フォローする
共有
小悪魔な君を、甘やかしたい――病み系社長の愛情攻撃 の小説カバー

小悪魔な君を、甘やかしたい――病み系社長の愛情攻撃

信頼していた者たちに裏切られ、誹謗中傷の嵐の中で家族を失い、悲惨な最期を遂げた白川南音。しかし、彼女は過酷な運命を乗り越え、前世の記憶を抱いたまま再び生を得る。二度目の人生では、もはや甘い言葉に惑わされることはない。かつて自分を陥れた者たちへの情けを捨て、恩義や恋慕といった感情さえも断ち切る決意を固めたのだ。南音は知略を尽くして仇敵を追い詰め、没落した一族の栄光を取り戻すために孤独な戦いを開始する。そんな彼女の前に現れたのは、前世で唯一、決して手が届かなかった孤高の男だった。「今度こそ、君を迎えに来た」という彼の言葉は、復讐に燃える彼女の心を激しく揺さぶっていく。失った人生を取り戻すための熾烈な復讐劇と、運命に導かれた再会が織りなす再生の物語。冷徹な社長からの執着心にも似た愛情攻撃に翻弄されながら、南音は予期せぬ愛の形を知ることになる。どん底から這い上がるヒロインが掴み取る、鮮やかな逆転ロマンスが今幕を開ける。
共有

2

白川南音は、まるで他人のものを黙って持ち出した盗人のような扱いを受けていた。

「今どこにいる? 雪織にそのネックレスをつけてパーティーに出てもらう約束をしたんだ。 すぐに返してこい!」

入口で招待状を手渡しながら、南音は電話口に冷笑を浮かべて言い放った。「そのネックレスは、私が白川家から持ってきた嫁入り道具よ。 どうして他人に勝手に使わせられるの? それとも朝倉家って、もうそんなに逼迫してるの?妻の持参金まで引っ張り出さなきゃ回らないなんて、情けない話ね」

朝倉奏真は言葉を詰まらせた。

しばしの沈黙のあと、低く重たい声が返ってくる。

彼は厳しい声で言った。 「南音、これが最後の警告だ。 さっさと返せ。俺を本気で怒らせたら、どうなるか分かってるよな」

あの声色は、かつて彼が全ての我慢を打ち捨てたときの合図だった。

続くのはいつも、連絡先の削除とブロック、そして最低一ヶ月のシカト。 南音がどれだけ頭を下げ、声を震わせても、彼の微笑みひとつさえ返ってこなかった。

前世――彼のご機嫌をうかがうことがすべてだった日々を思い返し、南音は内心で吐き気を覚える。

「じゃあ、私からも最後にひとこと言わせてもらうわ」 声に棘を含ませて、彼女は言い放つ。「妻の持参金で、他の女に『贈り物』って――朝倉奏真、君は社長のくせにヒモ気取り 「怒りたいなら好きなだけ怒れば? 病気の、早期発見を祈ってるわ」

言うが早いか、電話を一方的に切った。受話器の向こうで、奏真が歯ぎしりしている気配が手に取るようにわかる。

いつもは彼が電話を切る側だった。南音から切られるなんて、彼にとっては屈辱だったに違いない。

すぐ隣でその様子を見ていた朝倉雪織が、恐る恐る声を上げる。「奏真お兄ちゃん……南音お姉ちゃん、もしかして……私と一緒にオークションに行くのが気に入らなくて、 わざとネックレスを貸してくれなかったのかな……?」

その言葉に、朝倉奏真の怒りはさらに勢いを増し、炎のように燃え上がった。

「またその手か……俺の気を引きたいばかりに、 こんな見え透いた真似をするとは。結婚してまだ一年ちょっとで、白川南音がここまで浅ましい女になるとはな……」吐き捨てるような声には、嘲りと失望が滲んでいた。

南音がネックレスを返す気がないと悟った朝倉雪織は、内心の苛立ちを必死に抑えながら、泣きそうな顔で口を開いた。

「……もう、いいよ。私、宴には行かない。 たかが一本のネックレスのために、南音お姉ちゃんがここまで敵意を向けるなんて……もし本当に私があなたのパートナーとして現れたら、どれだけ取り乱すかわからないし」

