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番に拒絶され、敵のアルファに奪われる の小説カバー

番に拒絶され、敵のアルファに奪われる

「銀月の群れ」のアルファ、桐生蓮の伴侶として十年にわたり尽くしてきた。本来なら今日は、私がルナとして戴冠する栄光の日になるはずだった。しかし式の直前、私は残酷な真実を知る。蓮は私を「不毛の土地」と蔑み、妊娠した愛人の恵美を新たなルナに据えようと画策していたのだ。公衆の面前で彼は偽の診断書を突きつけ、私の不妊を捏造した。さらに、恵美を傷つけたという濡れ衣まで着せられ、私は絶望の淵に立たされる。蓮のアルファ・コマンドによって屈服させられた私に下されたのは、銀の鞭打ちという無慈悲な刑罰だった。背中を切り裂かれ、死を待つばかりの状態で森に捨てられた私を救ったのは、敵対する「黒森」の群れを率いる冷酷なアルファ、黒崎巌だった。意識を取り戻した私の前に現れた宿敵は、傷ついた私の姿を見下ろし、かつて私が浴びせられ続けた「役立たずの雌狼」という言葉を低く口にする。裏切りと屈辱にまみれた過去を捨て、敵の手に落ちた私の運命は、ここから大きく動き出すことになる。
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ユリ POV:

私の最初の本能は、命乞いをすることだった。剥き出しの、必死の生存本能が、痛みを乗り越えて這い上がってきた。

「お願い」

私はかすれた声で囁いた。

「無意味よ。蓮は私のために身代金を払ったりしない。彼は私を追放したわ。彼は…私が不妊だと思ってる」

その言葉は、舌の上で毒のような味がした。

黒崎巌は何も言わなかった。ただ、影で表情の読めない顔で、私を見つめていた。彼の沈黙は、どんな脅しよりも恐ろしかった。

突然、私の脚で振動が始まった。ジーンズのポケットに入ったままのスマートフォンだ。何度も何度も震えている。

巌は眉をひそめ、無言で問いかけた。私の手は縛られていたので、彼が手を伸ばし、太ももに指が触れるのを感じながらポケットからスマートフォンを取り出した。それは一瞬の、偶然の接触だったが、奇妙な温もりが私を駆け巡り、血管を満たす冷たい恐怖とは全く対照的だった。

彼はスワイプしてロックを解除し、画面に目を走らせた。振動が止まる。彼は私が見えるようにスマートフォンを向けた。

画面は恵美からの通知で埋め尽くされていた。

次から次へと、残酷な言葉の奔流。

恵美:「アルファの屋敷に引っ越したわ。前の私の部屋よりずっと広い」

恵美:「あなたの古い服はポーチのゴミ袋の中よ。燃やしてあげようか?」

そして、写真が送られてきた。

それは彼女と蓮が、主寝室で絡み合っている写真だった。私の寝室。私が何年もかけて飾り付け、柔らかな毛布と香りの良いキャンドルで満たした部屋。蓮は、私が十年もの間渇望してきた眼差しで彼女を見ていた。無防備で、独占欲に満ちた、優しい眼差しで。

胃がひっくり返り、吐き気の波が押し寄せた。

写真の下には、最後のメッセージがあった。

恵美:「もうすぐ、私はルナの称号を手に入れ、月の女神様は私たちの子を祝福し、そしてあなたは何もかも失うのよ」

何もない。その言葉は、かつて私の心臓があった空洞に響き渡った。

愛した男が、私たちのベッドで、他の女といる写真を見つめていると、奇妙な熱が私の奥深くで燃え上がった。それは怒りだけではなかった。荒々しく、制御不能なエネルギーの奔流。最も深い感情的な裏切りから生まれた、肉体的な苦痛だった。血が沸騰し、肌が熱っぽく疼くようだった。それは拒絶の痛み、銀の毒、そして目の前に立つアルファの存在によって呼び覚まされた、何か古く、根源的なものだった。

私はロープに逆らってもがき、喉から絞り出すような嗚咽が漏れた。

「やめて!お願い、もうやめて!」

必死の動きで弱っていたロープが、突然切れた。私の体は前方に傾き、崖の端から落ちていった。

一瞬、風の音と眼下のギザギザした岩しか見えなかった。私は、落ちていた。

その時、何かが目にも留まらぬ速さで動いた。

巌は人間とは思えない速さで動いた。彼は一瞬で私たちの間の距離を詰め、力強い腕が私の腰を掴み、崖っぷちから私を引き戻した。彼は私を強く胸に引き寄せ、私の背中は固い筋肉に叩きつけられた。

彼のむき出しの腕が、めくれ上がったシャツから覗く私の肌に押し付けられた。彼の肌が私の肌に触れた瞬間、それは起こった。

稲妻のような、激しく眩い衝撃が、私の全身を駆け巡った。それは痛くなかった。それは…すべてだった。純粋なエネルギーの流れが、すべての神経終末を歌わせた。眠っていた、悲しみに暮れていた私の内なる狼が、突然目を覚まし、頭をもたげ、認識の無言の遠吠えを上げた。

巌は凍りついた。彼の体がこわばり、筋肉が硬直するのが感じられた。彼の息が止まった。

冷たく計算高かった彼の視線は、今や混乱と、もっと暗い何か、獰猛なまでの独占欲が渦巻く嵐の海となっていた。

「死にたかったのか?」

彼は低い声で唸った。その声は私の背中で振動した。だが、その怒りはすぐに消え去り、不本意ながらも柔らかなものに変わった。

「彼の残酷さを見くびっていた」

彼はゆっくりと力を緩めたが、完全に離しはしなかった。彼は身を乗り出し、顔を私の首に近づけた。彼の温かい息が肌にかかり、彼は長く、深く息を吸い込んだ。

彼の香りが、私の五感を満たしていく。嵐の後の松林のような、野性的で澄んだ匂い。そして、吹雪の到来を告げるような、鋭く冷たい空気の香り。それは力強く、陶酔するようで、私の魂は緊張を解き、生涯探し求めていた香りを認識したようだった。

彼の狼は満足していた。それが感じられた。彼の胸の中で、低く満足げな唸り声が響いた。

彼は親指で、私の口の端についた血の跡を優しく拭った。彼の触れ方は、もはや捕獲者のものではなかった。それは、まったく別のものだった。

彼の瞳が、暗く、強烈に私を捉えた。

「取引をしよう」

彼は低い囁き声で言った。その声は私の背筋を震わせた。

「彼の元へ戻れ。お前の両親が遺した指輪を取り返してこい。彼が着けている、あの指輪を」

彼は一瞬言葉を切り、その視線は揺るがなかった。

「それを俺のところに持ってくれば、お前を自由にしてやる」

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