フォローする
共有
~タイムトラベル~王室からの愛 の小説カバー

~タイムトラベル~王室からの愛

21世紀を生きる法医学の権威、ハーパー・チューの運命は、ある遺体の解剖中に見つけた不可解な証拠によって一変する。巨大な犯罪組織の標的となり、絶体絶命の窮地に追い込まれた彼女は、逃亡の果てに時空を超え、古代の光明王朝へとタイムスリップしてしまう。見知らぬ時代で生き延びるため、彼女は現地の役人の娘という偽の身分を隠れ蓑に、追っ手から身を隠すことを決意した。頼れる家族も友人もいない孤独な環境下で、ハーパーは現代で培った卓越した検死技術と観察眼を武器に、自身の身を守りながら復讐の機会を窺う。しかし、その類まれなる才能は、一人の王子の関心を強く惹きつけることになった。正体が露見すれば命はないという緊張感の中、執拗に迫る危機を回避し、彼女は自らの運命を切り拓くことができるのか。時をかける専門家が、王朝に渦巻く陰謀と愛憎の嵐に立ち向かう、壮大なロマンス・ファンタジー。
共有

2

「あなたは...」 フェリシアはまだ何かを言おうとしていた。

これ以上時間を無駄にしたくなかったため、ハーパーは彼女に近づき、 「証拠があるの。でも気を付けて。 私の無実が証明されれば、逆にあなたが危険にさらされるわよ」

姉の言葉の意味を理解したフェリシアは、恐怖が表情にあらわれたが、 それでもハーパーはだけでなく、誰も自分の犯した罪の証拠を示すことができないと彼女は確信していた。

「ハーパー、ハッタリはやめてちょうだい」フェリシアは厳しくささやいた。 確かに彼女の医者としての腕は優れているが、処世術に関してはまったくの門外漢。 さらに、すでにマクスウェル将軍を怒らせ、宮廷医師としての地位さえも失っていた今、 この絶体絶命の状況を覆す方法なんてないのだ!

妹に構う気力もなく、ハーパーはマシューに頭を下げた。 「殿下、私について将軍の住居にいらしてください」

マシューとハーパーが将軍の住居に到着すると、マクスウェルは涙を流している側室、ジェイド・スーを慰めるのに忙しかった。

強面の外見とは裏腹に、彼は女性に対しては優しい心を持つ男だった。 そんな彼の唯一の心残りは、自分の子を持つことができなかったことだから、 ジェイド・スーが妊娠を発表したとき、彼は喜びに満ちあふれていたが。しかし待ちに待った息子の誕生も待たずに先にその訃報を聞かされた時、 彼は怒らずにはいられなかった。

「将軍、マシュー親王がお見えです」 と使用人がマクスウェルの方へ知らせに来た。

「彼はここで何をしている?」 マクスウェルは眉をひそめた。 5年前、戦場から戻りマシューは、軍の指揮権を皇帝に返上してから なんの権力もなくなったが、それでも多くの人が彼に畏敬の念を抱いていた。

「ハーパー・チューも同行してるようです」

「ハーパー・チューだと!?」 その名前を聞いたジェイド・スーは叫びだし、 そしてマクスウェルの腕をつかむと、 「将軍!あの女は私たちの子供の仇よ! 絶対生きたまま返すわけにはいかないわ! 私たちの子供のためにも、 彼女を殺して!」

「落ち着くんだ、ジェイド! 必ず彼女を成敗して見せよう」 最愛の側室が横になるのを手伝い、 これで大丈夫だと確信すると、彼は足取りを速め、力強く外に向かって歩き出した。 しばらく戦場を離れていたが、その姿勢と歩き方は兵士のそれと似ており、強くて安定していた。

マクスウェルが入ってきた瞬間、マシューと向き合う前にハーパーを睨みつけた。 「殿下、これは一体どういうことです? その女はもう処刑されたはずなのでは?」

「将軍、落ち着いてください。 ハーパー・チューが無実を主張したので、証明する機会を与えただけですよ。 迷宮入りになるよりはいいでしょう」とマシューは親指で翡翠の指輪を回しながら答えた。

「ご機嫌麗しゅう、マクスウェル将軍」 ハーパーはお辞儀をして、 「私の知る限りでは、将軍は武将であり、知将でもあるはずです。 何せ戦場でのあなたの力と知恵を讃える歌をたくさん聞きましたもの」とお世辞を述べた。

