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不治判決の御曹司婚約者のメス、赤い糸に変わっちゃった! の小説カバー

不治判決の御曹司婚約者のメス、赤い糸に変わっちゃった!

田舎の無名な医師と侮られる竹内汐月には、伝説の外科医「ゴッドハンド」という裏の顔があった。三年前の雨夜、財閥の御曹司・清水晟暉を救った彼女は、彼にとって唯一無二の救済者となる。しかし三年後、悲惨な事故が晟暉を襲い、彼は記憶と両脚の自由を失ってしまう。絶望の淵で性格まで歪んでしまった彼を救うため、汐月は自ら婚姻届にサインし、彼の妻として向き合う決意を固めた。「愛することなどない」と冷淡に拒絶する晟暉に対し、彼女は不敵に微笑みながら、リハビリという名の下で彼を翻弄していく。昼は車椅子を押し、夜はリハビリ台で彼の心拍を激しく揺さぶる日々。彼女の献身的な治療と情熱に、閉ざされていた彼の心は次第に溶かされていく。やがて完治した脚で立ち上がった晟暉は、彼女を力強く抱き寄せた。次は自身の「恋の病」を治してほしいと囁きながら。最高峰の医術を持つ女医と記憶を失った御曹司が織りなす、一途で熱烈なラブストーリー。誤解を恐れぬ二人の最強タッグが、運命の赤い糸を固く結び直していく。
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君には不釣り合いだ案の定、汐月が黙り込んでいるのを見て、竹内優桜は再び口を開いた。「でもね、清水家は名家だけど、清水晟暉はもう廃人同然じゃない。 噂じゃ、下半身不随の人って、そっちの方も不能らしいよ。 お姉ちゃん、私、本当にお姉ちゃんにそんなところに嫁いでほしくないの。 それじゃ生き地獄も同然じゃない?」

心配するふりをしているが、その瞳の奥には、汐月が自分より良い暮らしをすることへの嫉妬が透けて見える。

たとえ清水晟暉の体に問題があったとしても、彼はかつて自分が焦がれた相手なのだ。

それに、もし本当に清水家に嫁ぐことになれば、汐月が自分を凌ぐことになる。

竹内汐月は妹の浅はかな魂胆を見抜き、冷ややかに言い放った。 「私のことが嫌いでも構わないわ。 心配するふりなんてしなくていい。 だって……」

そこまで言うと、汐月はふっと言葉を切り、優桜が驚愕に目を見開くのを一瞥してから、言葉を継いだ。 「私もあんたのことが嫌いだから」

竹内優桜は、姉がここまで直接的に自分の偽善を暴くとは想定していなかったのだろう。 戸惑いの表情を浮かべ、咄嗟に言葉を返せずにいた。

竹内汐月が部屋を出ていく背中を見送り、ようやく我に返った優桜は、悔しげに床を踏み鳴らし、吐き捨てるように言った。 「何よ、偉そうに。 本当に失礼なんだから。 やっぱり田舎育ちの卑しい出ね」

汐月の足は、まだ扉の外で止まっていた。 妹の罵りを耳にした彼女は、静かに一歩下がり、振り返って優桜と視線を交わした。

「あなたのお父さんもお母さんも田舎育ちだけど、その理屈だと、二人も卑しいってことになるわね。 本人たちにそう伝えてもいい?」

竹内優桜は呆然と姉を見つめた。 その氷のように冷たい瞳に見据えられ、まるで心の奥底まで全てを見透かされているようだった。

竹内優桜の中で、竹内汐月への嫌悪がさらに増していく。

しかし、今回は何も言い返せず、怒りに満ちた表情で部屋を飛び出していった。

妹が階下へ駆け下りていくと、間もなく、母の奈美が上がってきた。

奈美の顔は険しく、明らかに不機嫌だった。

竹内汐月は、竹内優桜が告げ口をしたのだと察した。 おそらく、姉である自分が彼女をいじめたとでも泣きついたのだろう。

「あなた、優桜に何を言ったの?」

奈美は詰問する口調で娘に尋ねた。 その声には不満が滲んでいる。 来たばかりで妹を泣かせるとは、この長女がこれほど腹黒いとは思いもしなかった。

問答無用で決めつけるような物言いに、汐月は内心で舌打ちをした。

彼女は唇の端を皮肉っぽく吊り上げる。 「あの子、お母さんには何て言ったの?」

「今、私が聞いているのよ!」

逆に問い返されたことで、奈美の苛立ちは一気に募った。 やはり田舎で長年暮らしたせいで、すっかり常識知らずになってしまった。 礼儀も何もない。

「あの子が言ったのよ、私が田舎育ちの卑しい人間だって。 だから教えてあげたの。 お母さんもお父さんも田舎育ちだから、あの子の理屈だと、二人も卑しい人間になるってね」

「でたらめ言わないで!優桜がそんな失礼なこと言うわけないでしょ」 竹内奈美は怒りにわなないた。 「妹を泣かせた挙句、嘘までつくようになったの?大したもんだわ、竹内汐月。 ずいぶん偉くなったものね」

