
妊娠八ヶ月、夫のパイプカットが暴く残酷な真実
章 3
―― 石田沙耶花 ――
彼らの会話を聞いてから、私は家に戻った。私の心は凍りつき、顔には何も感情が表れていなかった。夫の勇史は、私が帰宅しても、いつも通りの優しい笑顔で私を迎えた。その偽りの笑顔が、私の心をさらに深く傷つけた。
「沙耶花、おかえり。疲れただろう? 温かいココアを淹れたよ」
勇史は、私にココアの入ったマグカップを差し出した。彼の言葉も、その仕草も、全てが偽りだった。私は彼の手からマグカップを受け取った。ココアからは、甘い香りが漂っていた。しかし、私の心は警戒していた。彼は私に、毎晩睡眠薬を飲ませていたのだから。
「勇史、ありがとう。でも、今は気分じゃないの。後でいただくわ」
私はココアを一口も飲まずに、テーブルに置いた。勇史の表情が、一瞬にして曇った。彼の笑顔の裏に隠された不満が、私にははっきりと見えた。彼は私に、ココアを飲むことを強要し始めた。
「どうしたんだい? せっかく淹れたのに。ほら、温かいうちに飲んで」
彼の声には、僅かながら強要のニュアンスが混じっていた。私は彼の言葉に、ますます警戒心を強めた。このココアには、きっと何か入っている。私は彼の目を見た。彼の目は、優しく微笑んでいるように見えたが、その奥には冷たい光が宿っていた。
「ごめんなさい、勇史。本当に気分が悪くて。今は何も飲みたくないの」
私は再び、ココアを拒否した。勇史の顔から、完全に笑顔が消えた。彼の目は、私を射抜くように見つめていた。まるで、私が彼の命令に背いたことに、怒りを感じているかのように。
「沙耶花。俺の言うことが聞けないのか?」
彼の声は、低く、冷たかった。私は身震いした。彼の言葉には、隠しきれない威圧感が込められていた。私はこの男に、逆らうことができないと知っていた。彼の笑顔の裏には、恐ろしい本性が隠されている。私はその本性を、身をもって知ったばかりだった。
私は諦めて、ココアに口をつけた。甘いココアの味が、私の口の中に広がった。しかし、私の心は、その甘さを一切感じなかった。無理やり飲み干すと、勇史の顔に再び笑顔が戻った。その笑顔は、私にとって地獄の光景だった。
数分後、私の体は鉛のように重くなった。意識が朦朧とし、眠気が襲ってきた。勇史の入れたココアには、やはり睡眠薬が混入されていたのだ。視界がぼやけ、何人かの男たちの影が、私の視界を横切った。彼らの顔は判別できなかったが、その存在は私に恐怖を与えた。私の意識は、そこで途切れた。
翌朝、私は激しい頭痛と倦怠感で目覚めた。体中が重く、まるで何かに襲われた後のようだった。勇史はすでに起きていて、私に「おはよう」と声をかけた。彼は何事もなかったかのように、私に優しく微笑んだ。私は彼の偽りの笑顔に、吐き気が込み上げた。
勇史は会社へ出かける準備をしていた。私は彼が出かけるのを待ち、彼が玄関のドアを閉める音を聞いた。彼が家を出て行ったことを確認すると、私はベッドからゆっくりと体を起こした。私は昨日注文した隠しカメラを、すぐに設置しなければならなかった。
私はリビングの棚の上、寝室のベッドの下、そしてバスルームの隅に、それぞれ小型カメラを設置した。全てのカメラが正常に作動していることを確認した。彼らの恐ろしい犯行の証拠を、私は必ず掴む。
全ての準備を終えると、私は昨夜の出来事を思い返した。勇史が私にココアを飲ませ、その後に意識が途切れたこと。そして、今朝の体の不快感。私は、彼が悪友たちと私を共有させていた、という会話を思い出し、背筋が凍りついた。私はすぐに、カメラの映像を確認する必要があった。
リビングに設置したカメラの映像を再生した。そこに映っていたのは、私を覆い尽くすおぞましい光景だった。勇史と、彼の下劣な悪友たちが、意識のない私を弄んでいた。私の体は震え、涙が止まらなかった。彼らは私の尊厳を、私の体を、徹底的に踏みにじっていた。
