フォローする
共有
実は俺、超絶御曹司でした の小説カバー

実は俺、超絶御曹司でした

極貧の家庭に育った俺は、大学進学の夢を諦めず、深夜までバイトに明け暮れ自力で学費を稼ぎ出した。念願のキャンパスライフが始まり、俺はクラスで誰からも愛される清純な美少女に恋をする。分不相応だと自覚しながらも勇気を出して告白すると、予想外に彼女は交際を承諾。幸せの絶頂にいたが、彼女から最初のプレゼントに高価なスマートフォンを要求される。俺はさらに身を削って働き、同級生の洗濯まで引き受けて必死に金を貯めた。ようやく購入資金が揃ったその日、俺は最悪の光景を目の当たりにする。彼女がバスケ部の主将と浮気をしていたのだ。貧乏人だと嘲笑われ、力でねじ伏せられた俺は、金がないだけで虐げられる理不尽な現実に絶望し、己の境遇を激しく呪った。しかし、寮に戻った俺に父から衝撃の事実が告げられる。「実はうち、とんでもない大富豪なんだ」。その日を境に、貧しさに喘いでいた俺の人生は一変する。かつて最も憎んでいた存在、すなわち世界屈指の資産を持つ超絶御曹司としての逆転劇が、ここから幕を開ける。
共有

1

大学のキャンパス、体育館の中。

青いユニフォームを着た青年が体育館の入口に姿を現した。

青年は片手に麻袋を提げ、もう一方の手に軍手をはめ、腰を屈めてペットボトルを拾い上げ、麻袋に放り込んだ

「毎日バスケの試合があればいいのに。このボトルがあれば、さらに1000円は稼げる。そうすれば月末には、瑛美への誕生日プレゼントにスマホ買えるな」

成宮浩輔は興奮した面持ちで顔を上げ、フロアに散らばるペットボトルに視線を走らせた。

その時、ロッカールームから体格のいい男子学生の一団が現れ、それぞれがユニフォームや汗臭い靴下の詰まった大きな桶を抱え、浩輔の方へ歩いてきた。

「成宮、バスケ部全員のユニフォームだ。一桶200円で洗濯してこい」

先頭に立つ赤髪の男が煙草を咥え、足元に桶を放り投げた。

「同じバスケ部の一年だろ。この俺、広岡大河が気を使ってやってんだ。ほらよ」

大河が合図すると、他の者たちも汗の匂いが染みついたユニフォームや靴下を次々と床に投げ捨てた。

「お前がもっと稼げるように、わざわざチームの連中に一週間分溜めさせといたんだぜ。嗅いでみろよ、いい匂いだろ」

大河は汚れた靴下を一足つまみ上げ、浩輔に向かって投げつけた。

浩輔が避ける間もなく、靴下は彼の顔面に直撃し、鼻をつく酸っぱい悪臭が広がった。

「てめぇ……」

罵声を上げかけた浩輔だったが、ぐっと歯を食いしばって言葉を飲み込んだ。顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。

彼にとって、どんな収入も貴重であり、この機会を逃すわけにはいかなかった。

彼は裕福な家の息子ではなく、貧しい家庭に育った大学生なのだ。

コネも専門技術もない彼は、週末にアルバイトをする以外、学内で他の学生の洗濯やレポート代行を引き受けて収入を得るしかなかった。

そうして少しずつ、大学の学費と生活費を工面してきたのである。

これからも大河たちを頼りに生活費を稼がなければならない。浩輔は心の内で怒りと屈辱を押し殺し、顔から靴下を剥ぎ取って桶に放り込んだ。そして深く息を吸い込むと、広岡に手を差し出して言った。「全部で1000円だ」

大河は財布から千円札とコインを取り出して地面に投げ捨て、軽蔑的な笑みを浮かべた。「ほらよ。これは千百円だ。残りの百円は駄賃だ。ついでに校門で荷物を受け取って、キャプテンの桐生文哉に届けてくれ」

そう言うと、大河はバスケ部の連中を引き連れ、笑いながら去っていった。

浩輔は無表情で金を拾い上げ、拳を握りしめてため息をついた。

(広岡たちはむかつく連中だが、金が稼げるなら、これくらいどうってことない)

彼は手際よく麻袋を担ぐと、大学の外にある廃品回収所へ向かった。ボトルを売り払うと、その足で休む間もなく校門へ走り、 バスケ部のキャプテンである桐生文哉宛ての荷物を受け取って体育館へと届けに向かった。

道中、浩輔は今日稼いだ金を注意深く数え、満足感に浸っていた。先ほどの不快な出来事も、すっかり薄れていた。

もうすぐ恋人へのプレゼント代が貯まる。そう思うと、浩輔は自然と鼻歌を口ずさみ、足取りも軽くなった。

だが、ロッカールームの前に着いた途端、中から女性の喘ぎ声が聞こえ、ドアをノックしようとした浩輔の手が宙で止まった。

(この声、 どこかで聞いたことがある……!?)

