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新しい始まり の小説カバー

新しい始まり

規律を重んじて生きてきたエデン・マクブライドは、結婚式を一ヶ月後に控えながら婚約者の裏切りに遭う。絶望する彼女にセラピストが提案したのは、心の傷を癒やすための「リバウンド」となる新たな恋だった。そんな彼女の前に現れたのは、物流大手の後継者であり、女性と三ヶ月以上付き合わないことから「三ヶ月王子」と揶揄されるリアム・アンダーソンだ。一夜限りの関係で終わるはずだったが、翌朝、エデンは彼の愛用するデニムシャツを奪って姿を消してしまう。去りゆく女性を追ったことのないリアムだったが、自分から何かを盗み、潔く去った彼女に強い興味を抱き、再会を誓う。しかし、大都会で一人の女性を捜し出すのは至難の業だった。それから二年後、運命に導かれるように二人は再会を果たす。だが、かつての純真さを失ったエデンには、命懸けで守り抜かなければならない大きな秘密があった。一方、リアムは彼女が持ち去ったシャツ、そしてそれ以上に価値のある「あるもの」をすべて取り戻そうと、彼女を追い詰めていく。二人の再会は、止まっていた運命の歯車を再び激しく回し始める。
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3

「あなたにも良識があるんだったら、正しいことをして他のみんなのように並んで待つはずよ」 彼女は黒縁メガネの後ろにある目を激しく瞬かせながらそう言った。

二人の周りに集まっていたわずかな人々が黙り込み、 エデンの友達は彼女の腕をぐいぐい引っ張っていた。 しかし、彼女は今夜のことも含めて全てのことにうんざりしており、親切そうにかがみこんで目線を合わせてくるこの赤髪に威圧されるのも嫌だった。

「だったら、俺は今は礼儀正しくないってことなのか?」 そう言いながら彼は彼女の顔に冷たいミントの吐息を吹きかけて肩をすくめ、クラブの警備人の方を向いた。

そして彼は、厳つい警備の男と軽く言葉を交わし、自分の友達を呼び寄せて彼女たちを手招きした。 「彼女たちも一緒だ」

エデンがその言葉の意味を理解する暇もなく彼らは皆クラブ内に入っており、汗まみれで体を躍らせている大勢の人込みの中を歩いていた。

彼女は薄暗い場内に数秒をかけて目を慣らすと、 VIPブースを覗き込んでいる男を前方に見た。

自分たちを中に入れてくれたことに感謝するべきだろうか? そんなことはない。彼女は首を振った。 中に入れた今、足先と尻のしびれがなくなったのは嬉しかったが、他の人たちと同じように列に並んでいてもよかったのだ。

「ああ、エデン様! 一生の借りが出来たわ。 今夜は私たちの奢りよ!」 カサンドラは頭を下げながら、手を合わせて祈っているかのような仕草をした。

リディアはくすくす笑っていたが、カサンドラを見て大笑いした。 「私たちみんなのために、自分一人を囮にした壮挙、決して忘れない! て言うか、私だったらリアムに近づいていく勇気はないけどね」

「彼の名前なの?」 とエデンは、友達のおしゃべりなど気にせずに聞いた。 「赤」の方が彼に合っているのに、と彼女は思った。

彼女は顔を上げ、クラブ内を見回して空いている席を探したが、 バーにあるスツールを除きどこも空いているテーブルはなく、 黒のミディドレスに合わせた可愛らしいヒールのおかげで足が痛くてしょうがなかった彼女は、どうしてもどこかに座りたかった。

「リアムはこのあたりの王族のようなものなのよ。 絶対どこかで彼のことを聞いたことがあるはずよ」とシエナはべらべらとしゃべり始めた。 「彼はモータースポーツのドライバーでね、物凄くクレイジーなパーティーを開くんだけど、三か月ルールがあるのよ。 彼ね、三か月以上女性と付き合わないのよ」

「なんて可愛らしい男なの!」 エデンはぼんやりしながらうなずいたが、正直言って彼のことは聞いたことがない。 ロックユニオンの社交会を気に留めたこともなかった彼女のことだから、知らなくても当然だ。

彼女はバーの空いているスツールを見つけると、目を輝かせた。 酔っぱらった馬鹿どもが引き寄せられているような場所なので、決していい席とは言えないが、まずは足を休ませないといけない。

「行こ」と彼女はシエナの手を取り人込みの中を押し進んでいくと、カサンドラとリディアがすぐ後ろをついて来た。

「一杯目は私の奢りね!」 リディアはバーテンダーを呼び寄せるために、音楽に負けない大声を張り上げた。

その日の夕方、彼女たちはテキーラショットと噂話から始まり、それからカクテルを飲みながら更にスキャンダル話に移っていった。 リディアは、撮影クルーの照明係の一人と関係を持っており、耳を傾ける人がいれば、彼の膨れ上がった部位の話をするのを躊躇しなかった。

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