フォローする
共有
今日から私、兄たちの最愛の妹です の小説カバー

今日から私、兄たちの最愛の妹です

家を追放された瞬間に自分が「偽の令嬢」だったと知らされた主人公。実の両親は貧しく、五人の兄たちの結婚資金にするため彼女を売ろうと企んでいた。しかし、判明した本当の父親は世界的な富豪ランキングに名を連ねる超大物だった。どん底の境遇から一転、財閥の「真の令嬢」として迎えられた彼女を待っていたのは、妹のためなら星さえ掴みかねない兄たちからの度を越した溺愛だった。世間は偽令嬢の没落を嘲笑おうと待ち構えていたが、彼女が秘めていた才能は人々の想像を絶するものだった。左手で千億の価値を生むデザインを描き出し、右手では航空局を指導するほどの知略を発揮する。各界の有力者たちがこぞって彼女の関心を引こうと躍起になり、正体不明の富豪までもが熱烈な求愛を仕掛けてくる。血筋だけでなく、圧倒的な実力で周囲を黙らせる彼女の快進撃が今始まる。かつての偽令嬢は、誰にも真似できない本物の輝きを放つ実力者へと変貌を遂げたのだ。
共有

3

秋山美月は、興味津々といった様子で野次馬と化した招待客たちを一瞥し、視線を林田莉子へと落とした。その瞳には、嘲るような光が揺らめいていた。

このデザイン画集には見覚えがあった。というのも、莉子が林田家に戻った初日、自らの非凡なデザインセンスを誇示するため、食卓でわざとこれを広げてみせ、自分の才能に気づかない者はいないとでも言いたげな態度を取っていたからだ。

自分を踏み台にして、「天才デザイナー」という看板を掲げるつもりか。

莉子は本当に愚かなのか、それとも愚かなふりをしているのか。 盗作する前に、それが誰の作品なのか、確認すらしなかったのだろうか。

莉子のデザイン画集には二百点以上のデザインが収められているが、滑稽なことに、その中で最も目を引く五十数点は、その大半が有名ブランドの最新作を混ぜ合わせただけの代物だった。

独創的で洗練された元デザインを、冗長でちぐはぐなものに変えてしまっている。見せかけの美しさはあっても、本来のシンプルで洗練された雰囲気は完全に失われていた。

オートクチュールというよりは、ネットで安易に消費される流行品だ。

それに……美月は、これらの作品の中に、かつて自分が海外のサイトで発表した作品の面影があることにも気づいていた。

莉子は人を騙し続け、いつしか自分自身さえも騙すことに快感を覚えるようになったのだろうか。

美月は嘲るように口元を歪めた。その澄んだ瞳は、まるで全ての嘘偽りを見抜く鏡のようだ。莉子は彼女のその表情に、なぜか急に後ろめたい気持ちに駆られた。

「三ページ目のモダンな馬面スカートは、オリエンタルデザインの巨匠、野崎澪の『月華影』シリーズの盗作。十ページ目の中世風ロリータドレスは、フランスのブランド『CL』の二〇二四年シーズン新作。そして、十六ページ目の……」

美月は立て続けに十点ものデザイン画を挙げ、その盗作元を澱みなく指摘した。その落ち着き払った態度に、野次馬気分だった招待客たちも、思わず彼女の言葉に引き込まれ、慌ててデザイン画集をめくり始める。

一点目、盗作。

二点目、これも盗作。

三点目、言うまでもなく盗作。

なんと、指摘された十点すべてが盗作だったのだ!

まったくもって馬鹿げている。これが天才デザイナーの正体だというのか。一冊のデザイン画集の中で、唯一見栄えのする作品が、すべて盗作だとは。

会場にいる招待客の多くは林田大輔の同業者だ。同じアパレル業界の人間であれば、毎シーズンの新作に精通しているのは当然のこと。目の肥えた者たちがデザイン画集に目を通せば、事の真相はすぐに知れた。

その場はにわかに色めき立ち、一石を投じたように噂の波紋が広がっていく。

「まさか、これが林田グループが発表する予定の新作じゃないだろうな? 林田家に専属デザイナーはいないし、デザインは全部海外のデザイナー、ムーンライト頼みだって聞いてたけど、それにしても、自社の昔のデザインまでパクってるのに気づかないなんて、呆れた話よ!」