ロッカールームから漏れ聞こえる声は大胆で、聞いているだけで顔が赤くなるほどだったが、聞けば聞くほど、浩輔の胸騒ぎは大きくなっていった。

その声は、最近付き合い始めたばかりの彼女、永井瑛美の声に酷似していたのだ。

「桐生さん、左、すごく気持ちいい……右もお願い」

「焦るなって、瑛美ちゃん。今日はセクシーなランジェリーを買ってきたんだ。後でそれを着てもらったら、もっと盛り上がるぜ」

再び声が聞こえた。今度は、先ほどよりもずっとはっきりと。

瑛美ちゃん? 永井瑛美!?

カッと頭に血が上り、浩輔はロッカールームのドアを蹴破った。

目に飛び込んできたのは、生涯忘れることのできない光景だった。

おすすめの作品

フラれた翌日に結婚したら、億万長者の妻になってました の小説カバー
8.5
失恋の痛手から自暴自棄になった七瀬結衣は、出会ったばかりの正体不明の男と勢いだけで結婚を決意する。生活力のない彼を自分が支えようと覚悟を決める結衣だったが、新生活が始まると予想外の事態が次々と巻き起こる。彼女が困難に直面するたび、夫は驚くべき手腕を発揮して完璧に問題を解決していくのだ。単なる運の良さでは説明がつかない彼の振る舞いに、結衣は次第に違和感を抱き始める。実はその夫の正体は、世界を動かす圧倒的な資産を持つ大富豪・朝倉誠司だった。「これこそが君の引き寄せた運命だ」と微笑む彼。当初は利害の一致や一時の感情から始まったはずの、歪な形での契約結婚生活。しかし、誠司の献身的なサポートと隠された真実に触れるうちに、結衣の心にはこれまでにない感情が芽生え始める。偽りの夫婦という関係から始まった二人の物語は、数々の波乱を乗り越えながら、かけがえのない真実の愛へと昇華していく。大富豪の夫と平凡な彼女が織りなす、波乱万丈で甘いシンデレラストーリーが今、幕を開ける。
離婚届は、最強への招待状。~全能の天才妻と、後悔に狂うクズ元夫~ の小説カバー
8.6
「妊娠した彼女のために名分が必要だ」と、伊藤翔太はかつて一生の愛を誓ったはずの妻・佐藤結衣に離婚を突きつけた。三年に及ぶ結婚生活の間、結衣は自らの輝かしい才能をすべて封印し、控えめで物静かな妻として夫を支え続けてきた。しかし、初恋の女性を選び自分を追い出した夫への未練を断ち切り、彼女が眼鏡を外したとき、隠されていた絶世の美貌と驚愕の素顔が解き放たれる。神業を持つ医師、伝説のレーサー、そして天才デザイナー。次々と明かされる彼女の真の姿は世界を震撼させ、結衣は再び各界の大物たちが跪く頂点へと返り咲いた。彼女が類まれなる万能の天才であったと知り、己の愚かさを痛感した翔太は、激しい後悔に狂いながら復縁を迫る。だが、冷徹に彼を突き放す結衣の傍らには、京都の名家を統べる圧倒的な権力者の姿があった。最強の座を取り戻した元妻と、すべてを失い絶望する元夫。愛と復讐が交錯するなか、彼女を抱き寄せる新たな伴侶が、執拗に縋るクズ男に冷酷な裁きを下す。
P209-作废 の小説カバー
9.4
結婚して3年、テック界で名を馳せる才女である主人公は、多忙な夫を信じて貞淑な妻として尽くしてきた。しかし実母の死という悲劇のさなか、彼女は夫が義妹と不倫関係にあるという残酷な裏切りを知る。新婚初夜から欺かれていた彼女は、未練を断ち切り離婚を決意。周囲は「すぐに後悔して戻るはずだ」と身一つで家を出た彼女を嘲笑するが、彼女が戻ることはなかった。それどころか、立場は逆転し、元夫が雨に打たれながら土下座で復縁を乞う姿が世間を騒がせる事態に。インタビューで未練をきっぱりと否定し、執着する元夫を冷徹に突き放す彼女。そんな彼女の肩を抱き、独占欲を露わにしたのは、表と裏の世界を支配する強大な財閥の御曹司だった。「私の妻を狙う愚か者は誰だ?」と冷たく言い放つ彼。自立した女性が過去を捨て、真の権力者の寵愛を受けながら、自分を貶めた者たちを見返していく逆転劇が幕を開ける。