「取り乱させておけ 恥をかくのは白川家なんだからな!」

怒鳴ったあとで、奏真はふうっと息を吐き、感情を整えるように雪織の髪をそっと撫でた。「心配するな。君には必ず、エメラルドのネックレスを身に着けさせてやる。今日の会場で、誰よりも美しく、誰よりも注目を集める存在にしてみせる」

その言葉に、雪織の瞳がぱっと輝いた。 「さすが奏真お兄ちゃん……私、やっぱり一番好き!」彼の胸元に顔をうずめ、雪織は嬉しそうに甘えた。

一方その頃、会場に足を踏み入れた白川南音のもとへ、スーツ姿のプロフェッショナルが丁寧に頭を下げながら近づいてきた。

「朝倉夫人、今回のオークションでご出品される品について、お伺いしてもよろしいでしょうか?」

南音は歩みを止め、ほんの一瞬だけ思案の間を置いたのち、静かに言った。「今回の出品は……朝倉家ではなく、私個人の名義でお願いしたいのですが、 可能かしら?」

マネージャーは一瞬言葉を失い、すぐに表情を戻して丁寧に答えた。「もちろん可能です。 オークションはすべて、出品者様のご意志を最優先とさせていただいております」

南音は軽くうなずくと、首元にかかったエメラルドのネックレスにそっと手を添えた。

「私の出品物は……このネックレスよ」

その言葉に、マネージャーの目が見開かれる。 彼はこの世界で長年オークションを取り仕切ってきたプロフェッショナルだ。そのネックレスがいかほどの価値を持つか、ひと目で理解した。

「奥様……その、ご厚意には心から感謝申し上げます。しかしながら、今回のオークションは主に慈善活動を目的とした場でして、また、これは一ノ瀬家が各界名士との親交を深めるための社交の場でもあります。決して本格的な競売ではないのです」 「このネックレスの素材は極めて希少で、職人の技術も最上級。それに……かなりの年代を経た継承品であることも、拝見すればすぐにわかります。 このような場所で出品されるのは、いささか“宝の持ち腐れ”になってしまうのではと……」

白川南音の唇に、ふっと意味深な笑みが浮かんだ。 もちろん、このネックレスの価値は誰よりも自分が知っている。祖母が嫁入り道具として、特別に誂えてくれた品だ。本来であれば、人前に出すつもりなど毛頭なかった。

だが――前世の記憶が蘇る。朝倉雪織が、注目を集めたいがために彼女の了承も得ず、このネックレスを勝手に出品したのだ。

それを会場の主催者である一ノ瀬家の老夫人が一目で気に入り、その場で最高額で落札。さらに、その縁で朝倉家と一ノ瀬家の提携話が持ち上がり、朝倉家は一気にただの名家から上流の頂点へと駆け上がっていった――。

かつて――このネックレスの本当の持ち主である白川南音が、ただ自分の物を取り戻そうとしただけで、 朝倉奏真から「狂った女」呼ばわりされ、朝倉奏真から「狂った女」呼ばわりされ

その日を境に、彼女は一切の社交の場から姿を消した。

ならば今回は――誰かのために尽くすのではなく、自らの意思で、この手に勝利をつかむ。

「慈善の名のもとに行うのなら、差し出すものには誠意と真心が必要だと思います。それが、きっと一ノ瀬老夫人がこの晩餐会を開かれた本当の目的ではないでしょうか」その一言は、気品と気概をにじませながらも、決して押し付けがましくない。聞いていたマネージャーも、自然と目に敬意の色を浮かべた。

「ただ……ひとつだけ、お願いがあるんです」白川南音は微笑みを添えて言った。 「このネックレスを紹介する際、私自身がモデルとしてステージに上がりたいのです。だって、このネックレスのことを一番よく知っているのは、私ですから」

マネージャーは一瞬目を丸くした。このようなリクエストは通常ルールに反する。だが、そもそも慈善オークション自体が格式ばったものではない。出品者の意向を尊重するのが通例だ。

