フォローする
共有
覇王の略奪、裏切られた高貴な令嬢を支配する の小説カバー

覇王の略奪、裏切られた高貴な令嬢を支配する

After witnessing her fiancé’s betrayal with her cousin, noblewoman Elena is left shattered. In her moment of despair, she encounters Shoma Nakazawa, a ruthless billionaire and her fiancé’s business partner. He seduces her with a dark proposition: to ruin those who hurt her by descending into a world of sin. Despite her family’s ruinous state and her fiancé’s humiliating demands at a yacht party, Elena finds a dangerous ally. As Shoma touches her in secret while her oblivious fiancé bows to him, she decides to stop being a victim. Embracing Shoma’s cold obsession, she resolves to use this devil to drag her enemies into the depths of hell.
共有

2

「……結構です」

理央は、かろうじてそれだけを口にした。全身が恐怖で硬直している。彼女は、翔馬の腕を押し返そうと試みた。しかし、鍛え上げられた筋肉はびくともしない。

「私には、そういう趣味はありません」

理央は声を絞り出し、男の拘束から逃れようと身をよじった。

その瞬間、翔馬の瞳が一瞬鋭く光る。彼は壁についていた手を離すと、今度は理央の細い手首を鷲掴みにした。

「やっ……離して」

理央は悲鳴を押し殺した。

ここで騒ぎを起こすわけにはいかない。パーティー会場には、両家の招待客が大勢いる。醜聞は、鷹司家の名に泥を塗ることになる。

翔馬は、理央の抵抗を完全に無視した。理央の手首を掴んだまま、ぐいぐいと廊下の奥へと引っ張っていく。絨毯が全ての足音を吸い込む。

理央はなすすべもなく引きずられていった。

やがて、二人は一枚の黒いドアの前にたどり着いた。

翔馬がポケットからカードキーを取り出す。それは、このフロアの宿泊者専用エレベーターのカードだった。

エレベーターのドアが開く。

翔馬は、理央を乱暴に中に押し込んだ。

理央が慌てて外に出ようとするのを、自らの体で塞ぐ。

ドアが静かに閉まった。箱が急速に上昇していく。

理央は強い浮遊感に襲われ、胃がひっくり返りそうになった。

チンと軽い音がして、エレベーターが止まる。ドアが開いた先は、ホテルの最上階に一部屋だけ用意されたプレジデンシャルスイートだった。

翔馬は、理央を部屋の中に引きずり込んだ。そして、背後で重々しいロックの音が響く。

理央は完全に閉じ込められた。部屋の中は薄暗かった。床から天井まである大きな窓の向こうに、東京タワーを中心としたきらびやかな夜景が広がっている。その絶景が、今の理央には地獄の風景のように見えた。

「一体、何がしたいんですか」

理央は、赤くなった手首をさすりながら、怒りを込めて翔馬を睨みつけた。

しかし、翔馬は答えなかった。彼はまっすぐバーカウンターへ向かうと、慣れた手つきでワインボトルを開け、二つのグラスに注いだ。琥珀色の液体がグラスの中で揺れる。それを二つ手に持ち、ゆっくりと理央の方へ歩み寄ってきた。

一歩。また一歩。

理央は後ずさる。

やがて、彼女の背中は冷たいガラス窓にぶつかった。

もう逃げ場はない。

翔馬は、理央の目の前にワイングラスを一つ差し出した。

「飲め」

命令するような口調だった。

理央は警戒心を露わにして、そのグラスを睨みつけた。受け取るつもりは毛頭ない。

その態度を見て、翔馬は鼻で笑った。

「まだ、あんな男のために操を立てるつもりか」

その一言が、理央の心の最も柔らかい部分を抉った。彼女はカッと頭に血が上り、翔馬を睨み返す。

その隙を、翔馬は見逃さなかった。グラスをテーブルに置くと、素早く理央の顎を掴んだ。ざらりとした親指の感触。理央は無理やり顔を上げさせられる。目の前には、侵略的な光を宿した翔馬の瞳があった。