「息子を殺したお前を こんなくだらない媚び文句で許すとでも思ってんのか?」と彼は雷のようなでかい罵声をあげた。

「いいえ、めっそうもございません。 いつも将軍を尊敬しています。何せ私たちが平和な国に住んでいられるのは、将軍と将軍が率いる兵士のおかげですから。 ジェイド夫人が難産だと聞き、唯一の女性宮廷医師として、夫人を助けるためここに急いでやってまいりました」 彼女は一呼吸置くと、「しかし実際ジェイド夫人の状況を診てショックを受けた私が、それを将軍に知らせる前に、何者かによって気絶させられたんです」と続けた。

「それはあなたが将軍の子を死なせた罰を恐れて自殺しようとしていただけでしょ!」 すでに処刑されていたはずのハーパーが大胆にも自分の屋敷でに入り込んでくると夢にも思っていなかった ジェイド・スーはよろよろと部屋から出てくると、お腹に手をかざして叫び声を上げた。 「将軍、どうか、私たち親子のためにこの悪女を裁いてください!」 そう言って彼の方を向くと、すすり泣いた。 「あの子は生まれてくるはずの、将軍が待ちに待った最初の息子なんですよ」

「泣かないで」 マクスウェルは、側室がすすり泣くのを見て、心の痛みを感じ、 ハーパーの方を向くと、怒りで目を光らせた。 「私の子供を殺しておきながら、よくも家に来れたものだな。まして自分自身を擁護しようなんて... 恥ずかしくないのか?」

「将軍!」 ハーパーは彼をさえぎった。 「最初から存在していなかった子を、私はどうやって殺せるのでしょうか? ジェイド夫人は、そもそも妊娠してはいなかったんですよ!」

すると周りは静寂に包まれ、誰もが唖然としている中、 ジェイド・スーは青ざめて 「ハーパー・チュー、なんて悪質なメス犬なのかしら! 私の子供を殺した上に、私が妊娠していなかっただなんて嘘までついて! まさか妊娠してからの9か月間がすべて嘘だったっていうの?」 と唸った。

「嘘はやめて!」

ハーパーは腕を組んだ。 「私には証拠があります! 道理を弁えた寛大な心を持ち、誰よりも公平を重んじる将軍のことだから、 決して無実の人を殺すなんて真似はしないでしょう」

嘘をついているようには見えない彼女の澄んだ瞳を見て、 マクスウェルは眉をひそめた。

「将軍、彼女の戯言を信じてはなりません! あの9か月の妊娠でどれだけの苦労をしていたか、 あなたが一番よく知っているはずです」 ジェード・スーは指を震わせてそう言いながらも、 フェリシアとつるんでハーパーを陥れることを非常に後悔していた。 適当に他人の子を引き取って将軍の子と騙れば、子宝を授かる功で 正妻の座が手には入れるというのは彼女の最初の打算だったが、 フェリシアにこれで正妻になるのはまだ十分ではないと言われ、さらにハーパーを陥れるのを手伝ってくれれば、正妻にしてあげるという彼女の口車に乗せられて現在に至ったが、 正妻になるどころか嘘をもばらされてしまいそうなので彼女は後悔せずにはいられなかったのだ。

「将軍、私は6歳の時に叔父のもとで医学の勉強を始め、 今では10年になります。 幾度もの試練とカトリーナ夫人の推薦を経て、初で唯一の女性宮廷医師になった 私の腕を、将軍もご存じのはずです。 でなければ、私にジェイド夫人の治療を頼まなかったでしょう。 しかし診断した後、彼女が飲めば妊娠と同じ症状が出るという秘薬を服用してることに私は気づいたのです。 そしてその秘薬と中和できる解毒剤を飲めば、すぐに妊娠の症状はなくなり、普通の体に戻ります」 といいながらハーパーは息を吐き出した。 「しかし、このことをご報告する前に、私は何者かによって気絶させられ、 そして次に目覚める時、私はすでに将軍の子を殺めた罪で逮捕されたのです」

「バカはよしなさい!」 ジェイド・スーはマクスウェルと手を組んで彼女を嘲笑った。 「将軍、信じてください。 私は嘘なんてついていません。 決して!」

「将軍、古くから2人の血を混ぜることで血縁関係を確認する方法が用いられてきたことをご存じでしょう?」とハーパーはゆっくりと言った。 「たしか、赤ちゃんのご遺体はまだ埋葬されていないんですよね?」

