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捨てられた妻の華麗なるざまぁ の小説カバー

捨てられた妻の華麗なるざまぁ

夫の深い愛を信じ抜いてきた彼女は、皮肉にもその裏切りを目の当たりにすることとなった。目の前で結婚写真を焼き捨てても、夫は愛人をあやすことに没頭し、彼女を一瞥することさえしない。冷めきった心で夫の頬を打ち据えた彼女は、不実な二人の幸せを呪うように言い放ち、その場を去った。彼女は閉鎖的な研究機関への所属を機に、彼との婚姻歴を含むすべての身分情報を抹消し、世間から姿を消す。去り際に残した「贈り物」によって夫の会社は破産寸前まで追い込まれ、狼狽する彼のもとに届いたのは彼女の死亡認定書だった。絶望に叫ぶ彼だったが、数年後の再会でさらなる衝撃を受ける。かつての妻は別人の名を名乗り、彼ですら手の届かない権力者の傍らで輝いていたのだ。必死に許しを請い、復縁を懇願する彼に対し、彼女は大人物の腕を引きながら優雅に微笑む。今の自分は、もう以前のような卑屈な存在ではない。格差を突きつけられた彼を冷ややかに見下ろしながら、彼女は二度と戻らぬ決意を胸に、華麗なる決別を告げるのだった。
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メッセージ一通に、六枚の写真が添付されていた。

絡み合う下着、固く結ばれた十本の指、握りしめられて皺になったシーツ、浴室の中に映るぼんやりした影……

こんな挑発を受け取るのは、温水妃都美にとって初めてではなかった。

他の女の手首を食い込むように掴むその大きな手を、彼女は一目で、自分が四年間連れ添った夫――江戸川幸高のものだと見抜いた。

写真の日付に目をやると、それはちょうど結婚記念日だった。

幸高は「夜に一緒に祝おう」と言っておきながら、三日間も音信不通。送られてきたのは、秘書からの「急な出張です」という一通のメッセージだけ。

急だって?

――確かに、身もふたもないほどの「急」らしい

妃都美は冷たく笑ってトーク画面を閉じ、連絡先の中から一つの番号を選んで発信した。

電話はすぐにつながった。

「みーちゃん……」

「先輩、閉鎖研究の人選、もう決めちゃったよ」

「誰?」

「私です」

電話口は凍りついたように沈黙し、やがて鋭い叱責が飛んだ。「ふざけないで! 規則は知ってるでしょ。一度閉鎖研究に参加すれば、研究が終わるまで外に出ることも、連絡を取ることも許されない。プロジェクトの一員になった瞬間、“行方不明”として処理されて、全ての記録は抹消、身分も作り直しになるのよ。あなた、家も、幸高もいらなくなるのよ?」

妃都美は壁に掛けられた結婚写真に視線を移した。

そこには、あふれんばかりの幸福が二人の瞳に宿っていた。

夫の誓いの言葉が鮮明に脳裏に響き、その甘い思い出は今や苦く、そして切なく胸を締めつける。

「もう決めました。明日、書類を取りに行きます」

そう言い切ると同時に電話を切り、相手に説得の余地すら与えなかった。

下の階からブレーキ音が響き、幸高のすらりとした姿が扉を押し開けた。整った指関節をもつ大きな手で黒いネクタイを引きほどき、そのまま浴室へ向かった。

無造作にハンガーへ掛けられた上着からは、ヴラ・ヴレクスートの新作「FIRE2」の香りが漂っていた。

火照るような熱情を象徴する香り。

彼女のような淡白でつまらない女とは正反対の。

幸高は簡単にシャワーを浴び、グレーのバスローブをまとって現れた。

ゆるく締められたベルトの隙間から、逞しい胸筋と艶めかしい腹筋がのぞく。濡れた黒髪は無造作に垂れ、立ちのぼる水蒸気がその瞳をより深く、冷ややかに見せていた。

江家の長男、金融界の貴公子――江戸川幸高は、外見も財力も、十分すぎるほどの魅力を備えている。

だがかつて心を奪われた分だけ、今の妃都美には吐き気を催すほどだった。

「何ぼーっとしてる? 見惚れたか?」

幸高は気怠げに彼女の腰を抱き寄せ、低く艶を帯びた声で囁いた。「俺のこと、恋しかった?」

言葉とともに、大きな手が腰の曲線をなぞって下へと滑り、触れられた肌に生理的な拒絶反応が走った。

妃都美は身をかわした。

幸高の手は空中で止まり、眉間にわずかな皺が寄る。

「どうした? 怒ってるのか?」

妃都美は気持ちを抑えた。感情をぶつけ合って口論するなんて、無意味だ。

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