「その通り、馬鹿げている!林田家がここまでこれたのは、どんな幸運に恵まれたのか知らないが、天才ともてはやされた娘が、ただの恥知らずな盗作者だったとはな!」

招待客たちの声は大きく、林田大輔と林田芳乃の耳にもはっきりと届いていた。二人の顔には、信じられないという思いと、当惑の色が浮かんでいる。

彼らは驚きに目を見開き、莉子を見つめた。その眼差しには複雑な感情が入り混じり、何かを言いかけては、言葉を飲み込んだ。

一方の莉子は顔面蒼白で、まるで衆人環視の中で裸にされたかのような屈辱に打ち震えていた。

林田夫妻にデザインの知識は皆無であり、会社が創業した当初は、大輔の母である林田おばあさまがすべてを取り仕切っていた。

林田おばあさまが引退し、海外の有名デザイナーであるムーンライトが協力を申し出てからは、夫妻がデザインに口を出すことはほとんどなくなっていた。

それなのに、莉子がこの三日間、あれほどまでに誇示していた才能が、ただの盗作だったとは……!

大輔は、まるで死んだ蠅を飲み込んだかのような不快感に襲われていた。

林田家の面目は丸潰れだ。美月はこれ以上彼らと関わるのも億劫になり、バッグを肩にかけると、毅然と背を向けて会場を後にした。

招待客たちは、松の木のように凛と伸びた彼女の後ろ姿を見送りながら、堰を切ったように噂を始めた。

「驚いたな、秋山美月がデザインにこれほど造詣が深いとは。あの盗作娘とは、比べものにならん」

「林田家はまさに、目先の利益に目がくらんで大きなものを失ったな。笑い話だ、『天才デザイナー少女、林田莉子』とは、傑作だ」

周囲から浴びせられる言葉は、一本一本が鋭いナイフとなり、莉子の心を容赦なく抉っていくのだった。

続けて視聴する!
物語はいよいよ佳境へ!アプリに切り替えて続きを読む
全エピソードをロック解除
公式サイトを開く

おすすめの作品

バツイチ女、今や社長。元夫は復縁希望中 の小説カバー
8.2
「彼女と自分を比べるなどおこがましい」――。3年間、献身的に尽くしてきた専業主婦の生活は、夫からの非情な言葉で幕を閉じた。愛が報われると信じて耐え忍んできた彼女に刻まれたのは、深い心の傷だけだった。しかし、絶望の淵で彼女は決断する。愛を捨て、自らの力で生きていくことを。離婚後、周囲の嘲笑を跳ね除けるように、彼女は隠れた才能を開花させていく。有名デザイナーとしての地位を確立し、ついにはビジネス界の頂点へと登り詰めたのだ。億万長者の家督を継ぐ道を選ばず、自らの手で巨大なビジネス帝国を築いた彼女。今や兄からは惜しみない愛を注がれ、数多の美男子たちから熱烈なアプローチを受ける存在となった。かつての夫の前に堂々と立ち、彼女は宣言する。「後悔など微塵もしていない」と。一方、輝きを放つ元妻の姿を前に、男は己の愚かさを痛感していた。かつての傲慢さは消え失せ、必死に復縁を乞い願う。「もう一度、俺の妻になってほしい」。立場が逆転した二人の、新たな関係が幕を開ける。
私の心を傷つかない の小説カバー
7.9
「嘘つきとビッチ、お似合いの二人ね」と、アシュリは冷ややかな笑みを浮かべて言い放つ。その凛とした美しさは、周囲の人々の目を釘付けにするほど輝いていた。しかし、その夜の彼女に過酷な運命が待ち受けていた。母親の手によってワインに薬を盛られた彼女は、意識を失ったまま、圧倒的な富と美貌を兼ね備えた見知らぬ男の元へと連れ去られてしまう。人生を根底から覆すような、あまりにも衝撃的な一夜。アシュリは初めて出会ったその男に、自らの純潔を捧げることになった。まるで悪夢と陶酔が入り混じったような狂乱の時間が過ぎ、翌朝彼女が目を覚ますと、目の前には昨夜の男が立っていた。困惑する彼女に対し、男は傲慢に、そして抗いがたい響きで「キスしてくれ」と要求する。見ず知らずの億万長者との間に起きた一夜の過ちが、彼女を逃れられない愛憎の渦へと引きずり込んでいく。最悪の出会いから始まる二人の関係は、果たしてどのような結末を迎えるのだろうか。裏切りと欲望が交錯する中で、アシュリの運命は激しく動き出す。
