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砕かれた愛と、アレルギーレシピの秘密 の小説カバー

砕かれた愛と、アレルギーレシピの秘密

弟のアレルギーを治療するための特製レシピを手に、婚約者・真和のオフィスを訪れた理春。しかし、そこで彼女が耳にしたのは、あまりにも残酷な真実だった。真和にとって理春との愛は、自身の政治生命を守るための単なる道具に過ぎなかったのだ。かつて弟が遭った事故の真犯人は真和の妹・心菜であり、彼はその証拠を隠蔽するために理春を欺き続けていた。さらに、心菜によって海に突き落とされ、お腹の子を失った理春に対し、真和は妹を庇うばかりか彼女の精神を疑う言葉を放つ。愛する男に裏切られ、希望も子供もすべてを奪われた理春。しかし、絶望の淵で彼女は真和の金庫から、彼らを破滅させる決定的な証拠を掴み取る。恩師の助けを借りながら、理春は自分からすべてを奪った者たちへの冷徹な復讐を開始する。信じていた絆が憎しみへと変わる時、隠された罪が白日の下にさらされる。
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松原理春 POV:

疲れ果てた体を引きずるように, 私は自宅へ戻った. マンションの廊下は, 重々しい沈黙に包まれている. ドアを開けると, リビングに明かりが灯っていた.

「理春, おかえり」

ソファに座っていた真和が, 私に気づいて立ち上がった. 彼は, いつものように優しい笑顔を浮かべ, 私に近づいてくる. 私の心臓は, 警鐘のように激しく鳴り響いた.

「遅かったね. 心配したんだよ」

真和は, 私の疲れた顔を見て, 心配そうに眉を寄せた. 彼は, 私の手に触れようと手を伸ばした. しかし, 私は, 反射的に彼の接触を避けた. 彼の温かい手は, 私には燃えるような毒のように感じられた.

「…どうしてここにいるの? 」

私の声は, 自分が思っていたよりもずっと冷たかった. 私は, 彼に直接問い詰めることにした. もう, 彼の嘘に付き合うのはうんざりだった.

「どうしたんだい, 理春?  僕の家に, 僕がいて, 何かおかしいことでもあるのかい? 」

真和は, 困惑したように私を見つめた. 彼は, まだ私を騙し続けようとしている. その事実に, 私の胃から込み上げてくる吐き気を抑えられなかった.

「心菜は?  どこへやったの? 」

私が問い詰めると, 真和の表情が一瞬だけ凍り付いた. 彼は, すぐにいつもの優しい笑顔を取り戻したが, その一瞬の動揺を, 私は見逃さなかった.

「心菜かい?  ああ, 彼女は急な出張で, しばらくは僕たちの新しい家で過ごすことになったんだ. 君も知っているだろう, あの新しい別荘のことだ」

彼の言葉に, 私は激しい怒りを覚えた. 私と彼の新しい家. それは, 私たちが一緒に選び, 夢を語り合った場所だ. その場所に, 心菜を住まわせる?  私の聖域が, 汚された.

「ここは, 私たち二人の家だったでしょう?  どうして, 心菜がここに住むのよ! 」

私の声は, 感情に任せて震えていた. かつて, この家で, 私たちは未来を語り合った. 壁の色, 家具の配置, 全てを一緒に選んだ. あの頃の幸せな記憶が, 今となっては, 私を深く深く傷つける毒となった.

私の聖域が, 侵された. もう, この家に, 私の居場所はなかった. 真和は, 私の聖域を, 私の心を, まるで取るに足らないもののように扱ったのだ.

「理春, どうしたんだい?  心菜が羨ましいのかい? 」

真和は, 不機嫌そうに眉をひそめた. 彼の言葉に, 私は侮辱されたと感じた. 彼が, 私を嫉妬深い女だと決めつけていることに, 心が冷え切った.

「私が, 心菜を羨ましいですって?  ふざけないで! 」

私は, 怒りに任せて叫んだ. しかし, 私の声は, すぐに力なく消えていった. 彼の心に, 私の言葉は届かない. その事実が, 私を深く絶望させた.

私の心は, 完全に冷え切ってしまった. 彼とこれ以上, 何を話しても無駄だ. 私は, 争う気力さえ失っていた. 私の感情は, 彼にとって何の意味も持たないのだ.

夜が深まり, 真和は私に近づいてきた. 彼は, 私の体に手を伸ばし, 優しく抱きしめようとした. しかし, 私は, 彼の接触を避けるように体をずらした. 彼の抱擁は, 私には偽りの檻のように感じられた.

その時, 真和の携帯電話が鳴り響いた. 画面には, 心菜の名前が表示されていた. 彼は, 一瞬だけ私を見て, それから電話に出るために部屋を飛び出していった. 彼は, 心菜のもとへ向かうのだ. 私の心は, 深い絶望に沈んだ.

真和は, 私を抱きしめたまま, 私の唇にキスをした. そのキスは, 私には冷たく, そして偽りに満ちていた. 彼の唇が離れると, 私は, その場所に灼熱の痛みを覚えた.

私は, 闇の中で一人目覚めた. 真和は, 私の隣にはいなかった. 彼は, 心菜のもとへ行ったのだ. 孤独が, 私の全身を蝕んでいく.

彼のキスが, 今も私の唇に焼き付いている. それは, 私を深く傷つける毒のキスだった. 私は, 彼にとって, ただの道具でしかない. その事実が, 私の心を深く深くえぐった.

私は, ベッドから起き上がった. もう, この家にはいられない. 私は, 荷物をまとめ始めた. 私の持ち物だけを, 慎重にバッグに詰めていく. 彼との思い出の品は, 全てこの家に置いていく.

私は, 夜が明けるのを待った. 時間は, 私にとって永遠のように感じられた. 真和は, 一晩中帰ってこなかった. 彼の行動が, 私の決意をさらに固めた.

夜が明け, 私は, 書斎へと向かった. 真和の書斎は, いつも施錠されていた. 私は, 彼の机の引き出しを開けた. そこには, 小さな金庫が隠されていた. 私は, 震える手で金庫のダイヤルを回した.

彼の結婚記念日. その数字を打ち込むと, 金庫は音を立てて開いた. 開いた金庫の中には, 私を深く傷つける, 真実の証拠が隠されていた. 皮肉なことに, 私たち二人の幸せの象徴である結婚記念日が, 私を深く傷つける真実の扉を開いたのだ. 私は, 心臓が握り潰されるような痛みに襲われた.

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