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天才と狂人、血塗られた共犯関係から始まる究極の純愛 の小説カバー

天才と狂人、血塗られた共犯関係から始まる究極の純愛

母の遺品を奪還するため、藤原美月は身代わりの花嫁として九条家へ嫁ぐ決意をする。その相手は、残忍な性格で車椅子生活を送り、余命いくばくもないと噂される御曹司・九条怜司だった。周囲は「無能な女と短命な男の無様な結婚だ」と嘲笑し、彼女がすぐに追い出されることを確信していた。しかし、美月の正体は世間を震撼させるものだった。建築デザイン界の巨匠、伝説の天才医師、さらには世界を裏から支配するダークウェブのトップ。幾多の顔を持つ彼女の真実が明かされるたび、首都圏は驚愕に包まれていく。一方、怜司もまた、冷酷な狂気を秘めた侮れない男であった。初めは水と油のように激しく反発し合い、互いの腹を探り合っていた二人だったが、共に過ごす中で次第に唯一無二の絆を育んでいく。そして全世界が生中継で見守る豪華な結婚式の最中、怜司は衆目の前で跪き、彼女に愛を誓う。「美月、君こそが私の人生を照らす唯一の光だ」。最強の裏の顔を持つ二人が織りなす、究極の相互救済と溺愛の物語が幕を開ける。
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3

手元の資料によると、九条家の当主・九条宗一郎には二人の妻がいた。

最初の妻である九条静江は、二人の息子を産んで数年後に重病で亡くなった。同年、宗一郎は後妻を迎え、さらに一男一女をもうけている。

5年前、静江の長男が商談で海外へ行き、不慮の死を遂げた。その結果、もともと病弱で足が不自由であり、「28歳まで生きられない」と噂されていた九条家長男の九条怜司は、一族の中で捨て駒のように冷遇されるようになった。

ここ数年、九条家は新たな跡継ぎを選ぶため、熾烈な後継者争いを繰り広げている。資料を見る限り、宗一郎の他の孫たちのほうが、怜司よりもはるかに有力な候補のようだ。

今日、桜京市郊外の北原市で襲撃を受けた際の彼は、とても足が不自由とは思えないほどピンピンしていた。どうやらあの怜司という男、資料にあるほど単純な人間ではないらしい。

「お嬢様」

高瀬助手が口を開いた。「九条家の九条隆弘様は、藤原ホールディングスに格別の目をかけてくださっている。お嬢様も九条家に入られたら、隆弘様の指示にしっかり従ってください」

パタン!

藤原美月は資料を勢いよく閉じた。「もう派閥争いに首を突っ込む気? お父様、尻尾を振る相手を間違えたら、取り返しがつかなくなるわよ」

「お前が口出しすることじゃない!」藤原浩二は声を荒らげた。「いいか、よく覚えとけ!隆弘様の命令には絶対服従だ、少しでも逆らってみろ、ただじゃおかないぞ!」

美月は鼻で笑い、浩二の言葉など欠片も気に留めなかった。

浩二はさらに言い募ろうとしたが、彼女と目が合った瞬間、言葉に詰まった。

田舎くさい見た目をしているはずの娘が、一瞬、彼でさえ二の句を継げなくなるほどの凄まじい覇気を放ったように見えたのだ。

その頃、九条家の別荘。3階の部屋では。

「九条社長。本日駐車場で社長の正体を知り、顔を見た連中はすでにすべて始末しました。情報が漏れる心配はありません」 と、村上秘書が報告した。

黒のルームウェアに身を包み車椅子に座る怜司からは、今朝方追手から逃げ回っていた時の狼狽など微塵も感じられない。彼は手にした一本のネックレスを弄んでいた。

そのネックレスこそ、美月が落としたものだった。

ルビーのペンダントトップは六芒星の形をしており、宝石には一切の不純物がなく、カッティングも非常に特殊だった。このネックレスと彼女がくれた薬だけで自分の体調が上向いたことから、怜司はあの女がただ者ではないと確信していた。

「俺の顔を見た奴がもう一人いる。まだ桜京市内にいるはずだ」 と、怜司は言った。

村上秘書は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに元の顔に戻った。「社長、後ほど私が責任をもって始末いたします。絶対に逃がしはしません!」

手にしたネックレスを村上秘書に差し出し、怜司は命じた。「調べろ。このネックレスの持ち主を」

「承知いたしました」

ネックレスを受け取った村上秘書は、躊躇いがちに怜司を見た。「社長、その女を見つけた後は、私が始末いたしましょうか?」 「生かしておけば火種になります」

怜司は目を伏せて指輪を回した。彼の上に跨り、からかうように笑っていたあの女の顔が脳裏をよぎる。彼は感情の読めない平坦な声で言った。「見つけたら、ここへ連れてこい。俺が自分で片を付ける」

「かしこまりました」

村上秘書は続けた。「そういえば社長、もう一つご報告が。藤原家からの政略結婚の相手が、まもなく到着する頃かと。いかがなさいますか?」

怜司は興味なさそうに答えた。「様子を見ておけ。初日から九条家本邸で死なれては面倒だ」

「承知いたしました」 と、村上秘書は答えた。

九条家本邸の外。藤原家の車がエントランスに横付けされた。

車を降りた浩二に対し、執事長が恭しく声をかけた。「藤原様、お嬢様、どうぞこちらへ」

九条家本邸に足を踏み入れると、九条結衣が出迎えてきた。「藤原おじ様、ごきげんよう」

浩二は結衣の姿を認めると、すぐさま愛想笑いを浮かべた。「これは結衣お嬢様、わざわざお出迎えいただくなど、とんでもない」

一方、結衣の視線は美月に向けられていた。このブス、どう見ても藤原家のあの娘ではない。藤原家もいい度胸をしている。偽物を送り込んでごまかそうとするなんて!

(まあいいわ。あのお荷物の長男には、これくらいがお似合いよ!)

結衣は完璧な笑みを崩さずに言った。「藤原お嬢様、お写真とは随分と雰囲気が違うようですけれど?」

「ああ!」浩二は美月の背中を小突いた。「こいつは私が一番可愛がっている長女です!同じ藤原家の娘ですから、どちらが嫁いでも同じことでしょう?」

呆れるほど厚顔無恥な男だ、と結衣は内心で嘲笑ったが、あえて追及するつもりはなかった。

「おじ様のおっしゃる通りですね。お嬢様は私たち九条家が責任を持ってお預かりしますから、ご安心ください」

浩二はへらへらと笑いながら振り返り、隣に立つ美月を睨みつけて小声で脅した。「しっかり役目を果たせよ!一言でも余計なことを言ったら、生かしてはおかんからな!」

美月は浩二を冷ややかな目で見下ろし、脅しなどどこ吹く風とばかりに結衣へ向き直った。「私の部屋はどこ?」

「執事長、彼女を上の階へご案内して」 と、結衣は指示を出した。

二人が階段を上がっていくのを待って、九条隆之介が廊下の角から姿を現した。彼は遠ざかる美月の背中を見つめながら鼻で笑った。「藤原家が送り込んできたのはあんなブスか。長男殿が今度はどんな絶世の美女を娶るのかと期待していたのにな」

「隆之介兄さん、そんな言い方はダメよ」結衣は皮肉たっぷりに言った。「あれでも一応、私たちの義理の姉になるんだから」

「義理の姉だと?」隆之介は冷笑を浮かべた。「それなら楽しみだな。明日の食事会で、あのブスが長男殿にどれほどの恥をかかせてくれるか、見物だぜ!」

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