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禁欲系の大物が彼女を誘い込み、抱きしめて甘やかす。 の小説カバー

禁欲系の大物が彼女を誘い込み、抱きしめて甘やかす。

如月璃奈と時任悠真の結婚生活が三年目を迎えた頃、璃奈の前にかつての恋人が姿を現します。璃奈は過去を断ち切り他人として接しようと努めますが、元恋人は執拗に付きまとい、公然と復縁を宣言して周囲を騒がせます。ネット上の噂に翻弄され、記者会見の場で窮地に立たされた璃奈。その時、突如現れた悠真が彼女を力強く抱きしめました。彼は結婚指輪が光る手で彼女の指を握り、二人が夫婦であることを世間に知らしめます。嫉妬に狂った元恋人が「愛していないなら返せ」と叫ぶと、悠真は璃奈に口づけを落とし、「愛していないなどと誰が決めた?」と不敵に微笑むのでした。璃奈は、自分たちの間に深い情愛などない、これは単なる体裁だと思い込んでいました。しかし、親戚から子作りを急かされた際も、悠真は彼女の手を引き「すぐにでも」と真っ直ぐに答えます。璃奈はやがて、夫がずっと胸の奥に秘めてきた、自分に対する一途で深い愛情の正体を知ることになるのです。大物実業家の執着と甘い愛に翻弄される、至極のシンデレラストーリーが幕を開けます。
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それは紹介であり、そして、牽制だった。

先ほどの男と璃奈が揉める光景は、悠真の脳裏に焼き付いて離れなかった。

「帰るぞ」 低く告げると、時任悠真は有無を言わさず如月璃奈の細い腰を引き寄せ、自分の車へと向かった。

帰りの車内は、息が詰まるほど静まり返っていた。

璃奈は、隣に座る悠真から放たれる空気が、いつもよりずっと冷たく、まるで氷のように肌を刺すのを感じていた。 佐伯蓮司が現れたことで、彼のプライドを傷つけてしまったのだろうか。

怒っているのか、いないのか。 彼の表情からは読み取れない。 それでも、何か言わなければ。 その沈黙が、璃奈を追い詰めていた。

か細い唇が、ためらいがちに開く。 「あの、今夜は同窓会で……佐伯さんがいらっしゃるなんて、私も知らなくて……」

言い訳じみた言葉がこぼれかけた、その時。 悠真が、璃奈の言葉を遮るように、隣の座席にあった上品な紙袋を無言で差し出した。 「土産だ」

璃奈は一瞬、差し出されたそれに戸惑いながらも、おずおずと手にした。

結婚して三年。 彼がこの家にいた日数は指で数えるほど。 けれど、出張から帰るたび、彼は必ずこうして璃奈に土産を買ってきた。

では、今の彼は――怒っているの? それとも、いないの?

唇をきゅっと噛むと、手の中の贈り物が、まるで熱を持っているかのように感じられた。

悠真の方へ視線を向ければ、彼はすでに深くシートに身を沈め、固く目を閉ざしていた。 これ以上の会話を拒む、明確な意思表示。

璃奈はもう、何も言えなかった。 飲んだお酒のせいか、思考がうまくまとまらない。 そっと窓を少しだけ開けると、ひやりとした夜風が火照った頬を撫で、昂った神経をわずかに鎮めてくれるようだった。

三年前、如月グループは深刻な資金難に陥り、倒産の危機に瀕していた。 その時、父が持ち出したのが時任家との縁談だった。 璃奈と悠真は幼い頃からの許嫁であること、両家の祖父が生死を共にした戦友であったこと。 父はそれを盾に、傾きかけた会社を救うため、璃奈に悠真との結婚を迫ったのだ。

如月グループは、亡き母が心血を注いだ、彼女に残された最後の宝物だった。 それを失うことだけは、どうしてもできなかった。 一方で、当時の蓮司は起業したばかりで精神的に不安定で、二人は些細なことで口論を繰り返していた。 すれ違いの末、璃奈は自ら別れを告げた。

