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秘めたる想いの代償 の小説カバー

秘めたる想いの代償

六年前、愛する藤澤涼介を救うために私は彼を裏切り、その手で破滅へと追いやった。そして今、復讐に燃える彼が弁護士として私の前に再び現れる。白血病に侵され余命僅かな私に残された唯一の希望は、愛娘の希と過ごす時間だけだった。しかし、亡き夫の姉から法外な慰謝料と親権を巡る訴訟を起こされ、その代理人を務める涼介は、冷徹な眼差しで私を母親失格だと糾弾する。彼は希が自分の実の娘であることも、私の命が尽きようとしていることも知らない。かつて私を愛した面影を消し去り、私を破滅させた一族の女と新たな家庭を築く彼は、ただ憎しみだけを糧に私からすべてを奪おうとしていた。娘を守るため、私は自らの治療費を投げ打って彼女を遠くへ逃がし、孤独な病室で最期の時を迎える。涼介が新しい命の誕生を祝うその裏で、私は息を引き取った。だが、死の淵で私は彼に一通の手紙を託す。それは、彼が築き上げた完璧な偽りの世界をすべて焼き尽くし、残酷な真実を突きつけるための、最期の代償だった。
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結城恵梨 POV:

涼介の腕が愛莉を強く抱きしめた。彼にとっては本能的な庇護の仕草が、私にとっては心臓を抉る刃だった。彼は私を見た。その目は冷たく、硬い非難に満ちていて、数分前の認識の光を消し去っていた。

大学時代、パーティーで酔った男子学生が私を隅に追い詰めようとした時のことを思い出す。涼介は三歩で部屋を横切り、私たちの間に立ちはだかった。彼の体は固く、動かない壁のようだった。彼は一言も発さず、ただ相手を睨みつけ、男がすごすごと立ち去るまでそうしていた。あの時、彼は私の盾だった。今、彼は私が持っていたすべてを破壊する手助けをした女を庇っている。

「涼介さん」愛莉は彼の袖に指を食い込ませながら泣きじゃくった。「彼女の家族が何をしたか知ってるでしょ。犯罪者よ。そして彼女も…同じくらい残酷だった。あなたの奨学金のスポンサーのふりをして、みんなの前であなたを侮辱したのよ。『私の可愛い施し物』だって」

古く、捏造された侮辱が、新たな一撃のように私を打ちのめした。

「彼女はここにいるべきじゃない」愛莉はヒステリックに叫んだ。「あなたのそばにいるべきじゃない。それに、自分の娘に…自分の娘に、私たちの赤ちゃんを殺させようとしたのよ!」

涼介の表情が、純粋な侮辱の仮面に変わった。彼は愛莉の涙に濡れた顔から私の顔へと視線を移し、私の青白く、反抗的な表情に目を留めた。

「君は卑劣だな、恵梨」彼は低く、毒を含んだ声で言った。

そう言って、彼は背を向け、泣きじゃくる愛莉をその場から連れ去った。群衆は、時のヒーローによって下された判決を受け、私に最後の、非難がましい視線を投げかけながら散り始めた。

私は冷たい床に跪いたまま、娘を抱きしめていた。世界は静かで、反響する洞窟のようだった。氷のような冷気が骨の髄まで染み渡り、膝の下のリノリウムよりもずっと冷たかった。

「ごめんなさい、ママ」希は囁いた。彼女の小さな体はすすり泣きで震えていた。「ごめんなさい」

「しーっ、ベイビー」私は彼女の髪を撫でながら囁いた。「あなたのせいじゃないわ。ママはあなたが何も悪いことしてないって知ってる。あなたは良い子よ」

彼女は私を見上げた。大きな黒い瞳――彼の瞳――が涙で潤んでいた。

「ママ…あの人、私のお父さん?」

その質問は、脆く、希望に満ちたものとして宙に浮き、私はそれを打ち砕かなければならなかった。心が砕けた。言葉が出ず、ただ彼女を強く抱きしめ、私自身の静かな涙が流れ始めた。

