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身代わりの妻は天才デザイナーとして覚醒する の小説カバー

身代わりの妻は天才デザイナーとして覚醒する

夫の書斎で見つけたのは、私を「身代わり」として利用する残酷な復讐計画だった。隠しフォルダのパスワードは、彼が今も愛し続ける女性の誕生日。絶望の淵で子供の危機を訴える私の電話を、夫は彼女と過ごすために無慈悲に切り捨てた。その夜、泥酔して帰宅した彼に無理やり抱かれた私は、愛する我が子を失ってしまう。しかし、悲劇はそれだけではなかった。夫は私の食事に薬を混ぜ、二度と子供が産めない体へと作り変えていたのだ。彼にとって私は、本命の女性への償いのための道具に過ぎなかった。二年にわたる献身を無惨に踏みにじられ、未来さえも奪われた私は、離婚届を叩きつけて家を出ることを決意する。これまで夫への愛ゆえに隠し続けてきた「天才ジュエリーデザイナー」としての真の姿と、莫大な資産の封印を今こそ解く。私を無能だと嘲笑い、その人生を弄んだ男に、本当の絶望と破滅を教え込むための反撃がここから始まる。
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3

マンションに戻った理実は、薬を飲むとすぐに眠りに落ちた。

どれくらい時間が経ったのか。

玄関のドアが、重々しい音を立てて開く気配で、理実は意識を覚醒させた。

深夜。部屋はしんと静まり返っている。

理実は、無意識に掛け布団を強く握りしめた。

寝室のドアが、乱暴に開け放たれる。そこに立っていたのは、よろめく足取りの正樹だった。彼の全身から、強いアルコールの匂いが立ち上る。

そして、そのアルコールに混じって、理実の鼻を突く香りがあった。

昼間、電話越しに聞こえてきたのは、あの女性の香水の香りだったのだろうか?

吐き気が、こみ上げてくる。理実は、痛む身体を無理やり起こした。

「あなた……。大阪出張じゃ、なかったの?」

声が震える。

正樹は、ネクタイを緩めながら、理実を睨みつけた。その瞳は、酔いのせいか、あるいは別の感情のせいか、濁った光をたたえている。彼は何も答えず、大股でベッドに近づいてきた。

そして、理実の上に覆いかぶさるように、両腕を彼女の身体の両脇についた。彼の影が、理実を完全に飲み込む。

顔に吹きかかる酒気に、理実は思わず顔を背けた。

その仕草が、正樹の癇に障ったらしい。彼は、理実の顎を乱暴に掴み、無理やり自分の方を向かせた。

「やめて……」

理実の身体が強張る。

「気分が悪いの」

か細い声で訴える。腹部の鈍痛が、再び主張し始めていた。

「はっ」

正樹は鼻で笑った。

「またその手か。病気のふりをして、俺の気を引くつもりか」

その言葉に、理実の心は完全に凍てついた。

彼は、理実の抵抗をものともせず、その身体をベッドに押し倒した。

「やめて! 本当にお腹が……!」

理実は、恐怖に目を見開き、彼の硬い胸板を必死で押し返そうとする。だが、男の力は圧倒的だった。正樹は片手で理実の両手首を掴むと、頭上で枕に縫い付けた。

「お腹が痛いの! お願いだから、やめて!」

悲鳴に近い叫び。

しかし、正樹の動きは止まらない。彼は、理実のシルクのパジャマのボタンを、引き千切るように乱暴に開けた。

ビリという、布が裂ける音が静かな寝室に響き渡る。

その瞬間、理実の腹部に、突き刺すような鋭い痛みが走った。生理的な涙が、目尻からこぼれ落ちる。

正樹の唇が、まるで罰を与えるかのように、理実の首筋に押し付けられた。

理実は、強く下唇を噛んだ。口の中に、鉄錆の味が広がる。

朦朧とする意識の中、正樹が低く何かを呟くのが聞こえた。

「りかね……」

その三文字が、氷の刃となって、理実の心臓を貫いた。

ああ、やはり。

私は、この人のものではない。

彼の中にいるのは私ではない。

ぷつりと、理実の中で何かが切れた。

あれほど激しかった抵抗が、嘘のように止まる。彼女の身体は、まるで魂の抜け殻のように、ベッドの上で硬直した。

腹部の痛みが、頂点に達する。何か大切なものが、体内から引き剥がされていくような、絶望的な感覚。

視界が、急速に暗転していく。

最後に聞こえたのは、自分のものではないような、微かな悲鳴だった。

意識が完全に途切れる寸前、身動きしなくなった理実の異変に、ようやく正樹が気づいたようだった。彼の動きが止まった。

だが、もう遅すぎた。

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