣町から、仕事帰りにたまにふらりと家に来ては、おじいちゃんと将棋を打っていた。

「ねえ、おじいちゃん。例え話だけれど……。子供はどれくらい水の中に入っていられるの?」

 おじいちゃんは将棋を打ちながら、

「ほんの十五分くらいさ。水の中では息ができないからね」

「じゃあ、意識がなくなるまで息が止まったら?」

「さあ……。酸欠になって脳が死ぬまで4分くらいかな」

「もしだよ……。生き埋めになった人がいるとしたら、どれくらい生きていられるの?」

「ええと……。確か生き埋めになった人は48時間を過ぎると死亡してしまうと言われているんだよ」

 パチンと音がして、

「王手!」

「あー! やられた!」

 幸助おじさんの叫びが聞こえてきた。

 当然、おじいちゃんと何度戦っても将棋では幸助おじさんは敵わない。

 僕はそれを聞いて、急いで二階の一番奥。この家で一番陽の当たる部屋。僕の部屋へと向かった。考えを整理するためだ。

 掃除をしてないけど、いつも小奇麗にしている部屋だ。

 机の教科書を整理して、あまり動かさないようにして、ベットの毛布も寝相が悪いから毎日朝起きたらちゃんと整えている。

 床の埃は目に見えるものだけ、いつも海のポスターが貼られたゴミ箱に捨てていた。

 朝になると、ちょうど顔を強く照らされる位置にあるベットに座って、僕は頭にあることを少し整理してみた。

 人間って、バラバラにされても死なないのはあり得ないはずだ。

 よくテレビでバラバラ殺人事件が報道されているけど、当然殺されてからバラバラにされているのは僕にも解るんだ。

 では、殺される前にバラバラにされても生きていることができるのだろうか。

 いや、違うはず。

 昔、おじいちゃんが言っていたんだ。

 人は心臓と魂が一番大切で、心臓から手足や頭が取れると人は死んでしまう。酸素や血液が通わなくなって、魂が死んでしまう。

 そう言っていた。

 では、何故あの子供たちは死んでいなかったのだろうか?

 バラバラにされても見えない管で酸素や血液が通っているからだろうか?

 でも、切断面は赤黒くなっていて僕にも管のようなものはなかったのが解る。

 警察の人にこんなことを話してもいいのだろうか?

 警察の人はきっと、バラバラ生き事件で捜査をするのだろうか?

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