「あの人、もうすぐ赤ちゃんが生まれるんだね」彼女は小さく、諦めたような声で言った。「もう、私のお父さんじゃないんだね?」

その夜遅く、傷心の希を病院のベッドに寝かしつけた後、私は主治医に会いに行った。告げられた知らせは厳しいものだった。白血病の進行は予想以上に速い。ストレスがそれに拍車をかけている。

「もう待てません、恵梨さん」伊藤先生は、優しい顔つきとは裏腹に、率直な言葉を告げた。「骨髄移植が必要です。今すぐに」

彼が口にした金額。それは、私が持っているほぼ全額だった。何年もの間、アルバイトやウェイトレス、清掃の仕事でかき集めた、私の貯金のすべて。それは希の未来。そして、私の命の値段だった。

私は呆然としながら彼のオフィスを出た。片手には病院の請求書、もう片方には貴子の示談要求書。私の命か、娘の自由か。その選択は、選択肢などではなかった。

病院の外で、滑らかな黒い車が私の隣で静かに停まった。窓が下がり、涼介の石のように冷たい横顔が現れた。

「乗れ」

それは要求ではなく、命令だった。

私は躊躇したが、後部座席に滑り込んだ。助手席は、私にはもう座る権利のない空間のように感じられた。車内は高価な革と、愛莉の甘ったるい花の香水の匂いがした。通気口には、二人の小さな銀縁の写真がクリップで留められている。隣の席には、二人のイニシャルが刺繍された豪華なクッションが置かれていた。

苦い記憶が蘇る。私が彼のボロボロの大学時代の車に、こっそり二人の写真を忍ばせたこと。彼がそれを見つけて笑いながらグローブボックスに放り込み、「本物が隣にいるのに、写真なんていらないだろ」と言ったこと。

「愛莉は今、とても神経質になっている」涼介は道路から目を離さずに言った。「今日の騒ぎは彼女にとって辛かった。謝罪が必要だ」

胃が締め付けられた。

「何に対して謝るの?娘が転んだこと?」

「君の家族が彼女の家族にしたことに対してだ」彼は平坦で冷たい声で言った。「君の父親の犯罪に対して。君が彼らに代わって謝罪する必要がある」

世界が目の前で揺れた。無実を訴えながら死んだ父。失意のうちに死んだ母。彼らはもういない。そして彼は、彼らの墓の上で踊った女のために、彼らの記憶を冒涜しろと言うのか。

「私の両親は犯罪者じゃない」私は、何年も感じたことのない怒りで震える声で言った。「彼らの名前は、彼女の家族のような人たちによって泥沼に引きずり込まれたの。愛莉が豪邸で『神経質』になっている間、私は妊娠して、一人で、家賃を払うためだけに背中が壊れるまで倉庫で木箱を運んでいた。誰か私の気持ちを考えたことがある?あなたは考えた?」

車内の沈黙は、窒息しそうなくらい重かった。

「あなたに謝罪すべきことがあるのは分かってる」私は声が震えるのを抑えられなかった。「あなたにしたことに対しては、一生後悔するわ。でも、新山愛莉には、何一つ借りはない」

彼は急ブレーキをかけ、人気のない道端に車を停めた。彼はシートで振り返り、その顔は雷雲のような仮面をしていた。

「本気でそのゲームをやるつもりか、恵梨?」彼は唸った。「自分に何が与えられるべきか話したいのか?君には何もない。法廷に持ち込めば、君は負ける。そして、娘を失う」

それは、生々しく、残酷な脅迫だった。弁護士は消え、傷ついた男が、今や手に入れたすべての力で反撃していた。

彼はさらに身を乗り出し、危険な囁き声に落とした。

「君が母親としてふさわしいのかどうかさえ、疑い始めている。だから言え、恵梨。希の父親は誰だ?それとも、彼も君の『遊び』の一つで、飽きたら捨てたのか?」

真実に如此近い、しかし如此遠いその質問が、最後の、壊滅的な一撃だった。めまいの波が私を襲い、血の金属味が喉を満たした。私はシャツの生地を掴み、息が荒くなった。

涙が頬を伝った。

「彼女はあなたの子じゃない、涼介」私は嘘をついた。その言葉が私を引き裂いた。「あなたに彼女のことを聞く権利はない。今更気にかける権利もない。あなたは六年前、その権利を失ったのよ」

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