フォローする
共有
禁欲系の大物が彼女を誘い込み、抱きしめて甘やかす。 の小説カバー

禁欲系の大物が彼女を誘い込み、抱きしめて甘やかす。

如月璃奈と時任悠真の結婚生活が三年目を迎えた頃、璃奈の前にかつての恋人が姿を現します。璃奈は過去を断ち切り他人として接しようと努めますが、元恋人は執拗に付きまとい、公然と復縁を宣言して周囲を騒がせます。ネット上の噂に翻弄され、記者会見の場で窮地に立たされた璃奈。その時、突如現れた悠真が彼女を力強く抱きしめました。彼は結婚指輪が光る手で彼女の指を握り、二人が夫婦であることを世間に知らしめます。嫉妬に狂った元恋人が「愛していないなら返せ」と叫ぶと、悠真は璃奈に口づけを落とし、「愛していないなどと誰が決めた?」と不敵に微笑むのでした。璃奈は、自分たちの間に深い情愛などない、これは単なる体裁だと思い込んでいました。しかし、親戚から子作りを急かされた際も、悠真は彼女の手を引き「すぐにでも」と真っ直ぐに答えます。璃奈はやがて、夫がずっと胸の奥に秘めてきた、自分に対する一途で深い愛情の正体を知ることになるのです。大物実業家の執着と甘い愛に翻弄される、至極のシンデレラストーリーが幕を開けます。
共有

3

「今夜は……お酒の席でしたし、皆さんのお手前、どうしても断りきれなくて……。 でも、もう二度といたしませんから」

璃奈がそう懇願しても、彼の端正な顔から氷のような険しさが消えることはなかった。 その硬い表情と、わずかな指先の動きから、彼が何を求めているのかを痛いほどに察してしまう。

彼女は反射的に視線を落とし、頬を染め、懇願するようにか細い声で尋ねた。 「お家に、帰ってからじゃ……だめ、ですか?」

「だめだ」

その声には有無を言わせぬ傲慢な響きがあり、拒絶という選択肢を初めから奪っていた。

抗う術もなく、璃奈は顔を赤らめながら、ためらいがちに震える指先を伸ばし、彼のシャツのボタンに触れた。 たった一つのボタンを外すのに、永遠とも思える時間が過ぎていった。

それに焦れたように、時任悠真は短く舌打ちをすると、大きな手で彼女のワンピースの合わせを力任せに解き払った。

胸元に走る冷気に、璃奈は小さく身を震わせる。 剥き出しの肌が、車内の冷えた空気に直接晒された。

今夜、彼女が纏っていたジンジャーイエローのラップワンピースは、彼がリボンを引くだけであっけなく解け、最後の抵抗も虚しく、下着もまた彼の貪るような手つきによって剥ぎ取られていく。

カチャリ、とベルトのバックルが外れる無機質な音が、狭い車内にやけに大きく響いた。 静寂を破るその音は、なぜかひどく官能的に耳に届く。

静まり返った無人の駐車場で、漆黒のランボルギーニが時折、微かな軋みとともに車体を揺らす。 漏れ聞こえるのは、男の低い呻きと、女のか細い喘ぎ声。 それは夜の闇に溶けて、どこまでも淫靡に響いた。

窓の外を涼やかな夜風が撫でていくのとは対照的に、閉ざされた車内の空気は、二人の熱でじっとりと湿度を増していく。 乱れた璃奈の髪が悠真の胸をかすめるたび、甘い戦慄が肌を駆け上る。 絡み合う視線の先で、抑えきれない情欲の炎が揺らめいていた。

屈辱と快感に顔を真っ赤に染めながらも、彼によって掻き立てられた熱を、璃奈はもはや抑えることができなかった。 思考が蕩けていく中で、突き上げられる体の動きに合わせ、彼の逞しい首筋に腕を回してしがみつくのが精一杯だった。

