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新しい始まり の小説カバー

新しい始まり

規律を重んじて生きてきたエデン・マクブライドは、結婚式を一ヶ月後に控えながら婚約者の裏切りに遭う。絶望する彼女にセラピストが提案したのは、心の傷を癒やすための「リバウンド」となる新たな恋だった。そんな彼女の前に現れたのは、物流大手の後継者であり、女性と三ヶ月以上付き合わないことから「三ヶ月王子」と揶揄されるリアム・アンダーソンだ。一夜限りの関係で終わるはずだったが、翌朝、エデンは彼の愛用するデニムシャツを奪って姿を消してしまう。去りゆく女性を追ったことのないリアムだったが、自分から何かを盗み、潔く去った彼女に強い興味を抱き、再会を誓う。しかし、大都会で一人の女性を捜し出すのは至難の業だった。それから二年後、運命に導かれるように二人は再会を果たす。だが、かつての純真さを失ったエデンには、命懸けで守り抜かなければならない大きな秘密があった。一方、リアムは彼女が持ち去ったシャツ、そしてそれ以上に価値のある「あるもの」をすべて取り戻そうと、彼女を追い詰めていく。二人の再会は、止まっていた運命の歯車を再び激しく回し始める。
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2

「もし、このクソみたいな列があと二分動かなかったら、私、帰るからね」と彼女は言いながらコートで体を包み、友達が『見栄えが悪い』とコートを着てくるのを辞めさせようとしても、先を見込んで着て来たことをよかったと思った。

その時、店の入り口の前でランボルギーニが音をたてて止まり、それに続きフェラーリとポルシェも止まった。 周囲にあるオフィスタワーと同じくらい背が高く、ファッション雑誌からそのまま飛び出てきたような男性陣がその三台の車から降りてきて、バレーサービスの駐車係に彼らの車の鍵を投げ渡し、ドアに向かって歩いて行った。

なかなか進まない長蛇の列のせいか、ここ数週間のストレスのせいか、エデンは長身の六人が列を無視して中に入って行こうとしているのを見て、我慢の限度に達し、 何も考えず、列から歩き出て友達を引き連れ入り口に押し寄せて行った。

彼女はとても背の高い赤毛の男の肩を軽くぽんとたたくと、彼と一緒にクラブに入れるように甘い言葉で話しかけようとしたが、 向こうが振り返って彼女を見ると、太い眉毛を不番そうにひそめた。

エデンは息を飲むように一瞬硬直し、考えをまとめるため軽く息をしたが、 その髪が炎のように明るい赤毛だったので、目は緑色だろうと彼女は思っていたが、 まさか、デニムブルーだとは思っておらず、 その目に惹きつけられていく自分に、更にどうしていいかわからずにいた。

「エデン、面倒ごとだけは起こさないで」シエナは歯を食いしばりながら、彼女の腕を引っ張った。

しかし、エデンは上品ぶる必要はないと思っており、 自分がバカなことをしているとは思わなかった。

彼女はタワーのように背の高い男に合わせるように思い切り背伸びをしたが、 ジミーチュウのハイヒールを履いていても、まだ彼を見上げなければならなかった。

「どうしたの?」 彼は半径一キロ圏内にいる女性のパンティーをも溶かしてしまうほどの甘い声で尋ねた。

それに加え、彼は割れ顎も持っている。 この五十秒ほどの間彼が話したり微笑んだりしたときだけはっきり見えるような、それほど目立つわけでもない割れ顎だが、彼をより一層魅力的に引き立たせた。

「どうしたも何もないわ」とエデンは彼に嫌悪感が少し入った冷たい態度を取った。 彼がこんなに魅力的なんてズルいわ。

「ならよかった」 彼は肩をすくめ、とても歯並びの良い笑顔を見せた。 その歯はまるで化粧板のように白く、 凄腕の歯科医がいなければ、こんなに素敵な歯は存在しないような、 そんな歯だった。

「もう俺のことを見るのは十分だったらーー」

エデンは、自分が彼のそんな所に気を引かれていることに苛つき、彼のおこがましいまでのエレガントさにさっきより嫌悪感が増していた。

「ここにいる人たちが見える?」 彼女は彼を睨みつけ、終わりのない列を指さした。 「みんな一時間以上待っているのよ。 なのに、並ばずに入ろうなんてそうはさせないわ」

「お姫様、俺を止めるのか?」 彼の赤さび色の眉毛が下がり、その目は何かを楽しんでいるように輝き、カルバン・クラインのモデルをしている彼の友達はせせら笑っており、 エデンは自分の小さくか弱い拳で、そのにやけた顔を消してやりたかったが、 一応教育を受けてきた良識人なので、 自分の主張を確かめるために力を使う必要はなく、 言葉も同じように説得力があると思い、やはりその衝動を抑えた。

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