「ああ」 棺桶に横たわる小さな死体のことを考えると、マクスウェルの心がさらに痛んだ。 何せ三十過ぎの彼の、初めて生まれてこようとした子を死なれたのだから、 心を痛ませても仕方ないのだろう。

「しかし、赤ちゃんが亡くなった今、その血も固まってますから、 血を混ぜることは不可能でしょうね」 そう言うと、ハーパーは目の隅からジェイド・スーをちらっと見た。

そうだ!赤ちゃんが死んだ今実の子かどうか確認する方法なんてないのだと考えながら、 ジェイド・スーは心配が晴れたようにほっとした。

「しかし皆さんご存じないでしょう… 骨に血を垂らすことで血縁関係が確認できるということをね」

それを聞いたジェイドの顔はまた暗くなり、心臓の鼓動もさらに激しくなっていき、 そして思った、「絶対これ以上続けさせるわけにはいかない」と。

「将軍、真実を知りたいのなら、その棺桶に眠ってるご子息の骨を一本取ってくれば、 すべてが自明するはずです」

「息子を殺しただけでは飽き足らず、その遺体すら破壊しようとしてるの! この人でなしが!」 ジェイドは、マクスウェルの腕の中に身を投じて、また涙を流した。 「将軍、その女の口車に乗せてはなりません! どうか私たちの子を安らかに眠らせてあげて。 死んでも骨を取られるなんて可哀想すぎます!」

「ハーパー・チュー、この期に及んでもまだジェイドに濡れ衣着せようとするとは…そんなに死が怖いのか?」 マクスウェルは冷静に尋ねた。 正直なところ、彼自身も疑っていたのだ。 何せ妻は自分と長年過ごしていても一度身ごもることもなく、その妾たちも同様に一切妊娠しなかったから、 ジェイド・スーが妊娠していると聞いたとき、彼はほっとしたように大喜びしたが、 やはり心の片隅では、これは本当に自分の子なのかという晴れない疑念があった。