映像はさらに続いた。彼らは休憩を取るように、リビングで談笑していた。勇史と杏莉が抱き合っている姿が映し出された。杏莉は勇史の養妹。その事実が、私の心をさらに深く傷つけた。彼らは私を裏切り、私を弄びながら、互いに愛し合っていたのだ。
新田晴翔が勇史に問いかけた。
「勇史、沙耶花、可哀想だとは思わないのか?」
晴翔は、まるで罪悪感に苛まれているかのように見えた。しかし、彼の言葉は、私には偽善にしか聞こえなかった。
勇史は冷酷な笑みを浮かべ、晴翔に答えた。
「沙耶花が杏莉を海外に追い出したんだ。奴にはこれくらいの償いをさせるのが当然だ」
彼の言葉は、私への復讐心に満ちていた。彼は私に、杏莉が海外に行ったことの責任を押し付け、私を徹底的に苦しめようとしていた。
その時、見知らぬ男が部屋に入ってきた。彼もまた、勇史の悪友の一人だったのだろう。彼らは、私のお腹の子供の父親を賭ける計画について話し始めた。彼らは賭け金の増額について話し合い、杏莉の帰国パーティーで賭けを終わらせることを決めた。
「パーティーで、沙耶花に薬を盛って、全てを終わらせるんだ」
彼らはそう言った。私の体は、映像に映る彼らの会話を聞いて、さらに強く震えた。彼らは私の子供を、パーティーの場で流産させようと計画していた。その事実が、私の心を深く抉った。
晴翔は、私が飲んだ睡眠薬の効果を試すように、私の体に乱暴に触れた。彼は私の意識がないことを確認し、満足そうに笑った。彼らは私を、ただの物として扱っていた。私の体は、彼らにとって、単なる娯楽の道具でしかなかった。
勇史と晴翔は、私の部屋を出て行った。私の心は絶望に包まれた。彼らの会話、彼らの行為。全てが私を深く傷つけた。私は、ただ涙を流すことしかできなかった。
映像を確認した後、私は処方された睡眠薬を手に取った。しかし、私はそれを飲むことはしなかった。私は彼らに、決して屈しない。私は必ず、彼らに復讐する。
その時、玄関のドアが開く音がした。勇史が、忘れ物を取りに戻ってきたのだ。私は咄嗟に、睡眠薬をベッドの下に隠した。勇史は私の部屋に入ってきた。
「沙耶花、大丈夫か? 顔色が悪いようだが」
勇史は、心配そうな顔で私に近づいた。彼の偽りの優しさが、私の心をさらに抉った。私は彼を睨みつけたかったが、その怒りを必死に抑え込んだ。
「ええ、大丈夫よ。少し、体がだるいだけ」
私は努めて平静を装い、彼に答えた。彼は私の言葉を信じたようだった。彼の表情は、一瞬にして和らいだ。私が彼を欺いたことに、私は密かな喜びを感じた。
勇史は、「そうか、ならよかった」と言って、再び部屋を出て行った。彼が再び家を出て行くのを確認すると、私はベッドから飛び起きた。私は彼のスマートフォンを手に取った。彼はいつも、スマートフォンをリビングのテーブルに置きっぱなしにしていたからだ。
彼のスマートフォンには、二重システムが存在していた。一つは私に見せている普通の画面。もう一つは、彼が私に隠している秘密のシステムだった。私は彼の顔認証を使って——彼が眠っている間に、私が自分の指紋も登録しておいたのだ——その秘密のシステムにアクセスした。そこには、勇史と杏莉が抱き合っている写真が、壁紙として設定されていた。その光景が、私の心をさらに深く傷つけた。
彼のスマートフォンには、いくつかのメッセージアプリがインストールされていた。その中の一つに、「悪友たちの宴」というグループチャットがあった。私はそのチャットを開いた。
これが、彼らの罪の全てを記録した帳簿になる。私はスクリーンショットを一枚ずつ、慎重に保存していった。一滴の証拠も逃さないように。
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