「っ……」

理央は顔を背けようとした。

しかし、翔馬は顎にかける力を強め、それを許さない。彼の親指が、理央の震える下唇をゆっくりと撫でた。理央の全身にぞくりと鳥肌が立つ。

「裏切り者に復讐する一番いい方法はわかるか?」

翔馬が囁く。

「そいつよりもっと堕ちることだ」

理央の脳裏に、ドアの向こうで聞こえた春臣と楓香の声がフラッシュバックした。

『お前に決まってる』

『いつ別れてくれるの?』

理性を保っていた糸が、ぷつりと切れる音がした。理央の瞳から光が消え、ただ茫然と翔馬を見つめる。

翔馬は、その変化を敏感に察知した。テーブルの上のグラスを手に取ると、一気にワインを口に含んだ。そして、理央の唇をこじ開けるように塞ぐ。

抵抗する間もなかった。

濃厚なワインが彼の舌と共に、理央の口内へと流れ込んできた。

おすすめの作品

結婚式で捨てられて、いまは御曹司の最愛妻 の小説カバー
7.9
三年にわたる交際の末、結婚式という最良の日に恋人から非情な別れを告げられた瀧ノ上清穂。「田舎者」と蔑まれ、彼は自らの“初恋の相手”を選んで去っていった。しかし、裏切られた清穂の正体は、この海都で並ぶ者のない巨大財閥の令嬢だったのだ。どん底の失恋を機に、彼女は隠していた莫大な資産と本来の誇りを取り戻していく。かつての恋人への復讐と鮮やかな逆転劇が幕を開けるなか、彼女の前に現れたのは、冷徹な実業家として恐れられる藤原だった。周囲が畏怖する彼が清穂にだけ見せるのは、誰よりも深く彼女を信じ、慈しむ情熱的な素顔。「おまえが俺の妻でよかった」という甘い言葉とともに、彼は清穂をあらゆる困難から守り抜く。愛した男に捨てられた傷跡を抱えながらも、献身的に尽くす藤原の深い愛に触れ、清穂の心は再び激しく揺れ動く。裏切りの果てに見つけたのは、真実の絆。どん底から這い上がった令嬢が掴む、二度目の恋と至高の幸福を描くシンデレラストーリー。
幼馴染を選んだ元婚約者はご自由に。私はさいこうの男の「永遠」になります の小説カバー
8.1
5年もの献身を捧げた結婚式当日、橘明音は絶望の淵に立たされた。婚約者の長谷川冬樹が「死にたい」と繰り返す幼馴染の機嫌取りを優先し、式を放棄したのだ。彼の心が永遠に氷のままだと悟った明音は、過去を断ち切り江南へと逃亡する。しかし、人生をやり直そうと泥酔した夜、彼女は取り返しのつかない過ちを犯してしまう。一夜を共にした相手は、社交界でタブー視される実兄の宿敵、藤堂修祢だった。逃げ出そうとする明音を屈強な腕で引き戻し、彼は艶やかな声で「食い逃げか?」と責任を迫る。冷徹無比な高嶺の花として知られる藤堂だが、その正体は宿敵の妹である明音を狂おしいほどに欲する偏愛の鬼だった。古都を買い取るほどの巨額を投じ、禁欲主義の仮面を脱ぎ捨てて彼女を執拗に追い詰める藤堂。甘美な罠に囚われた明音の運命は、かつての婚約者への復讐さえも飲み込むほどの情熱に塗り替えられていく。冷徹な支配者が唯一愛した女性にだけ見せる、あまりにも過剰で危険な溺愛劇が今、幕を開ける。
離婚寸前、ワンナイトの相手は冷酷な「夫」でした の小説カバー
9.0
結婚から2年、夫の無関心と絶えない女性の噂に耐え続けてきた彼女は、ついに我慢の限界を迎え、怒りとともに離婚を突きつける決意をした。ところが、離婚届が受理される直前、予期せぬアクシデントによって、これまで顔もまともに知らなかったはずの夫と一夜を共にしてしまう。一刻も早く彼との縁を切りたい彼女は、その場から逃げ出すように去るが、運命のいたずらか、離婚予定の夫が突如として彼女の勤務先に現れる。しかも、彼は彼女の直属の上司として着任したのだ。正体が露呈することを恐れながら、昼は有能な上司と知恵比べを繰り広げ、夜は執拗に距離を詰めてくる夫の追及をかわすという、綱渡りのような日々が幕を開ける。しかし、冷酷なはずの夫は、自分の傍にいる秘書が妙に気になる存在であることに気づき始め、やがて彼女が隠し続けていた秘密に辿り着いてしまう。一度は壊れかけた夫婦の絆は、この再会を機にどう変化していくのか。冷徹な夫が再び妻の心を取り戻す日は来るのだろうか。すれ違う二人の波乱に満ちた恋の行方を描く、大人のロマンス。
