フォローする
共有
ムリゲーの世界をバグと乱数調整で切り抜ける の小説カバー

ムリゲーの世界をバグと乱数調整で切り抜ける

「初回プレイでの死亡率4000%」という驚愕の数値を叩き出し、ゲーム史上類を見ない理不尽さで知られる超高難易度RPG『ムーンリカバリー』。魔王側の視点からリアリティを追求しすぎた結果、最初の町に辿り着くまでのわずか数歩で、初期レベルでは到底太刀打ちできない強敵と遭遇し、確実に命を落とすという絶望的な仕様が組み込まれていた。開発者は親しみを込めて『ムンリバ』と呼んだが、あまりにも過酷な死の連鎖から、プレイヤーたちからはいつしか『ム・リ』という不名誉な略称で恐れられるようになった。そんな、クリアすることなど到底不可能と思われた「ムリゲー」の異世界に、吉弘鑑理(ナオ)と流川斉子(リュウセイ)の二人は突然放り込まれてしまう。普通に挑めば10万回死んでも終わらない絶望的な状況下で、彼らが生き残るために選んだのは正攻法ではなかった。本作は、ゲームの根幹を揺るがす裏技的なバグや乱数調整という名のチート級のテクニックを駆使し、理不尽な世界の法則を鮮やかに切り抜けていく二人の型破りな冒険譚である。
共有

1

(※)実験や機能の確認をしながら書いてますので、御見苦しい点が御座いましたら申し訳ありません。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

「ここってゲームの世界かな?」

そう告げるリュウセイの後ろには真っ二つに割れた月の姿があった。

ここはゲームの世界らしい。

異世界転生ってやつの一種だろう。

だが、夢のような世界に来たはずの俺の心は絶望に沈んでいた。

「……これ、始まりから終わってるじゃねぇか」

なぜなら、この世界は『初回プレイ死亡率4000%』と呼ばれる、クリアーが絶対無理な超絶極悪難易度の理不尽ゲーム。

ムリゲーの世界だったからである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

俺の名は吉弘 鑑理(よしひろ あきなお)。通称『ナオ』。

大分県の府内高校に通う16歳。剣道部に所属している。

「ナオくん。ここは一体どこだと思う?」

と聞いてきたのは幼なじみの流川斉子。(ながれかわ なりこ)ほっぺたのアザがチャームポイントの新聞部の女子部員だ。

星形に箒のようなアザの形から俺はリュウセイと呼んでいる。

家が隣同士なのでいっしょに通学していると、急に空から光が灯り、気が付いたらこうしてゲームの世界に来てしまったらしい。

「月が真っ二つに割れているから、多分ムーンリカバリーの世界だろ…」

出来る事なら間違って欲しい。

だが巨大な月の周りに、さらに衛星があるパッケージデザインと同じ光景は見間違えようがない。

ベンチャー系のメーカーが出したRPGゲームで「リアルさ」を売りにした本格派RPGと銘打って発売された超絶理不尽ゲームの光景とそっくりだ。

「そうだよね!これ、あのゲーム世界と一緒だよね!ナオくん!あそこに羽の生えたウサギ型のモンスターがいるよ!」

と無駄にはしゃぐリュウセイ。

さて、このムーンリカバリー。「リアルさ」を売りにしているくせに絵柄はアニメ調で、かわいい系の世界だったりする。

では何がリアルかと言われれば『世界設定』だ。

例えば…なのだが異世界の神から勇者として召還される存在がいた場合、魔王は黙ってそれを待っているだろうか?