「承知いたしました。ステージの準備が整いましたら、こちらからご案内させていただきます」

そのやり取りのすべてが、二階の特別室からじっと見つめる二人の目に映っていた。 ひとりは香槟色のスーツに身を包み、胸元のシャツははだけ、鍛えられた胸筋を惜しげもなく覗かせている男。派手で自信満々、まるでステージの主役のような存在感だった。

「すげぇな、白川のお嬢様って、そこまで思い切る? あんな超一級のネックレスまで持ってくるとは。しかも自分がモデルだなんて…… あれを落札したら、否応なしに注目の的だろ?」

そう言って、彼はソファに座るもうひとりの男に視線を送った。その男は半身を影の中に沈め、表情の多くは窺えない 「なあ……彼女、もしかしてお前の祖母さんが、ずっとあのネックレスを欲しがってたこと、知ってるんじゃないのか?」

静かにワインを口に含んだ一ノ瀬 澪は、しばらく黙ったままグラスを揺らし――やがて低く呟いた。 「……彼女、結婚してるはずだろう? なのに、どうして一人で来てる?」

おすすめの作品

清水さん、お元気でしたか。元夫の天敵に三年越しで溺愛されています の小説カバー
8.0
結婚生活を送った三年間、清水瑠衣は冷徹な夫・立川蒼空の心を愛で溶かせると信じていた。しかし、その期待は土砂降りの夜に打ち砕かれる。彼女が命懸けで撮影したユキヒョウの写真は、夫が新恋人を写真界の頂点へ導くための道具に利用されたのだ。夫が別の女を抱き表彰台に立つ影で、瑠衣はアフリカの病院で生死の境を彷徨っていた。絶望した彼女は離婚届を残して失踪し、自らの力で栄光を掴むと誓う。月日が流れ、セレンゲティでカメラを構える彼女の前に現れたのは、元夫の宿敵であり、巨大資本を操る極東グループの支配者だった。彼は瑠衣を車との間に追い詰め、独占欲を孕んだ声で囁く。「同情ではない。立川が手放した至宝を愛おしんでいるだけだ」と。逃げ場を失った彼女は、その掠れた告白から真実を知る。彼は三年前から、密かに彼女を我が物にしたいという情熱を燃やし続けていたのだ。元夫の天敵による、執着と溺愛に満ちた逆転劇が幕を開ける。
追放された妻、正体は世界がひれ伏す天才たちでした。 の小説カバー
9.0
実父の手によって十億円と引き換えに名家へ売られた彼女は、植物状態の御曹司の妻となる。しかし、目覚める前から彼女を弄んでいた「夫」は、意識を取り戻すや否や「無理やり触れた責任を取れ」と理不尽な要求を繰り返し、執拗に彼女の身体を求めた。そんなある日、彼女の妊娠が判明した瞬間に、彼の「かつての想い人」が帰還する。男は冷酷に離婚届を突きつけ、約束の相手と結婚すると告げた。彼女は手切れ金の札束を彼の顔に叩きつけ、その場を去る。後日、華やかな宴で再会した彼女の正体は、世界が崇める伝説の天才たちだった。ハッカー、レーサー、脚本家、そして彼が切望していた名医。その全てが彼女だったのだ。後悔に震える男は「命に代えても守る」と許しを乞うが、彼女は「なら今すぐ死んでみせて」と冷たく言い放つ。彼は誓い通り命懸けで彼女を支え続けるが、一つだけ知らない真実があった。彼女は最初から、彼が口にした「想い人」の存在が真っ赤な嘘であることを知っていたのである。
冷遇令嬢、実は天才。婚約破棄した彼らにざまぁ! の小説カバー
9.0
