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捨てられ花嫁、隣の席で運命が動き出す の小説カバー

捨てられ花嫁、隣の席で運命が動き出す

華やかな婚礼の席で、星川理緒は最悪の事態に直面した。新郎が愛する女性を追って、彼女を置き去りにしたまま式場を去ったのだ。一方、隣の会場でも悲劇が起きていた。車椅子に乗る新郎・一之瀬悠介を嫌った花嫁が、結婚を拒絶して姿を現さなかったのである。周囲の嘲笑を浴びる中、理緒は同じ境遇にある悠介に目を留め、一つの決断を下す。「花婿がいない私と、花嫁がいないあなた。いっそ二人で結婚しませんか?」と。理緒は不遇な彼を必ず幸せにしようと心に誓い、二人の新生活が幕を開ける。当初、悠介は理緒の目的を金目当てだと疑い、用が済めば即座に離婚するつもりでいた。しかし、献身的な彼女と過ごすうちに、冷徹だった彼の心は激しく揺れ動き始める。やがて、立場は完全に逆転した。いつの間にか妻を深く愛してしまった悠介は、離婚を望む理緒に焦りを募らせる。「どうすれば彼女を引き止められるのか」と。捨てられた花嫁と車椅子の御曹司、奇妙な縁から始まった関係は、予測不能な愛の行方へと動き出していく。
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「私は星川理緒です。もし、あなたに異存がなければ、この結婚式が終わったら、すぐにでも婚姻届を出しに行きましょう」

星川理緒が澱みなく言い放つと、その場にいたすべての招待客が衝撃に固まった。中には、このあまりに劇的な一幕を携帯で撮り始める者までいた。

「星川さん、本当によろしいのですか?私は身体に障害があり、あなたが望むような未来を与えることはできませんよ」 男は自身の身体的な欠陥を一切隠そうとせず、彼女にもう一度よく考えるようにと、真摯な眼差しで促した。

しかし、星川理緒は既に決意を固めていた。「ええ、よく考えましたから」

「私は一之瀬悠介です」

一之瀬悠介は星川理緒を説得できないと悟り、彼女の手を握った。「……後で後悔しないといいのですが」

星川理緒は何も返さなかった。後悔など、するはずがない。

彼女がかつて結婚したいと願っていたのは神宮寺涼介ただ一人。だが、彼の心には決して自分が存在しなかったことを知ってしまった今、結婚相手など誰でも構わなかった。

迅速に結婚式の段取りを終え、星川理緒と一之瀬悠介はそのまま市役所へ向かい、婚姻届を提出した。

婚姻届を手にすると、星川理緒の胸から、すとんと重い石が落ちたようだった。

神宮寺涼介に深く心を抉られた彼女は、もう二度と彼と結婚することはないだろう。

星川健太の件については――自分が神宮寺家に嫁げないのなら、まだ星川結愛がいるではないか?

星川理緒は星川結愛のことをよく知っていた。幼い頃から欲深いあの妹が、神宮寺家の若奥様の地位に垂涎しないわけがなく、神宮寺涼介に微塵も興味がないなど、ありえないことだった。

だからこそ、一之瀬悠介との結婚は、実家の支配から逃れるための最良の選択肢だったのだ。

彼女はもう二度と、あの家に戻りたくなかった。

一之瀬悠介は、理緒が戸籍謄本を見つめて呆然としているのを見て、声をかけた。「何を考えている?この障害者と結婚したことを後悔でも?」

星川理緒は首を振り、一之瀬悠介の背後に回り込んで車椅子を押しながら言った。「あなたと結婚するのも、悪くないと思うわ」

一之瀬悠介は口元を歪めた。その瞳には、侮蔑と不信感が色濃く浮かんでいた。

本当に、障害者と結婚したがる女などいるものか。まったく、口から出まかせばかりの詐欺師だ。

彼女は一時的に偽ることはできても、一生偽り続けることなどできない。

ちょうど彼は、家族の目を欺くための花嫁を必要としていたのだ。自身の目的を達成するためになら、彼女の目論見に乗ってやるのも悪くない。

彼女が一体何を企んでいるのか、じっくり見せてもらおうではないか。

……

星川理緒は一之瀬悠介を車に乗せ、彼の家へと向かった。

一之瀬悠介の邸宅は、驚くほど豪華だった。広大な庭園にプール、そして燕尾服を着た執事やメイドが控えている。

星川理緒は、ふかふかの羊毛カーペットに足を踏み入れた瞬間、ようやく自身の夫がただ者ではないことを悟った。

「三郎様、こちらが奥様でいらっしゃいますか?」彼らを出迎えた執事が、恭しく尋ねた。

「三郎様」という呼び名を聞いて、星川理緒ははっと我に返った。まさか、あの一之瀬家の三郎様だというのか!

一之瀬家はこの地域で最も権力を持つ一族であり、一之瀬悠介はその中でも突出した存在だった。彼はビジネス界の天才と呼ばれ、その並外れた才能で若くして富豪ランキングに名を連ねていた。三男であることから、「一之瀬三郎様」と尊称されていたのだ。

しかし、一年前に起こった自動車事故で、彼の両足は不自由になった。その時から、彼の名前は徐々に人々の前から消え、かつての一之瀬三郎様の栄光を覚えている者などいなくなってしまったのだ。

自分が、まさかその一之瀬三郎様と結婚してしまったというのか?

しかし、一之瀬家と西園寺家が縁組を結ぶと聞いていたはず。では、今日の結婚式で逃げ出した花嫁というのは、まさか西園寺家の令嬢だったのか!

星川理緒は途端に心臓が早鐘を打った。「一之瀬悠介」という名前を聞いた時、どうして彼が一之瀬家の三郎様だと思い至らなかったのか。挙句、向こうの意向も聞かずに「結婚しませんか」などと申し出た自分が、まるで無法者のようだった。

一之瀬悠介は何も言わなかったが、彼女の顔に浮かぶ驚愕と動揺を、その目でしっかりと捉えていた。

彼は内心で眉をひそめた。まさか本当に、自分が誰だか認識していなかったというのか?

自分が足の不自由な身であることなど、誰一人知らない者などいないはずなのに。

「星川理緒、私の妻だ。これからは彼女が、この家の女主人となる」

一之瀬悠介は星川理緒を見据え、率直に告げた。「西園寺美咲は逃げ出した。私の身体的な欠陥など気にしないと言って、私と結婚を承諾したはずだったがな」

「西園寺美咲様が逃げ出したのですか!?」

執事は大いに驚いた。あの西園寺家は、かつては一之瀬家との縁談を必死で望み、一之瀬悠介様の前でさえも懇願し、西園寺美咲様を娶ってほしいとまで言っていたのに!

それが、いざ結婚式当日になって新婦が逃げ出すとは、これは少主を故意に侮辱しているとしか思えない!

執事は胸が締め付けられる思いで、慰めるように言った。「三郎様、災い転じて福となす、という言葉がございます。西園寺美咲様は三郎様にとっての良縁ではございませんでした。もしかしたら、奥様こそが、三郎様の真の良縁なのかもしれません」

少主の障害を気にせず、進んで嫁いでくれた星川理緒の姿勢に、執事はすでに幾ばくかの好感を抱いていたのだった。

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