答えは否である。

部下の中でも精鋭を引き連れて、出現確率が高そうな場所を重点的に警戒するだろう。

不法侵入してくる不審者を何もせず放置するような統治者がいればとっくに滅んでいるだろう。

そんな『魔王視点で見た場合のリアルさ』を追求した結果、スタート地点から最初の町に向かう7歩分の移動途中に『初期レベルでは絶対に勝てない敵とエンカウント(戦闘に入ること)する事による死亡率4000%』という凶悪な数値を叩き出したのである。

開発者はこのゲームを『ムンリバ』なる略称で自作を紹介したが、その『通算10万回は死ぬ』という理不尽すぎる死亡率によって『ム・リ』の略称を手に入れた。

ムリゲー。

どうがんばってもクリアーは無理なゲームの代名詞としてゲーム史の片隅にひっそりと咲いたあだ花。

これは、そんな世界にとばされた俺とリュウセイのチートすぎる抜け道バグ技の物語である。

おすすめの作品

ゴミと捨てられた80歳の祖母、実は世界最強のプリンセス。 の小説カバー
7.9
猛吹雪が吹き荒れる聖夜、私と祖母は血の繋がった叔父の手によって、まるで不要なゴミのように極寒の屋外へ放り出された。叔母からは忌まわしい疫病神と罵声を浴びせられ、叔父の容赦ない暴行に私はなすすべもなく雪原に倒れ込む。次第に体温を失っていく祖母の体を必死に抱きしめ、手のひらに爪が食い込むほどの絶望の中で死を覚悟したその時、突如として強烈な光が闇を貫いた。貧民街の路地を封鎖するように現れたのは、外交官ナンバーを掲げた高級車ロールスロイスの車列だった。周囲が騒然とする中、車から降り立った老執事は、四十年間も「盲目の老人」として静かに暮らしてきたはずの私の祖母のもとへ歩み寄る。そして、敬意を込めてその場に跪くと、信じがたい言葉を口にした。「高貴なる一族の第一公女殿下、お迎えに上がりました」。捨てられたはずの祖母の正体は、世界を揺るがすほどの影響力を持つ最強のプリンセスだったのだ。最底辺の淵から、運命の歯車が音を立てて逆転し始める。
アルファ・キングの消されたメイト の小説カバー
8.9
最強のアルファであるリアムは、かつて私との絆を「月の女神が授けた至高の愛」と謳った。しかし、その言葉が残酷な虚飾に過ぎなかったことを私は知る。彼にはすでに身ごもった愛人が存在し、あろうことか公衆の面前で彼女を自らの女王として遇していたのだ。愛人は、私に贈られたはずの神聖な番いの証である首飾りを誇示する写真を送りつけ、執拗に私を追い詰める。群れの者たちも、愛人が世継ぎを産めば、血統に問題のある私は排除される運命だと冷酷に囁き合っていた。裏切りに満ちた日々に終止符を打つため、私は二人の記念日に特別な贈り物を用意する。箱の中に収めたのは、署名済みの離婚届と、運命の絆を断ち切る公式な離縁状。愛という名の幻想を捨て去った私は、彼らの前から永遠に姿を消す決意を固めた。信じていた番いへの未練を断ち切り、自分自身の尊厳を取り戻すための逃避行が今始まる。裏切りのアルファ・キングと、運命に抗い自由を求めたメイトの愛憎劇。
「役立たず」と売られた私が、最強の座を奪うまで の小説カバー
7.9
古川詩鈴は、かつて斉藤景吾の命を救うために視力を失った。しかし、献身的な愛の結末はあまりに無惨なものだった。結婚式を翌日に控えた夜、斉藤は彼女の視覚障害を逆手に取り、借金の返済代わりとして彼女を松岡家へ売り飛ばしたのだ。嫁ぎ先は、北瑛市で「無能な放蕩息子」と蔑まれる御曹司のもと。世間はこの悲劇的な縁談を嘲笑し、盲目の少女の末路を冷ややかに見守っていた。だが、彼らはまだ知らない。「憐れな犠牲者」に見えた詩鈴の真の姿を。彼女は千年に一度の才能を持つ調香師であり、世界を股にかける天才ハッカー、伝説的なレーサー、さらには国際的な秘密組織のトップという、驚愕の顔を隠し持っていたのだ。隠された正体が次々と暴かれ、街中が驚天動地の騒ぎに包まれる中、彼女を捨てた斉藤は絶望の淵に立たされる。かつての婚約者が手にした栄光と権力を前に、彼はメディアの前で醜く泣き崩れた。自らの愚かな選択を悔やみ、彼女を松岡に譲ったことを激しく後悔するが、もはやその声が彼女に届くことはなかった。
