
結婚記念日に失った愛と子宮
章 3
斎藤麻耶子 POV:
航輝からのメッセージは, 私にとって最後の失望だった.
私は, もう, 彼に何も期待していなかった.
私は, 彼に短いメッセージを返した. 「分かった」
そのたった二文字に, 私の心の全てが込められていた.
私の心は, 完全に麻痺していた.
私は, 航輝との結婚生活を終わらせることを決意した.
三日後, 私は退院した.
航輝からの連絡は, 一切なかった.
私も, 彼に連絡することはなかった.
私は, 病院の廊下で, 看護師から術後の注意点を聞いていた.
「無理はしないでくださいね. まだ体が完全に回復していませんから」
私は, 看護師の言葉に, 力なく微笑んだ.
「大丈夫です. ありがとうございます」
私の声は, ひどく掠れていた.
私の笑顔は, 少し寂しそうに見えたはずだ.
私は, 一人で病院のロビーを歩いた.
その時, 私の名前を呼ぶ声が聞こえた.
「麻耶子! 」
振り返ると, 親友のゆり子がいた.
彼女は, 妊娠八ヶ月のお腹を抱えていた.
ゆり子は, 私の顔を見て, ハッとした.
「麻耶子, どうしたの? 顔色がひどいわ」
彼女の心配そうな顔が, 私の心を温かくした.
私は, 平静を装いながら, ゆり子に告げた.
「私, 妊娠してたの」
ゆり子の顔が, 喜びで輝いた.
「え, 本当? おめでとう! 」
しかし, 私の言葉は, ゆり子の喜びを打ち砕いた.
「でも, 流産しちゃった. 緊急手術を受けて, 今日退院したの」
ゆり子の顔から, 血の気が引いた.
ゆり子は, 私の手を握りしめた.
彼女の目は, 怒りと悲しみで揺れていた.
「航輝は? どうしてここにいないのよ! 」
私は, 平静を装いながら, 答えた.
「航輝は, 由佳璃のお母さんの看病で忙しいの. だから, 私のことなんて, 構っていられないのよ」
私の言葉は, ゆり子の怒りをさらに煽った.
ゆり子は, 航輝の無責任さに呆れていた.
「信じられない…航輝は, 本当に最低だわ! 」
ゆり子の言葉は, 私の心を代弁していた.
私は, ゆり子の言葉を遮った.
「もういいの. 私は, 航輝のことなんて, どうでもいい」
私は, 無理に笑顔を作った.
ゆり子は, 私の顔色を見て, それ以上何も言わなかった.
ゆり子は, 私を家まで送ると言ってくれた.
私は, 彼女の優しさに甘えることにした.
私たちは, 病院のエレベーターに向かった.
エレベーターのドアが開いた瞬間, そこに航輝と由佳璃が立っていた.
航輝は, 由佳璃を庇うように, 私の前に立ちはだかった.
彼の顔には, 苛立ちと怒りが浮かんでいた.
「麻耶子, どうしてここにいるんだ? また僕をつけ回すつもりか? 」
航輝の言葉は, 私を深く傷つけた.
由佳璃は, 航輝の背後に隠れるようにして, 私を睨んでいた.
由佳璃は, 突然, その場に跪いた.
そして, 大粒の涙を流しながら, 航輝に抱きついた.
「航輝…私のお母さん, もう長くはないって…私, どうしたらいいの…」
由佳璃の芝居がかった行動に, 周りの人々が目を向けた.
航輝は, 由佳璃を抱きしめながら, 私を睨んだ.
「麻耶子, 君は由佳璃を追い詰めるつもりか? 君のせいで, 由佳璃がまたパニック発作を起こしたらどうするんだ! 」
彼の言葉は, 私の心を深く抉った.
航輝は, 私を非難し続けた.
「君のそういうところが, 本当に嫌なんだ」
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