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婚約破棄から始まる、最高峰の溺愛 の小説カバー

婚約破棄から始まる、最高峰の溺愛

結婚式という晴れ舞台の当日、宮沢沙織は幼馴染の婚約者に置き去りにされ、世間の嘲笑の的となってしまう。気丈に振る舞う彼女だったが、追い打ちをかけるように届いたのは、婚約者と異母姉が密通する衝撃的な動画だった。信頼していた人々に裏切られ絶望の淵に立たされた沙織は、自暴自棄な思いから、街で出会った見知らぬ美男子と一夜を共にする。一度きりの過ちとして忘れるはずだったが、その日を境に、謎めいた彼は沙織の日常に深く介入し始める。彼はビジネスの窮地を救い、裏切り者たちを容赦なく追い詰めていく。そんな中、身勝手にも後悔した元婚約者が現れ、沙織に復縁を迫る。そこへ立ちはだかったのは、圧倒的な存在感を放つ都の御曹司だった。彼は沙織を背後から抱き寄せ、冷徹なまでの独占欲を露わにしながら、究極の選択を迫る。「いい子だ、君はどちらを選ぶ?……よく考えてから答えなさい」。裏切りから始まった運命は、最高峰の執着と溺愛へと加速していく。
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「彼女、いる?」

宮沢沙織は真っ赤なスポーツカーのボンネットに腰をかけていた。体にフィットした赤いミニドレスがセクシーな腰のラインを浮き彫りにしている。小顔で整った顔立ちは、紛れもない美貌だ。

星のように澄んだその瞳は、今や冷たい虚ろいをたたえていた。

バイクの状態を屈んで見ていた男が、その言葉に顔を上げた。

冷ややかで整った顔立ちには、野性的なインパクトがある。街灯の下に立つ彼は、まるでフェロモン全開のライオンのようだ。

「独身だ」

低く響く声は、谷間を吹き抜ける風のようで、心地よく、人の胸を焦がす。

沙織は満足そうに、少しだけ身をかがめた。

大きなウェーブのかかった栗色の長い髪が胸元に滑り落ちる。髪の隙間には、クラッカーから飛び出した色とりどりの紙吹雪が星のように散らばっていた。

「一晩付き合って。それで修理代はチャラにしてあげる」

彼女は、やられたらやり返すタイプだ。松本海斗がよくも浮気したなら、、自分も他の男と寝て返してやる!

それにこの男、スタイルも顔も、すべてが彼女の好みにぴったりだった。

海斗なんか比べものにならないくらいだ。きっと、海斗よりもずっと……激しく、彼女を満たしてくれるに違いない。

男の目が細く、鋭くなった。彼は、数千万円はするスーパーカーに付いたかすり傷を一瞥し、それから自分のがほぼ廃車同然の愛車へと視線を戻した。

実のところ、彼女の車なんて、彼のバイクのタイヤ一つ分の価値にも及ばないのだが。

彼は目を細めると、彼女を腕の中に引き寄せた。整った唇がほんのり上がり、意味深な笑みを浮かべた。

「いいよ。どうせ俺に修理代なんて払えないしな。でも……後悔するなよ、子猫ちゃん」

彼は骨がないかのように柔らかい腰を抱え上げ、そのまま肩に担ぎ、近くのホテルへと向かった。

部屋に入るや否や、沙織は身を翻して男をベッドに押し倒した。ラブホテルは小道具が豊富にあるのが特徴だ。彼女は引き出しを開けると、手錠で男の両手をベッドヘッドにスムーズに繋いでしまった。

「私がリードするのが好きなの」

情熱に火照った肌は誘うような緋色を帯びている。

未熟でぎこちないけれど、懸命に咲き誇ろうとするバラのように、曖昧な照明の下で揺らめいていた。。

強引で頑固な行為は、あっけなく終わった。男が満足したかどうかなんて、気にも留めなかった。

「これでお互いに完済だ」

芳しい汗にまみれた彼女だったが、次の瞬間には男に体勢を入れ替えられ、ベッドに押し付けられていた。切れ長の瞳には、暗い炎が燃え上がっていた。

「これだけ?一晩って約束しただろ? まだ時間は早いぜ」

いつの間に手錠を外したのか考える隙も与えず、彼は激しく突き進んできて、彼女の理性をすべて奪った。

男の大きな手は彼女の真似をして口を覆い、目尻を潤ませ、涙をこらえきれないようにさせた。彼女は嗚咽しながら、ただ受け入れるしかなかった。

一晩と言ったら、本当に一晩中ずっとだった。

沙織は自分が何度意識を失ったのかさえわからなかった。男は飽きることを知らない野獣のように、彼女のすべてを貪り尽くした。

最後に、ドレスを引っ掛けて身に着ける頃には、振り返る勇気すら残っていなかった。

声も出せないほど嗄れた喉が、鋭く警告を発した。

「事故現場の動画は保存してある。このドアを出たら他人同士になる。自分の口はしっかり閉じておけ」

背後から男のだらけた声が響き、満足げな余韻が漂っていた。

「奇遇だな。俺も事故の動画は保存してある」

沙織はその言葉の真意に気づかないまま、バッグを掴んでドアへと向かった。

腰はぐらついて体を支えきれず、よろめいて転びそうになった。

男の意地の悪い笑い声が低く響いた。

「本当にもう一眠りしていかなくていいのか?」

最低!

沙織は思い切りドアを叩きつけた。その最後の力は、まるで男の顔に打ちつけたいような勢いだった。

彼女は気づかなかった。背後で男が送る視線には、狂おしいほどの独占欲が込められていたことを。

ホテルのロビーにある液晶テレビでは、リアルタイムでニュースが流れていた。

「京州の名門同士の結婚話、スキャンダルに!松本家の御曹司、結婚を強要された疑いで婚約パーティー中に不機嫌そうに退席。宮沢家のお嬢様は駄目元でした」

「松本家の御曹司は、お嬢様の異母姉と親しいという噂もあります。お姉様の母親は前妻ですが、なんとその母親がまた宮沢社長の元に戻ったとか。もしかすると、姉妹で花嫁が入れ替わるかもしれませんね」

画面の中の女性は赤いミニドレスを着て、髪にはクラッカーの紙吹雪が散らばっている。幸せそうな笑顔が凍りついたその瞬間を、カメラは執拗にアップで映し出し、醜く晒していた。

一夜の艶事を経て、沙織は不思議なことに胸が締め付けられるような激しい痛みは感じなかった。

以前は海斗に執着しすぎていたのだ。制服時代からウェディングドレスまで続く恋が最も強固だと信じていたから、あんな風に踏みにじられた。

彼以外にも、満足させてくれる男はいるじゃないか。

例えば……昨晩の、体力がつよくて一晩中付き合ってくれた男のように。

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