絶望の淵から、億万長者の花嫁へ の小説カバー
9.7
父が婿養子候補として英才教育を施した七人の孤児たち。私はその一人、冷徹な黒崎蓮に長年恋焦がれ、彼の心を開くことだけを願っていた。しかし、その想いは最悪の形で裏切られる。蓮が密かに口づけを交わしていたのは、私が妹のように慈しんできた義妹のエヴァだったのだ。さらに衝撃の事実が発覚する。残る六人の候補者も、実は全員がエヴァを崇拝する狂信的な集団であり、私を「愚かな荷物」と蔑み、事故を装って排除しようと画策していた。神宮寺家の令嬢としての私の献身は、彼らにとって嘲笑の対象でしかなかったのだ。恩を仇で返された私は、彼らの野望を灰にするため、冷酷な復讐を開始する。父から蓮との進展を問われた際、私は毅然と別の男の名を告げた。「私が選ぶのは、狩野湊さんです」と。絶望の淵に立たされた令嬢が、愛と信頼を捨てて億万長者の花嫁へと返り咲く、波乱に満ちた愛憎劇が今、幕を開ける。
記憶喪失を装う御曹司:私からの冷酷な決別宣言 の小説カバー
8.4
事故から目覚めた財閥の御曹司である恋人は、献身的に支えてきた私に対し、残酷にも「記憶を失った」と告げた。彼は私を蔑みの目で見下ろし、別の女性を抱き寄せながら、四年間の月日を無価値な契約として一方的に打ち切る。手切れ金の小切手を投げつけ、父の入院費を盾に脅迫までしてくる彼の姿に絶望するが、私は見逃さなかった。嘘をつく時にカフスを弄る、彼特有の癖を。彼は記憶喪失を装い、新たな婚約者との未来のために私を切り捨てようとしていたのだ。愛した男による滑稽な猿芝居を目の当たりにし、心に宿っていた最後の一滴の未練さえも完全に消え失せた。私は目の前で小切手を破り捨て、彼への決別を宣言する。もはや泣いて縋るような哀れな女ではない。私は自らの努力で築き上げた力と、彼らを破滅へと追い込む決定的な証拠を手に、桐山家のすべてを奪い返すための熾烈な反撃を開始する。裏切られた歳月の報いを受けさせるため、私は冷徹に復讐の道を歩み出す。
二度目の人生では、愛なんて信じない の小説カバー
9.3
信頼していた婚約者と親友の残酷な裏切りに遭い、尊厳を奪われ絶望の中で命を落とした前世。しかし、天は彼女に二度目のチャンスを与えた。新たな人生で目を覚ました彼女を待っていたのは、自分を死に追いやろうとする冷酷な夫との生活だった。彼女は迷うことなく離婚届を突きつけ、彼の元を去る決断を下す。周囲は「名家に捨てられた惨めな女」と嘲笑したが、彼女は不屈の精神で這い上がり、誰もが羨む敏腕女社長へと華麗なる転身を遂げた。かつて自分を陥れた者たちを圧倒的な力で屈服させ、仕事も恋も自らの手で掴み取っていく。そんな彼女の変貌ぶりに、かつて自分を捨てた元夫までもが執着を見せ、「俺のところに戻れ」と傲慢に復縁を迫る。だが、彼女はもはや言いなりになっていた過去の小林清和ではない。愛を信じず、自らの足で歩み始めた彼女にとって、あの男の元へ戻る選択肢など存在しないのだ。復讐と再生、そして元夫による執拗な溺愛の行方は――。
憎まれ妻は逃げ出したい の小説カバー
9.4
初夜の夜、男は新妻の首を絞め「地獄へようこそ」と冷酷に告げた。彼は兄の死の原因が彼女にあると信じ込み、復讐のために結婚したのだ。触れることさえ拒み、一生を「生ける未亡人」として幽閉するつもりだったが、ある事故をきっかけに運命は狂い始める。彼女は身を挺して彼を救い、皮肉にもその身に彼の子を宿したのだ。妊娠を隠し、監視の目を盗んで息を潜める彼女に対し、彼は執拗な屈辱を与え続ける。しかし、奇妙なことに他者が彼女を傷つけることだけは決して許さなかった。裏では彼女を侮辱した相手を容赦なく叩きのめし、彼女が望むならと全財産を譲る準備まで進めていた。そんな彼の歪んだ執着も知らず、彼女はただお腹の子供を守るために逃亡の機会をうかがう。だが、ついにその時が来たとき、彼は逃げようとする彼女を強引に抱き寄せ、耳元で低く囁いた。「俺たちの子供を連れて、一体どこへ消えるつもりだ?」憎しみと執着が入り混じる、逃げ場のない愛の物語。