結婚後も、悠真の態度は氷のように冷たいままだった。 けれど、こうして時折見せる気遣いを思えば、決して悪い夫というわけではないのかもしれない。

観月湾、二人の新居。

車は、タワーマンションの地下駐車場へと滑り込んだ。 やがて静かに停車すると、運転席から声がかかる。 「時任社長、奥様、ご到着です」

その声に、うとうとと微睡んでいた璃奈ははっと我に返った。 間髪入れず、耳元で低く抑揚のない声が響く。 「鈴木、もう上がれ」

「かしこまりました」 運転手の鈴木佐助は一礼すると、静かに車を降りていった。

璃奈がドアハンドルに手をかけた、 その瞬間。 不意に手首を強く掴まれ、

抗う間もなく引き寄せられた。 「きゃっ」

短い悲鳴とともに、璃奈の体はふわりと浮き、気づけば悠真の硬い太腿の上に跨る形で座らされていた。 無理やりに開かれた両脚が、彼の腰を挟む。

あまりに屈辱的な体勢に、顔から首筋までが一気に熱くなる。 身じろぎ、なんとか降りようとするが。

しかし、悠真はそれを許さない。 大きな手が璃奈の腰を捕え、ぐっと力強く引き寄せる。 ぴたりと密着した胸元から、互いの心臓の音が伝わってくる。 薄いドレス越しに、彼の体の熱が、その奥にある硬質な熱が、はっきりと伝わってきた。

「と、時任悠真……! お、降ろして……っ!」 この危険な合図は、如月璃奈にとってあまりにも見慣れたものだった。 彼女は顔を赤らめ、もがいて逃れようとした。

悠真は何も答えず、ただ片手で璃奈の顎を捉えると、まるで罰を与えるかのように激しく唇を塞いだ。

ふっと、タイミングを合わせたかのように駐車場のセンサーライトが消え、車内は濃い闇に包まれる。 二つの影だけが、その中で艶めかしく重なり合っていた。

羞恥と混乱に駆られ、璃奈はか細い手で彼の胸を押し返す。 けれど、その抵抗はあまりに弱々しかった。 これまでの彼は、どんなに激しく求めてきても、決して外でこんなことはしなかった。 それなのに、今は。場所も弁えぬその行動が、彼の怒りの深さを物語っているようで、璃奈は恐ろしかった。

悠真は璃奈の小さな顔を両手で包み込み、角度を変えながら、時に啄むように、時に深く貪るようにキスを繰り返す。 荒い息遣いが耳元で響き、腰を掴む手に力がこもる。

長い、熱い口づけが終わり、ようやく唇が解放された時、璃奈は息も絶え絶えだった。 目の前の男の瞳に、わずかに腫れ、艶を帯びた自分の唇が映っているのが見えた。

再び大きな手が璃奈の顎を捉え、逸らしかけた視線を無理やり絡めとられる。 耳元で囁かれた声は、低く、底冷えのするような色気を帯びていた。 「今夜の同窓会、楽しかったか?」

その声に含まれた冷たい怒りに、璃奈は背筋が凍る思いがした。

普段、感情の起伏をほとんど見せない悠真の、あまりに異常な様子に璃奈は息を呑む。

何かを言おうと口を開きかけたが、それより早く、腰を掴む手にぐっと力が込められ、思わず顔をしかめた。

墨を溶かしたような深い瞳が、探るように璃奈の顔を覗き込み、やがてその視線が、自分がつけた傷のように赤く腫れた唇に注がれる。 「酒を飲んだな?」

璃奈はこくりと頷くことしかできなかった。

「俺が言ったこと、覚えているか」

追い詰めるような声に、璃奈は唇を噛みしめる。 彼の肩に置かれた手は、知らず知らずのうちに強くシャツを握りしめていた。璃奈は、ひどく酒に弱い。

かつて酔って大通りに飛び出し、車に轢かれそうになったことがあった。 病院からの連絡を受け、悠真は重要な会議を放り出して駆けつけたという。 その時の彼の顔は、見たこともないほど険しかった。 それ以来、彼は璃奈に固く飲酒を禁じていたのだ。

あの男――蓮司が帰ってきたから、禁を破ったとでも言うのか。

そんな疑念が、悠真の胸に黒い炎のように燃え盛る。 璃奈の腰をなぞっていた大きな手は、次第に苛立ちを帯びて乱暴になり、やがて薄いスカートの裾を押し上げ、ためらいなくその奥へと侵入した。

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