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マイ·ミスター·ソルジャー の小説カバー

マイ·ミスター·ソルジャー

信頼していた恋人に裏切られ、絶望の淵に立たされたチェリーは、自暴自棄な思いから見知らぬ男性との結婚を決意する。しかし、新たな夫となった人物は、あろうことか自分を捨てた元カレの叔父であった。予期せぬ縁に翻弄されながらも、ようやく真実の愛を掴み取ったかに見えた彼女だったが、運命は非情な追い打ちをかける。チェリーが心の奥底に封印していた忌まわしい過去の秘密が暴かれ、彼女は逃れられない苦しみへと突き落とされてしまうのだ。窮地に陥った彼女を救い出したのは、夫と激しく対立する宿敵の男だった。彼の助けを借りて地獄のような結婚生活から脱出したチェリーだったが、その代償としてあまりにも過酷な運命を背負うことになる。それから五年の歳月が流れ、過去を捨てて生きてきた彼女は、ある出来事をきっかけにかつての夫と再会を果たす。複雑に絡み合う愛憎と隠された真実が、再び彼女の人生を大きく揺るがし始める。
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2

郊外の別荘の広大な紺色の寝室では、R指定映画のような情景が広がり、部屋全体に何とも言えない雰囲気が漂っていた。

出張から戻ったばかりだったチェリー・シェンは 空港を出て、タクシーを呼んだ。

タクシーに乗っている間、チェリーは窓の外の景色を見つめ、顔に微笑を浮かべた。 まさにこの瞬間、彼女はとても興奮していた。 もうすぐ長い間深く愛し続けている男に会えるのだ。

チェリーは、ジョン・イェが与えてくれた合鍵を引き出して、別荘のドアを開けた。

家に入るや否や、妙な声が聞こえて来た。 それは女性の声のようだった。 ドアを押し開けると、ジョン・イェの上に裸で横たわっている姉のジャン・シェンが彼女を迎えた。

「何なの、これ。 私の恋人が姉とセックスしているなんて信じられない!」

戸口に立ち、チェリーは激怒して 叫んだ。「ジョン・イェ、ジャン・シェン!」

その声で、彼らは親密な行為を直ちにやめた。

ジョンは、怒りに満ちていた彼女の美しい顔を見て緊張して、 胸の鼓動も速くなった。 彼はすぐに床に散らばっている服を手に取って、そそくさと身に着けた。

ジャンはまだベッドの上にいて、体を覆うように掛布団を引き寄せていたが、 心の中でチェリーを罵っていた。 「この女、 よくも私の計画を邪魔するなんて!」

ジョンは服を着てチェリーに歩み寄り、苛立ちながら説明した。「チェリー、これは誤解なんだ。 君が思ったのとは...」

それが言い終わる前に、チェリーは手を上げて彼の顔を平手打ちした。

「ジョン・イェ、私が指一本触らせないからといって、 平気で別の女を探しに行けるもんか? あなたとはもうお別れだ!」 そう言い残し、涙をこらえながら背を向けて立ち去った。 彼女はこのようなひどい侮辱と深い傷つきに絶望した。

遠ざかっていく彼女の姿を見つめながら、ジョンは心苦しくてたまらなかった。 彼は、自分が誘惑に抗えないせいで、最愛の人が自分の許を去ることになるとは想像もしなかった。

真夜中だった。 バーでは、ネオンライトがホール全体をあかあかと照らしている。

チェリーは、バーカウンターの前の椅子に座っている。 友人のエミリー・シアからもらったワインを手にし、 飲み干した。

友人のチェリーがアルコールに溺れているのを目にして、エミリーは悲しみを感じていた。 しかし、彼女は慰める言葉に窮した。 大学時代、片膝をついてチェリーへの愛を表明したあんな真摯な先輩は、 今や、長きにわたって社会で生活しているうちに、彼の基本的価値観も変わってしまったに違いない。 ジャンに関しては、彼女は常に嫉妬心にあふれ、チェリーに対する敵意も薄らぐことはなかった。

チェリーはひどく酔っていた。 杯のワインの最後の一滴を見つめながら、彼女はエミリーに言った。「エミリー、私は何か世界に借りがあると思う? どうしてジョンはジャンと一緒にいるわけ? どうしてよ」

エミリーは唇を動かしたが、結局何も言わなかった。

「ハ…」 チェリーは静かに笑ったが、彼女の目は痛み、憎しみ、無力感に満ちていた。 「ジョン、あんたは恥知らずのくずだ! あんたが大嫌い、大嫌い、大嫌いだ!」

その言葉とともに、チェリーはまたワインを飲み干した。

もう早朝になった。 エミリーは、泥酔してバーカウンターに横たわっているチェリーを見て、 彼女を通りの向かいのホテルに連れて行きたかったが、 当番で離れることができなかった。 彼女は、チェリーが休めるよう、同僚にホテルまで連れて行ってあげるように頼むことしかできなかった。

チェリーは、エミリーの同僚によってホテルに運ばれた。 アルコールの勢いで、自分で部屋を見つけて見せると言い張ったので、 エミリーの同僚は、エレベーターのそばに彼女を残して立ち去った

ふらふらしながらエレベーターから降りて、522号室を探していた。 しかし、521号室まで辿り着いた時、ドアが既に開いているのを目にした。 それ以上考えることなく、彼女は独り言を言った。「この部屋だ。 接客係が私のためにドアを開けておいたに違いない!」

そして、彼女は部屋に入った。

ホテルの部屋を歩き回り、白いシーツと掛布団が置かれた大きな白いベッドを見つめていた。 見るからに心地よさそうだのだ。

まもなく眠気に襲われ、 思考停止に陥り、浴室から聞こえてくる水の音さえ気付かなかった。 チェリーはベッドに歩み寄り、横になって目を閉じると、たちまちぐっすり眠りについた。

浴室にいる男は、日焼けしたブロンズ色の肌に、筋骨たくましい体格をしている。 彼の体は、彼が専門的な訓練を受けたことを物語っていた。 永遠に超然としているような彼の完璧な輪郭に縁どられた顔を、水が流れ落ちた。

ジャクソン・チューがシャワーを止めると、たちまち水の流れる音が止まった。 隣に置いてあったタオルを取り、髪を乾かし、 腰にタオルを巻いて浴室から出た。

ジャクソンは、ベッドまで歩み寄った時、目前の光景に顔をしかめた。

この女性はいつ部屋に入ったのか? 彼はこの5つ星ホテルのVIP会員なので、店側は彼女をプレゼントとして送ったのだろうか?

ジャクソンはゆっくり近付き、ベッドの上にいる女性を見つめている。 彼女からかすかなアルコールの匂いがし、 そのノーメイクの顔はかえってみずみずしくみえる。 並外れて美しくはないがとても魅力的で、そのくせ毛がさらに彼女の自然な美しさを引き立たせる。

ジャクソンは、ベッドの上の女性をそれとなく見つめている。 彼女のほっそりした体は官能的ではなかったが、その姿は実に魅力的だ。

不意に、ある少女が頭に浮かんだ。 彼女の単純さ、優しい笑顔、可愛らしい顔は、10年以上もの間ずっと彼の心の中に残っている。 ジャクソンの瞳の奥には悲しみがあった。 「君はどこにいるんだろう、 幸せなのか?」

彼はベッドの上の女性に改めて注意を向けた。 ジャクソンは自分にムカついた。 クソ!また女に夢中になってしまった!

この女は顔も体も魅惑的じゃないくせに。 なぜ彼女に惚れてしまったのか、と自分に言い聞かせたが、 結局のところ、感情は理性に勝り、彼女を苛み始めた。

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