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AMBIVALENCE の小説カバー

AMBIVALENCE

幼少期から不器用な性格で、周囲との円滑なコミュニケーションを築けずにいた「わたし」。内弁慶で身近な存在に甘えてしまう脆さを抱えながらも、これまでは「普通」という名の平穏な日常をなんとか維持してきた。しかし、中学校生活の中で経験したかけがえのないものの喪失が、平穏を根底から覆す。大きな失望と動揺、そして蓄積された疲労によって、これまで必死に守り続けてきた自分自身の殻は無残に砕け散り、人生の歯車は大きく狂い始めていく。理想と現実が複雑に交錯する境界線上で、大切な何かを失った精神的負荷は、やがて統合失調症という形となって現れた。成人を迎えてからもなお、社会や自己との折り合いをつけられず、出口の見えない苦悩の渦中で足掻き続ける日々。暗闇の中で道を探し求め、迷い惑う一人の女性の姿を描き出す。本作は統合失調症という病と向き合う個人の内面を綴ったフィクションであり、作中に登場する人物や団体、組織などの名称はすべて架空のものです。揺れ動く感情の機微を丁寧に追った、再生への模索を問う物語。
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―15年ほど前・・・

 通信制の大学生になっていた。

 高校を中退してからフリースクールに所属し高校は通信制で卒業した。

フリースクールの同年代の親しい先輩たちもここの通信制大学に入学していたので、わたしはどんな大学かとか卒業するまでの方法やシステムを全く聞かずに、下調べもせずに入学していた。

 ”神預け―”

当時、神様のような人だと信頼しきっていたフリースクールと、わたしの関係はそんな言葉で評すだろう。

 通信制大学のレポートの悪戦苦闘はストレスを抱えながらも書けた時が楽しい、嬉しい。

だけど2年生くらいの時にスクーリングで思い知った。

先生が何を話しているのか全く聞き取れなかった。もちろん日本語で話していた。合格はしたとしても、わたしには勉強はできないと知った。

 東京に着けば勉強を心配しても観光が楽しい。

ホテルを選んで利用してみたり、電車を色々乗り継いでみたり。

でも東京の街に親しみながら、頭の中は白くなっている…。

―勉強…自分ではできないことをしてるのだと潜在意識から表面へうっすら浮かび上がって体を硬直させた。

 電車の中で

明るい雰囲気のカップルと会った。

何故か女性の方には興味をもたず、にこやかにしている男性を横目で眺めていた。

ふらふらと足のバランスを崩してみた。

友達と初めて静岡駅までいった日、到着するときに友達が電車の揺れで体勢をくずしたのを思い出していた。

わたしは酔っぱらってもいないし大根役者だ。それでも2、3回足元を危うくしてみせた。

この人生に、誰かが終止符を打ってくれることを欲していた。

男性の方はこちらに振り向いた。

―笑った。―

ような気がする。

正面で顔を眺められないくせにわたしは、大胆なことをしたものだと思った。

バカな演技はやめて

明日からの未来をどうするかを真剣に自分で考えてみなくては、と思った。

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