今度の人生、最強夫と心ゆくまで「ざまぁ」します! の小説カバー
9.7
前世の私はあまりに愚かだった。卑劣な男女の甘言に騙され、愛する家族を失い、家を破滅へと追いやったのだ。しかし、奇跡の転生を果たした今、目の前には自分を深く愛してくれる完璧で美しい夫がいる。今度こそ彼を離さず、自らの知性と美貌を武器に、仇敵たちを地獄へ突き落とすと誓う。復讐を遂げる過程で、私はいつの間にか裏社会を統べる伝説のボスや、名家が崇める至宝としての顔を持つようになっていた。暗殺組織は私を狙う者を容赦なく排除し、敵対していたはずの四大名家までもが私を熱烈に守り抜く。さらには神秘的な名門一族がひれ伏して私の帰還を待ちわびる事態に。多すぎる裏の顔と圧倒的な権力を手にした私の背後で、冷徹かつ妖艶な夫は不敵に微笑み、独占欲を隠さず私を抱き寄せる。「世界に紹介しよう。彼女こそが俺の愛する妻だ」と。最強の夫と共に歩む、甘く過激な逆襲劇がいま幕を開ける。圧倒的な力でクズどもを蹂躙し、愛も富も地位もすべてを手に入れる痛快な物語。
私を見殺しにしたくせに、今さら這いつくばって許しを乞うなんて の小説カバー
9.6
5年という歳月をかけ、成瀬結菜は夫の松本明男を深く愛し抜いてきた。しかし、彼の元恋人が妊娠して現れたことで、正妻としての立場は崩壊し、周囲の嘲笑の的にされてしまう。結菜は一切の財産を捨てて離婚を決意するが、明男は関係修復を懇願した。そんな折、結菜と元恋人が同時に水に落ちる事故が発生する。明男は迷わず妊婦である元恋人の救助を優先し、その瞬間、結菜の心は完全に打ち砕かれた。彼女は誰にも告げず、静かに表舞台から姿を消す。それから3年後。結菜は国際的な映画祭で最優秀女優賞を受賞し、誰もが羨む輝きを放つスターとして再降臨した。彼女の周囲には新たな父親の座を狙う有力者たちが集まり、帰国した空港は熱狂に包まれる。かつての傲慢さを失い、惨めな姿でひざまずきながら「見捨てないでくれ」と涙ながらに許しを乞う明男。しかし、地獄のような後悔に苛まれる彼を待っていたのは、結菜の冷徹な眼差しだけだった。愛を捨て復讐へと転じた彼女の、新たな人生が幕を開ける。
去り際の身代わり、/還りて愛を喰らう の小説カバー
9.3
実家を救うという使命のため、彼女は冷徹な実業家の傍らで「有能な秘書」と「都合の良い愛人」という二つの顔を3年間演じ続けてきた。しかし、彼が長年の想い人である初恋の女性と婚約したという報せに、彼女は自ら幕を引くことを決意する。彼への未練を断ち切り、その身に宿した新しい命を隠したまま、彼女は彼の前から静かに姿を消した。それから5年の歳月が流れ、かつての愛人は数百億の資産を操る巨大財閥の女性CEOとして社交界に返り咲く。大衆の注目を浴びる中、彼女はかつての雇用主である男の会社を3年以内に買収すると大胆に宣戦布告した。世間がその因縁に沸き立つ中、二人きりになった瞬間、男は彼女を激しく追い詰め、愛を乞うように囁く。「会社も俺のすべてものも、君に捧げよう。だからお願いだ、二度と俺を置いていかないでくれ」と。かつての上下関係は逆転し、執着に近い愛を注ぐ男と、復讐を誓う女の再会。持参金として差し出された会社と彼の心に対し、彼女が下す決断とは。愛と野望が交錯する、衝撃のリベンジ・ラブストーリー。