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夫と親友に裏切られた私 の小説カバー

夫と親友に裏切られた私

結婚記念日の祝宴は、最悪の裏切りによって地獄へと変貌した。夫の雅明が私の幼なじみである小春に愛を誓い、あろうことか彼の受賞作が私の考案したデザインを盗用したものだと発覚したのだ。盗作を指摘した私に対し、二人は結託して私を悪者に仕立て上げ、冷酷な嘲笑を浴びせる。その際のもみ合いで私は階段から転落し、お腹に宿っていた新しい命を失ってしまった。絶望の淵にある病院で流産の処置を受けている最中も、雅明はかすり傷程度の小春に付き添い、妻である私を顧みることは一度もなかった。さらに電話越しに響く小春の勝ち誇ったような嘲笑が、私の心に残っていたわずかな情を完全に凍りつかせた。愛する夫と信じていた親友に、キャリアも子供も、そして尊厳さえも無惨に踏みにじられたのだ。もはや悲しむ段階は終わった。私からすべてを奪い去ったあの二人に、この手で必ず相応の報いを受けさせ、地獄の底へと叩き落としてやる。冷徹な復讐の決意を胸に、私は静かに立ち上がる。
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3

凛花POV:

「お子さんの父親は, どなたですか? 」

医師の問いかけに, 私の心は凍りついた.

私は, 白い天井を仰いだまま, 感情のない声で答えた.

「いません. 子どもに, 父親なんて, いませんから」

私の言葉に, 医師は戸惑った様子を見せた.

彼は, 私のカルテに目を落とした.

「ですが, 岡本様は, 既婚者でいらっしゃいますよね? 」

医師の声には, 僅かな困惑が滲んでいた.

私は, 雅明が一度も産婦人科に付き添ってくれなかったことを思い出した.

いつも「仕事が忙しい」と言って, 私を一人で行かせていた.

周りの妊婦さんが, 夫に優しくエスコートされている姿を見るたびに, 私は胸が締め付けられるような寂しさを感じていた.

それでも, 私は雅明を信じていた.

子どもが生まれれば, きっと, 彼は変わってくれると.

「雅明さん, 次の健診は, 一緒に行ってくれませんか? 」

私がそう懇願した時, 雅明は一瞬, 優しい笑顔を見せた.

「ああ, もちろん. 凛花と赤ちゃんのためなら, いくらでも協力するよ」

しかし, その約束は, 小春の帰国によって, あっけなく破られた.

「ごめん, 凛花. 小春が帰国したばかりで, 仕事の引継ぎで忙しいんだ. 悪いけど, 一人で行ってきてくれないか? 」

雅明の言葉は, いつも同じだった.

「小春が」「小春の仕事が」

彼の口から出るのは, いつも小春のことばかりだった.

私は, 彼の言葉を信じていた.

彼の仕事の邪魔をしてはいけないと, 自分に言い聞かせていた.

しかし, 今思えば, 彼はあの時から, 小春と密会を重ねていたのだ.

私の子どもを, 私を, 裏切っていたのだ.

子どもは, もういない.

雅明を信じる理由も, 待つ理由も, もうどこにもなかった.

私の心は, 完全に雅明から離れていた.

離婚しよう.

それが, 私の心に残った, 唯一の感情だった.

七年間の結婚生活.

雅明を追いかけ続けた学生時代からの恋.

もう, 十分だった.

もう, 疲れた.

私は, ただ, この痛みが消えてくれることを願った.

「岡本様. 入院の手続きを済ませていただけますか? 」

医師が, 私の目の前に書類を差し出した.

私は, その書類に, 自分の名前を書き込んだ.

私の手は, 震えていた.

体は, 鉛のように重く, 今にも倒れてしまいそうだった.

私は, 重い足取りでカウンターに向かった.

そして, そこで, 私は信じられない光景を目にすることになる.

雅明と小春が, 病院の廊下を歩いてくる.

雅明は, 小春を優しく抱きかかえ, まるで壊れ物を扱うかのように, ゆっくりと歩いていた.

小春の額には, 小さな絆創膏が貼られていた.

私の胸の中に, 激しい怒りが込み上げてきた.

雅明は, 私に気づくと, 一瞬, 足を止めた.

そして, すぐに小春を庇うように, 私の前に立ちはだかった.

「凛花, お前, こんなところまで追いかけてきたのか? 小春に, 何かするつもりか! 」

雅明の声は, 私を責めるようだった.

「雅明さん, 凛花さんは, きっと心配してくれたんですよね? 私のことは, 大丈夫ですから, 凛花さんを責めないでください」

小春は, 雅明の腕の中で, か細い声で言った.

彼女の目は, 私を真っ直ぐ見据えていた.

その目に宿るのは, 私への憐憫などではなく, 勝利の光だった.

彼女は, まるで私が悪者であるかのように, 雅明に訴えかけていた.

「凛花さん, 私, 本当に大丈夫ですから. 雅明さんと, お幸せにね」

小春は, 私に向かって, 意味深な笑顔を見せた.

その笑顔は, 私をさらに追い詰めるようだった.

「凛花, 分かっただろう? 小春は, お前のことを心配してくれているんだ. だから, お前も小春に謝って, 何か温かいものでも買ってきてやってくれ」

雅明は, 私に命令した.

彼の言葉に, 私の心は完全に凍りついた.

私は, 彼の言葉を, もう何も信じられない.

私は, 小春の額に貼られた小さな絆創膏を見た.

そして, 私の腹部に手をやった.

そこには, もう何も残っていない.

私の子どもは, 雅明と小春のせいで, この世から消えてしまったのだ.

私の痛みは, 小春の傷とは比べ物にならないほど, 深く, そして重いものだった.

私は, 何も言えなかった.

言葉を失い, ただ雅明と小春を見つめるしかなかった.

私の沈黙を, 雅明は誤解した.

彼は, 私のことを, まだ小春に嫉妬しているのだと思ったのだろう.

「凛花, 分かったなら, 早く行ってくれ. 小春も, 疲れているんだ」

雅明の声は, 私をさらに急かすようだった.

私は, 彼の言葉に, 何も応えなかった.

「凛花, 頼むから, もう家に帰って待っていてくれ. 俺も, 小春のことが落ち着いたら, すぐに帰るから」

雅明は, 私を追い払うように言った.

私は, 彼の言葉に, 何度も騙されてきた.

「すぐに帰る」

その言葉が, どれほど虚しいものだったか.

私は, 雅明と結婚して七年.

雅明の裏切りは, これで五度目だった.

五度目の裏切り.

私は, 雅明と結婚する時, 彼に約束させたことがある.

「もし, 雅明が私を裏切ることがあったら, 五回まで許す. でも, 六回目は, もう絶対に許さない. その時は, もう私を二度と追わないで」

雅明は, その時, 私の言葉を笑い飛ばした.

「凛花, 俺が君を裏切るなんて, 絶対にないよ」

しかし, その約束は, 今, 破られた.

雅明は, 五度目の裏切りを犯したのだ.

「凛花, 早く行くんだ! 」

雅明が, 苛立ったように私を急かした.

私は, もう何も言わなかった.

私は, ただ, 静かにその場を立ち去った.

私の手には, 離婚届の書類が握られていた.

雅明は, 私の手元に目をやった.

彼の顔に, 一瞬の戸惑いが浮かんだが, すぐに消え失せた.

私は, もう振り返らなかった.

私の心は, 完全に決まっていた.

もう, 雅明のいる場所には, 戻らない.

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