慰謝料代わりに渡されたのは、総資産10兆円と禁欲系スパダリでした。 の小説カバー
8.5
結婚から3年、成瀬寧音は自らの輝きを封じ、夫・桐生恒一に尽くす「貞淑な妻」を演じてきた。しかし、夫の心には常に別の女性がおり、寧音は義母からの蔑みや夫の無関心に傷つき、孤独な日々を過ごす。決定的な絶望は、彼女が海外で誘拐され生死を彷徨った際も、夫が愛人の傍にいたことだった。ついに離婚を決意した寧音に対し、恒一は「自分がいなければ生きていけない」と侮るが、彼女の正体は国内屈指の財閥の令嬢だった。迎えに現れた100台の高級車と共に、一族の至宝として社交界へ帰還した彼女。兄たちから千億規模の企業や莫大な資産を譲り受け、エンタメ界や財界を席巻する寧音の前に、最強の覇者・東条嶺央までもが求愛者として現れる。かつての夫・恒一は豹変した元妻の輝きに圧倒され、後悔に震えながら復縁を乞うが、彼女を溺愛する5人の兄たちが鉄壁のガードでそれを阻む。かつて虐げられた薄幸の妻が、真の姿を取り戻して華麗に返り咲き、最高の愛を手に入れる逆転劇が幕を開ける。
灰の中から立ち上がる:消された天才令嬢の帰還 の小説カバー
8.6
子宮外妊娠の破裂という命の危機に直面した際、結婚して三年の夫に助けを求めたが、彼は冷酷に突き放した。電話越しに聞こえる見知らぬ女の甘い声。夫はその女のために巨額の寄付を行う一方、手術直後の私を強引に抱き、傷口を裂くという非道な仕打ちを繰り返した。私はかつて天才研究者の道を捨て、恩返しのために鷹司家の妻として尽くしてきたが、その努力は裏切られた。夫が公衆の面前で慈しんでいたのは、私の全てを奪い続けてきた従妹の武井萌歌穂だったのだ。さらに、両親の事故死に彼女の父が関与している疑惑までもが浮上する。捧げてきた愛も忠誠も無意味な一人芝居だったと悟った私は、血に染まったシーツの上で静かに離婚届に署名した。もはや、息を潜めて生きる必要はない。かつて開発した新薬の特許による数億円の資金を解禁し、私は自分を貶めた者たちへの苛烈な反撃を開始する。奪われた尊厳と真実を取り戻すため、消されたはずの天才令嬢が灰の中から再び立ち上がる。
当てつけ婚の相手は、正体を隠した世界一の富豪でした の小説カバー
9.6
結婚式の初日、菊池星奈の人生は一変した。花婿が別の女性と駆け落ちするという最悪の裏切りに遭ったのだ。怒りに震える星奈は、偶然居合わせた男を捕まえ「私と結婚する度胸がある?」と詰め寄り、勢いのままに入籍してしまう。しかし、夫となった藤井勇真は、一族の面汚しと嘲笑される「落ちこぼれ御曹司」だった。世間は彼女の無謀な選択を笑い、裏切った元婚約者までもが「あんな無能を選んで後悔するぞ」と嘲笑を向ける。だが、星奈は毅然とした態度で「夫を侮辱することは許さない」と言い放ち、彼を信じる道を選んだ。誰もが彼女の正気を疑うなか、衝撃の真実が世界を震撼させる。勇真の正体は、世界経済を裏で支配する正体不明の超大富豪だったのだ。全世界が注目する生中継のさなか、彼は星奈の前で跪き、200億円のダイヤを捧げて誓う。「世界一の富豪の妻として、これからの人生を僕に預けてほしい」と。当てつけから始まった結婚は、想像を絶する至上のシンデレラストーリーへと変貌を遂げる。