悠真は彼女の柔らかな鎖骨に、罰を与えるかのように軽く歯を立てる。 甘い痛みに、璃奈はくっと息を詰めた。

ようやく解放されると思った矢先、悠真は不意に彼女の体を反転させ、シートの背もたれに強く押し付けた。 そして、さらに深く、激しい攻勢が始まる。

霞む視界の中、かろうじて目を開けると、すぐ間近にある男の顔は憎らしいほどに眉目秀麗で、その瞳の奥には、理性の箍が外れた濃密な欲望が渦巻いていた。

どれほどの時間が過ぎたのだろう。 璃奈は快感の後の倦怠感に身を委ね、瞼を上げる力さえ残っていなかった。

悠真は手早く身なりを整えると、ぐったりとした璃奈の体を自分のジャケットで隙間なく包み込み、壊れ物を扱うようにそっと抱き上げて車から降ろした。

家に戻る頃には、璃奈は意識を失うように深く眠り込んでいた。 透き通るような白い肌には玉の汗が浮かび、形の良い眉は苦しげに寄せられ、時折、魘されるように「やめて」と小さな寝言が漏れた。

先ほどの行為で、やはり彼女を傷つけてしまったのだろうか。

悠真は璃奈を抱きかかえたまま浴室へ向かい、温い湯で彼女の体を清めると、再びベッドへと運び、柔らかなシーツの上にそっと横たえた。

自らも手早くシャワーを浴び、バスローブを羽織ってリビングの床まで続く大きな窓の前に立つ。 慣れた手つきで一本の煙草に火をつけると、立ち上る紫煙が彼の表情を曖昧にぼかしていく。

秘書の井上陽介からだった。 「時任社長、スターライト・エンタメの者が、社長のことを調査している模様です」

今夜、璃奈と言い争っていた男――佐伯蓮司の顔が脳裏をよぎり、悠真の顎のラインが、より一層硬く引き締まった。 短い沈黙の後、「わかった」とだけ告げて通話を切る。

三年前、璃奈は佐伯と別れ、その後、彼と電撃結婚した。 あの佐伯が、このタイミングで戻ってくるとは。

二人の関係は、結婚する前から知っていた。

彼は、肺を満たした煙を静かに吐き出した。 本来なら、まだ出張先にいるはずだった。 だが、佐伯蓮司が東都に帰国したという一報を受け、あらゆる予定をキャンセルし、夜を徹して駆け戻ってきたのだ。

ホテルのエントランスで、案の定、二人はもみ合っていた。 かつて璃奈は、あれほどまでに佐伯を愛していた。 佐伯の帰国が、燻っていた残り火に再び油を注ぐことになるのではないか?

間接照明が落とす影の中、悠真の表情は窺い知れず、その瞳の奥に宿る昏い光は、ゆらめく紫煙の向こうに隠されていた。

――

一夜が明け、 空が白み始める頃。

璃奈はぐっすり眠っていて、朝九時になってやっとゆっくり目を覚ました。

気だるい体を引きずるように寝室を出ると、ダイニングテーブルには、珍しく悠真が座っていた。

まだ会社へ行っていなかったの? いつもなら、 この時間にはもう家にはいないはずなのに。

璃奈は唇をきゅっと結び、昨夜の余韻が残る気だるい足取りでテーブルへ向かうと、そこには既に温かな朝食が並べられていた。

璃奈の気配に気づいたのか、悠真は作業していたノートパソコンを静かに閉じると、彼女に視線を移し、いつもと変わらぬ平坦な声で言った。 「起きたのか。 朝食だ」

璃奈が音を立てずに隣の席に着くと、まるで気配を読んでいたかのように使用人が現れ、二人の前にそっと粟粥の椀を置いた。

音ひとつ立てない彼の食べ方は洗練されていて優雅そのもので、食事中に言葉を交わすことはほとんどない。

やがて、いつものように使用人が一冊の週刊誌を悠真の傍らに置いた。 朝食をとりながらゴシップ誌に目を通すのが、彼の習慣だった。

何気なく横目で見ただけだったが、璃奈の視線は、その表紙に釘付けになった。

そこに写し出された光景に、あまりにも見覚えがあったからだ。

璃奈の凍りついたような視線に気づき、悠真もまた雑誌を手に取った。

そして、冷ややかな瞳でその扇情的な見出しに目を通した。 『スターライト・エンタメ新社長と初恋の彼女が再会、熱愛復活か』

それは、昨夜ホテルの前で佐伯蓮司ともみ合っていたまさにその瞬間を切り取った一枚だった。 佐伯の顔は鮮明に写っているのに対し、璃奈はうつむいた横顔だけだ。 だが、彼女を知る者が見れば、それが誰であるかは一目瞭然だった。