~八歳の王女~不死鳥のごとく甦る の小説カバー
8.2
前世で最も高貴な嫡流皇女として生きた彼女は、家族や夫の愛を一身に浴び、傲慢な性格を募らせていた。しかし、その幸福は全て「母」が仕組んだ罠だった。夫と姉の裏切りを知り、最愛の息子が夫の手で殺害される惨劇を目の当たりにした彼女は、毒杯を煽り、深い怨恨を抱いたまま命を落とす。だが、次に目覚めた時、彼女は八歳の幼き皇女へと転生を遂げていた。その愛らしい体には、前世の悲劇で磨かれた狡猾な野心が宿っている。鳳凰が炎の中で再生するように、彼女もまた美貌と権謀術数を武器に、自分を貶めた者たちへの千倍の復讐を誓う。二度目の人生では国を掌握し、裏切り者を完膚なきまでに叩き潰すと決意したのだ。そんな彼女の前に、圧倒的な武勲を誇り、並ぶ者なき美貌を持つ大国の親王が現れる。当初はこの世に自分と釣り合う女などいないと断じていた彼だったが、無邪気な仮面の下に冷徹な計略を秘めた幼い皇女に、いつしか翻弄されていく。最強の親王をも従わせる彼女の覇道が、今ここから幕を開ける。
君が染める白黒の世界〜冷徹なる覇王と傷だらけの天才医〜 の小説カバー
8.7
幼い頃、炎の中で実母に突き放された夏川結衣。時を経て帰還した彼女を待っていたのは、家族からの冷酷な仕打ちだった。顔に傷を持つ「醜い村娘」と蔑まれ、妹の身代わりに政略結婚を強要された結衣は、家族への情を捨て去り決別を決意する。しかし、彼らはまだ知らなかった。彼女が宝飾界の巨匠に師事し、帝都病院長が後継者に指名する天才医であり、伝説的ハッカー集団を率いる首領であるという真実を。そして、その傷の下に息を呑むような美貌が隠されていることを。後悔に震え許しを請う家族の前に、裏社会までをも支配する財閥の覇者、清原京介が立ちはだかる。京介の瞳に映る世界は、感情を失ったかのような無彩色の白と黒。当初は身代わりの妻に無関心だった彼だが、結衣の存在だけがその視界に鮮やかな色彩を取り戻させていく。氷のように冷徹な覇王の心は、傷だらけの天才医が放つ輝きによって、熱く激しく溶かされていくのだった。
死に戻りの私は、清廉ぶる姉を地獄に引きずり込む の小説カバー
9.7
一族が滅亡の憂き目に遭ったあの日、姉は清廉潔白な聖女のように振る舞い、私を窮地へ追い込んだ。仙山の掌門から弟子に誘われた際、姉は喪に服すべきだと義理を説いて辞退し、代わりの私を「親不孝者」と貶めたのだ。その結果、情に厚いと評された姉は特別な弟子として迎えられ、私は蔑みの対象となった。三年後、共に魔族に捕らわれた際も、生き延びようと必死に足掻く私を、姉は「品位がない」と嘲笑い続けた。私は飢えに苦しみ命を落としたが、一方で節義を貫いた姉は魔尊に寵愛されるという皮肉な結末を迎える。しかし、絶望の中で息絶えたはずの私は、気がつくと一家が滅ぼされた運命の朝へと回帰していた。かつて自分を地獄へ突き落とし、偽善の裏で幸福を掴み取った姉に復讐するため、私は二度目の人生を歩み始める。今度こそ、清廉潔白を装う姉の仮面を剥ぎ取り、彼女を逃れられない破滅の深淵へと引きずり込んでやる。凄惨な過去を糧に、私は自らの手で運命を書き換えることを誓った。