竹内汐月は馬鹿馬鹿しくなった。 しつこく問い詰めてきたのはそちらなのに、答えてやれば信じようともしない。

どうせ、自分が聞きたい答えしか求めていないのだろう。

竹内汐月は、決してやられっぱなしでいるような人間ではない。 人を怒らせる才能にかけては一流だった。

竹内奈美が信じようとしないのを見て、彼女は言い放った。 「私が嘘つきだと思うなら、それでいいわ。 どうせお母さんは優桜のことしか信じないんだから。 でも謝る気なんて毛頭ない。私が気に入らないなら、今すぐ田舎に帰るわよ。清水晟暉には優桜を嫁がせればいいじゃない」

彼女は竹内奈美の目的を知り抜いた上で、その言葉で容赦なく相手の口を封じにかかった。

「あなた!」

案の定、竹内奈美は激昂した。 しかし、竹内汐月を北央市に連れ戻した目的を思い出し、腹の底からこみ上げる怒りをどうにか抑え込んだ。

同じ腹を痛めた娘なのに、どうしてこれほどまでに違うのか、彼女には理解できなかった。

優桜は優秀で気配りもでき、いつも甘えるように話しかけてくるので、聞いているだけで心が和む。

一方、竹内汐月は出来が悪く、融通も利かず、嘘つきだ。 やはり、手元で育てなかったせいで情が湧かないのだろう。

「支度して。 これから人に会いに行くわよ。 それと、その服も着替えなさい。 佐々木さんに服を持ってこさせるから」

竹内汐月が北央市に来ることを承諾したのは、この過度に偏愛する両親のためでは決してなかった。

ニュースでその名を見た瞬間、竹内汐月は清水晟暉が誰であるかを悟っていたのだ。

彼女は孔雀のように着飾ることに興味はなかった。

だから、階下へ降りた時も、自分の服を着たままでいた。

階下で待っていた竹内奈美は、その姿を見てあからさまに不満そうな顔をした。 「どうして着替えていないの?」

「着替えたくないから」竹内汐月は気だるげに答えた。

「あなた……」

竹内奈美は、この長女が自分が思っていたほど従順で扱いやすい人間ではないことに、今更ながら気づかされた。

しかし、当面の急務は、彼女と清水晟暉の結婚をまとめることだ。

「もういいわ。 着替えたくないならそのままで行きましょう……」

-

富裕層グループのチャットで、清水涼平は竹内優桜に問いかけ続けた。

「竹内優桜、君のお姉さんは何の仕事をしてるんだ?」

同じグループチャットにいるとはいえ、竹内優桜の身分では、普段、清水家の御曹司と個人的に連絡を取ることなど夢のまた夢だった。

清水涼平自ら話しかけてきたのを見て、竹内優桜の心は一瞬にして舞い上がった。

清水涼平をないがしろにしまいと、彼女は非常に積極的に返信した。

「母から聞いた話だと、姉は田舎の小さな町で医者をしているそうです」

医者?

医者なら、兄の世話もよりよくできるだろう。 清水涼平は、彼女が醜いという事実をどうにか呑み込もうとした。

竹内奈美は、竹内汐月が景原市医科大学の修士課程を卒業したと吹聴していた。

竹内優桜は、自分が血のにじむような努力で手に入れた景原市医科大学合格という栄誉を。

姉にいとも簡単に横取りされたくはなかったのだ。

己の思惑を胸に、竹内優桜はさりげないふりを装って情報を漏らした。 「でも、姉はセンター試験も受けていないし、大学にも行っていないんです。 たぶん、田舎の先生に手習いで教わっただけだと思います」

「何?大学にも行っていないのか?」

途端に、汐月の「医者」という肩書きに、胡散臭さがまとわりつき始めた。

清水涼平は不快で、腹立たしかった。

兄はハーバード大学を卒業した秀才だ。 醜い女と結婚させられるだけでも我慢ならないのに、教養すらない人間だとは……。

結局、我慢できず、清水涼平は兄にショートメッセージを送った。

「兄さん、あの竹内汐月と結婚するのはやめてくれ。 彼女は兄さんには釣り合わない。 妹から聞いたけど、大学も出てないそうだ。 ブスなだけじゃなく、無教養なんて……」

清水晟暉は、すでに香雅レストランの個室で待っていた。

そこは静謐で優美な個室だったが。

清水晟暉も清水夫人も、窓外の景色に目をやる気にはなれなかった。

清水夫人にとって、この見合いはただの取引に過ぎない。

清水晟暉にとって、それは自らの無能さを証明するための宴でしかなかった。

携帯電話の通知音が鳴り、清水晟暉は弟から送られてきたメッセージに目を通す。

その端正な顔には、何の感情も浮かんでいなかった。

清水夫人もまた、清水涼平からのメッセージを目にしていた。

彼女は目を伏せ、言った。 「晟暉、お母さんを恨まないで。 お母さんには、他にどうしようもなかったの」

息子が結婚し、密かに養子を迎えて実子と偽れば、彼に関する悪評は自然と消え去るだろう。

清水晟暉の唇に、自嘲の笑みが浮かぶ。

恨む資格など、自分にはない。

父を死なせたのは、この自分なのだから。

しかし、清水晟暉は清水涼平に一言だけ返信を送った。

「礼儀をわきまえろ」

それを見た清水涼平は、腹の虫が収まらなかった。

こんな時だというのに、まだ礼儀に気をつけろだと。 兄貴は一体、要点を分かっているのか!

一方、竹内汐月と竹内奈美はすでに香雅レストランに到着していた。

汐月は背が高く足が長い。 フラットシューズを履いているにもかかわらず、ハイヒールを履いた奈美は、早足になっても、娘の歩みに追いつくのがやっとだった。

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