続けて視聴する!
物語はいよいよ佳境へ!アプリに切り替えて続きを読む
全エピソードをロック解除
公式サイトを開く

おすすめの作品

挙式当日に捨てられた私、隣に座っていた御曹司が「待っていた!結婚しよう」と言った。 の小説カバー
8.9
汐見台市屈指の富豪を祖父に持つ瀧ノ上清穂は、交際して三年の北条渉との結婚式当日、最悪の裏切りに遭う。渉は彼女を「しがない田舎娘」と見下し、式を放棄して初恋の女性のもとへ去ったのだ。清穂は未練を断ち切り、隠していた令嬢としての身分を明かすことを決意。数千億円にのぼる莫大な遺産を相続し、華麗なる転身を遂げて人生の絶頂を迎えようとしていた。しかし、彼女の財産や美貌を狙う不届きな男たちが次々と現れる。清穂がそんな有象無象を冷徹に叩き潰していくなか、その姿を愉しげに見つめ、賞賛の拍手を送る一人の男がいた。それは、圧倒的な権力を持ち、世の人々から畏怖される存在である藤原だった。彼は不敵な笑みを浮かべ、「さすが俺が選んだ女だ、最高に面白い」と清穂に告げる。裏切りから始まった彼女の新たな人生は、さらなる波乱と情熱に満ちた展開へと加速していく。捨てられた花嫁から最強の相続人へ、清穂の逆襲劇が幕を開ける。
ベビーのキューピッドーあなたは私の新しいママになるか の小説カバー
8.9
ダリルにとって、五年に及ぶ結婚生活の結末はあまりにも残酷なものだった。長きにわたる苦悩の果てに、彼女は夫から別の男性へと譲り渡されるという、絶望的な裏切りを突きつけられる。しかし、新たな環境で待ち受けていたのは、予想もしない運命の出会いだった。彼女の前に現れたのは、無邪気な五歳の男の子。彼と過ごす日々は、それまでの暗い生活を一変させ、ダリルの日常を穏やかな笑顔と絶え間ない笑い声で満たしていく。ところが、そんな平穏な日々に衝撃的な事実が舞い込む。ある出来事をきっかけに実施されたDNA鑑定によって、その少年が、かつてダリルが冷徹なCEOであるザックと過ごした、一夜の過ちから生まれた実の息子であることが判明したのだ。過去の因縁と現在が複雑に絡み合うなか、彼女の人生は再び激動の渦に巻き込まれていく。元夫への絶望を乗り越え、ダリルは実の息子である少年、そしてザックと共にどのような未来を築いていくのか。奇妙な縁から始まる、新たな愛と再生の物語がいま幕を開ける。
七年間尽くした秘書ですが、最強の御曹司と契約結婚します の小説カバー
9.2
社長である高橋健の秘書として七年。私は公私ともに彼を支え、誰にも知られぬ秘密の恋人として全てを捧げてきた。しかし、その献身は最悪の形で裏切られる。健は突如、財閥令嬢との婚約を世間に発表したのだ。絶望する私に対し、彼は祖母の多額の医療費を人質に取り、あろうことか自らの結婚式の準備を命じる。さらに、嫉妬した令嬢の手で階段から突き落とされた際、血を流す私を放置して彼は保身のために令嬢を抱き寄せた。その瞬間、七年間の愛情は氷のように冷め、復讐の炎へと変わる。私は額の傷を拭い、健を凌駕する権力を持つ「最強の男」へ、ある決意を込めたメッセージを送った。「私と結婚していただけませんか」。迎えた健の結婚式当日。私は隣の式場を舞台に、彼が築き上げた全てを奪い去り、地獄の底へと突き落とすための華麗なる逆襲を開始する。捨て駒として扱われた女の、誇りを懸けた戦いが今始まる。