桜井陽葵は、家族から「無能で醜い」と蔑まれ、冷遇される日々を送っていた。対照的に継母の娘・莉子は才色兼備と謳われ、名家・高木家の後継者である峻一との結婚を控え、陽葵を「一生私の足元にいろ」と見下していた。しかし、運命の結婚式当日、人々が目にしたのは峻一の妻として現れた陽葵の姿だった。誰もが「すぐに捨てられる」と嘲笑し、彼女の追放を待ち望んだが、事態は予想外の展開を見せる。陽葵の正体は、医薬界の女王や金融界の大物、さらにはAI界の権威といった、世界を揺るがす天才的な顔をいくつも持つ真の実力者だったのだ。次々と明かされる驚愕の真実を前に、汐風市は騒然となり、かつて彼女を侮辱した山口家や幼なじみは激しく後悔し、手のひらを返して媚び始める。だが、峻一が世界に向けて公開したのは、誰もが息を呑むほど美しい陽葵の素顔だった。SNSを瞬く間に席巻し、真の姿を現した彼女の逆転劇が今始まる。
彼の身代わりの億万長者の秘密帝国 の小説カバー
9.3
無名のミュージシャンだった神谷蓮を、5年の歳月をかけてIT業界の覇者へと押し上げたのは、恋人である私だった。世間には貧しい女を装いながら、裏では彼の帝国を支えるエンジェル投資家として君臨してきたのだ。しかし、成功を収めた蓮が連れてきたのは、私に酷似した過去の女、片桐玲奈だった。玲奈は私の生活を侵食し、蓮の寵愛を奪っていく。私が抵抗を試みると、蓮は豹変した。彼は私を拉致して地下オークションの競売品として晒し、絶望の淵に突き落とした後、救世主を演じて私を支配下に置こうとしたのだ。さらに、彼は玲奈に対し「遥は君の身代わりに過ぎない」と冷酷に言い放つ。蓮は私が自分に依存していると信じて疑わないが、その傲慢さが命取りとなる。彼が知らない間に離婚手続きは完了しており、私は真の協力者である桔平へ連絡を入れた。「準備は整いました。結婚しましょう」。すべてを失うのは、私ではなく彼の方だ。真の力を持つ私の、静かな逆襲が幕を開ける。
ハニー、俺の隣に戻っておいで  の小説カバー
9.0
二年前、ニーナは面識のない男性と、ある特別な条件を交わした契約結婚に踏み切った。その契約には、他者との不貞を固く禁じる項目が含まれていた。しかしある夜、運命の悪戯か、彼女は訪ねるべき部屋を間違えてしまう。そこで出会った見知らぬ男性に、守り続けてきた純潔を奪われるという予期せぬ事態が起きてしまった。契約違反によって生じる高額な慰謝料の支払いに追い詰められたニーナは、自ら離婚を決意し、関係を清算するための協議書を作成する。意を決して、それまで一度も顔を合わせたことのなかった夫のもとを訪れた彼女を待っていたのは、あまりにも衝撃的な真実だった。目の前に現れた「夫」の正体は、あの一夜を共にしたあの時の男性だったのである。逃れられない契約と、一夜の過ちから始まった複雑な愛の行方はどこへ向かうのか。億万長者の夫と、何も知らずに飛び込んだ妻が織りなす、波乱に満ちた現代ロマンスが幕を開ける。二人の再会が、隠されていた真実を次々と明らかにしていき、静かだった結婚生活は激動の渦へと巻き込まれていくことになる。
あなたの兄の子を、私は産みます の小説カバー
9.4
莫大な資産を誇る名家の「真の御曹司」である夫。彼の父親は、兄弟のうち先に長男を授かった者に百数十億元の遺産を継がせると宣言した。結婚生活が三年を過ぎたある日、誠実さを装っていた夫は、残酷な言葉を妻に突きつける。「君との間に子供は望めないが、愛人は僕の子を身籠った。僕にとって跡継ぎがどれほど重要か理解できるだろう?」と、不妊を理由に別れを告げたのだ。しかし、彼女はその屈辱的な言葉を突きつけられても、ある真実を語ることはなかった。その後、彼女が選んだ道は、元夫の兄と結婚することだった。やがて新しい命を宿して屋敷を訪れた彼女に対し、元夫は驚愕し「君は妊娠できないはずだ」と取り乱す。周囲が困惑し沈黙が流れる中、彼女は冷ややかな笑みを浮かべて言い放った。「私を疑う前に、まずは自分自身の体を病院で診てもらったら?」と。これは、不実な男に捨てられた女が、彼の兄の妻となり、完璧な形で復讐を果たす物語である。