追い出された挙句、億万長者の実家に拾われたお嬢様 の小説カバー
9.2
「偽の娘」という汚名を着せられ、家を追われた寧寧。しかし、その瞬間から彼女の運命は劇的な変貌を遂げる。実は彼女こそが、海音市の頂点に君臨する名家の正統な令嬢だったのだ。彼女の正体が明らかになると、世界的な金融エリートや天才エンジニア、さらには伝説のレーサーといった錚々たる面々が、次々と「兄」として彼女を溺愛し始める。そんな中、彼女を捨てた元婚約者は、双子の兄との見合いの場で眩い輝きを放つ寧寧を再発見し、必死に復縁を迫る。だが、彼女の隣には常に、海音市で絶大な権力を握る実力者の姿があった。彼はエプロンを纏い、彼女のために料理を振る舞う献身的な愛を捧げている。かつて見捨てたはずの少女が、今や誰の手も届かない高嶺の花へと昇華した事実に、恩田家は激しく動揺する。自分たちが切り捨てた存在こそが、街全体が束になっても敵わない、あまりにも巨大な権力の象徴だったことにようやく気づいたのだ。逆転した立場と真実の愛が交錯する、華麗なるシンデレラストーリーが幕を開ける。
囚人番号309番の私を、世界的富豪が買い占めた夜。 の小説カバー
8.5
看護師の長谷杏奈は、夫・和夫が起こした交通事故の身代わりとして三年間服役する。獄中で人命を救い減刑された彼女は、家族との再会を夢見て予定より早く出所するが、そこで待っていたのは残酷な裏切りだった。和夫は杏奈の親友である聡子と不倫に耽り、育児放棄によって愛娘の莉々を死なせていたのだ。さらに、夫が身代わりをさせた事故の真相は口封じのための殺人であり、出所後の杏奈に保険金をかけ殺害する計画まで進んでいた。愛する娘を失い、献身を蹂躙された杏奈の心は深い絶望に染まる。しかし、かつて彼女が命を救った世界的富豪・有馬康太の手が差し伸べられたことで運命は一変する。康太の圧倒的な支援を得て新たな身分を手に入れた杏奈は、過去を捨てて上流社会へと華麗に転身。自分を陥れた者たちへの壮絶な復讐劇を開始する。それはやがて、正義と真実の愛を取り戻す戦いとなり、彼女は巨大なビジネス帝国を導く伝説の存在へと登り詰めていく。裏切りに塗れた過去を清算し、自らの手で新たな栄光を掴み取る波乱の物語。
彼の秘密の妻、彼の公衆の恥辱 の小説カバー
8.2
上司に命じられ、自殺を仄めかすVIP患者の対応に向かった看護師の私。そこにいたのは、婚約者との仲を嘆き悲しむ有名インフルエンサーのエブリンだった。しかし、彼女が愛しい男として提示した写真を見た瞬間、私の日常は音を立てて崩れ去る。写っていたのは、二年前に記憶喪失のところを私が救い、共に歩んできた夫のベンだったのだ。だが彼は建設作業員などではなく、冷酷な大富豪バーナード・ローガンとしての顔を持っていた。そこへ、高級スーツを纏った本物の彼が現れる。彼は私の存在を完全に無視し、エブリンを優しく抱き寄せた。耳に届くのは、かつて私に囁かれたのと全く同じ甘い愛の言葉。私との結婚生活や積み上げた時間は、彼にとって葬り去るべき過去に過ぎなかったのだ。エブリンを連れて部屋を去る間際、彼の氷のように冷徹な眼差しが私を射抜く。その瞳は、私を愛する妻としてではなく、自身の輝かしい経歴を汚す「排除すべき障害」として冷酷に突き放していた。裏切りと絶望の中で、私の運命は大きく狂い始める。