「もしそれで私の無実を証明できないなら、家族全員も一緒に殺してもらっても構いませんので!」 ハーパーは頑なに言った。

おすすめの作品

乞食のふりをした将軍が、私を奪いに来た の小説カバー
7.9
かつての恋人は、科挙に首席で合格した直後、権力を持つ姫君の側近となる道を選び私を捨てた。私の存在を疎む姫君は、衆人環視の中で私に娼婦になれと命じ、過酷な辱めを与える。絶望の淵に立たされた私の前に現れたのは、一人の薄汚れた乞食だった。「俺が引き取る。死ぬな」と言い、彼はボロボロの衣で私を包み込み、嘲笑う者たちの前から連れ出してくれた。高台から見下ろす姫君は、落ちぶれた私と乞食を「お似合いだ」と嘲笑する。しかし彼は私を抱き寄せ、「次に会う時は、奴らの首を婚礼の品として贈ろう」と静かに誓った。私はその言葉を、傷ついた心を癒やすための優しい嘘だと思っていた。だが、それから時が経ち、彼は銀色に輝く甲冑を身に纏い、十五万もの大軍勢を率いて再び姿を現した。かつての乞食の正体は、国を揺るがす圧倒的な力を持つ将軍だったのだ。大切な人を奪われた怒りと愛を胸に、彼は私を迎えに、そして復讐を果たすために帰還した。
運命の番アルファの隠し子――私を打ち砕く拒絶 の小説カバー
8.4
聖なる白狼の血を引く私は、一族を統べるルナとなるべく育てられた。運命の番であるアルファの戒は、私の魂の片割れ。そう信じて疑わなかったが、彼には五年間隠し続けてきた別の家族がいた。皮肉にも、彼の息子の誕生日は私と同じ日。ガラス越しに見たのは、見知らぬ女と愛を囁き、私が憧れた遊園地へ行く約束を交わす番の姿だった。さらに残酷なことに、私の両親もこの裏切りの共犯者だった。彼らは一族の金を横領して戒の二重生活を支え、私の誕生日には薬で私を眠らせ、密かに彼らだけの祝宴を開こうと企んでいたのだ。私という存在は娘でも番でもなく、ただ純血の後継者を産むための便利な道具に過ぎなかった。絶望の淵に立たされた十八歳の朝、私は母が差し出した毒入りのお茶を飲み干し、死を偽装して彼らの前から姿を消す決意をする。もちろん、ただでは去らない。戒たちの息子の誕生会に、彼らがひた隠しにしてきた醜悪な真実をすべて詰め込んだ、特別な「贈り物」を届けさせてから。偽りの愛に満ちた世界を、私は自ら壊して自由を手に入れる。
蹂躙された七年婚〜私を戦場に置き去りにした男〜 の小説カバー
9.6
結婚七周年を迎えたその日、平穏な日常は一瞬にして崩れ去った。大使館から届いたのは、滞在先のA国で武力衝突が始まるという緊急の退避勧告。パニックに陥る街で、私は夫からの「階下で待て」という指示を信じ、救急キットを手に必死の思いで駆け出した。しかし、約束の時間を過ぎても夫は現れない。戦火が迫る恐怖の中でようやく繋がった電話の向こうから聞こえてきたのは、あまりに無慈悲な言葉だった。「機密書類で車が一杯だ。それに、戦争を怖がるあの子を優先して避難させる」。愛するはずの夫は、私を戦場へ置き去りにすることを選んだのだ。大使館のバスに乗れと冷たく言い放つ彼の声に、七年間積み上げてきた愛情は粉々に砕け散った。絶望の淵に立たされた私は、もはや彼に縋ることをやめる。轟音と火の海に包まれる街で、私はただ一人、生き延びるために救急キットを背負い直した。裏切りという名の消えない傷を胸に刻み、赤く染まった戦地の中を、私は自らの足で歩き始める。
「役立たず」と売られた私が、最強の座を奪うまで の小説カバー
7.9
古川詩鈴は、かつて斉藤景吾の命を救うために視力を失った。しかし、献身的な愛の結末はあまりに無惨なものだった。結婚式を翌日に控えた夜、斉藤は彼女の視覚障害を逆手に取り、借金の返済代わりとして彼女を松岡家へ売り飛ばしたのだ。嫁ぎ先は、北瑛市で「無能な放蕩息子」と蔑まれる御曹司のもと。世間はこの悲劇的な縁談を嘲笑し、盲目の少女の末路を冷ややかに見守っていた。だが、彼らはまだ知らない。「憐れな犠牲者」に見えた詩鈴の真の姿を。彼女は千年に一度の才能を持つ調香師であり、世界を股にかける天才ハッカー、伝説的なレーサー、さらには国際的な秘密組織のトップという、驚愕の顔を隠し持っていたのだ。隠された正体が次々と暴かれ、街中が驚天動地の騒ぎに包まれる中、彼女を捨てた斉藤は絶望の淵に立たされる。かつての婚約者が手にした栄光と権力を前に、彼はメディアの前で醜く泣き崩れた。自らの愚かな選択を悔やみ、彼女を松岡に譲ったことを激しく後悔するが、もはやその声が彼女に届くことはなかった。
長谷川社長を救ったのは、追放したあの女でした~実は彼女、隠れ天才医でした~ の小説カバー
7.9
大火災の際、実母に見捨てられた夏川結衣。かつての令嬢は顔に傷を負い、辺境の村で馬の世話をする田舎娘として蔑まれていた。実家に戻った彼女を待っていたのは、妹の身代わりとして政略結婚を強いる家族の冷酷な言葉だった。家族の絆を完全に断ち切る決意をした結衣だったが、次第に彼女の真の姿が明らかになる。宝飾界の巨匠が弟子として仕え、帝都病院の院長が後継者と仰ぎ、凄腕ハッカー集団を率いる彼女は、隠れた天才医師だったのだ。傷も癒え美しく変貌した彼女に家族は後悔の涙を流すが、時すでに遅し。結衣の傍らには、冷徹な財閥の主・長谷川京介がいた。京介はモノクロの世界しか見えない特殊な症状を抱えていたが、結衣との出会いによって人生に鮮やかな色彩を取り戻す。最初は便宜上の妻として接していた彼も、彼女の底知れぬ才能と魅力に触れ、いつしか深く心奪われていく。これは、すべてを捨てた天才女性が真の愛と栄光を掴み取る逆転劇である。
間違い婚約~高木御曹司の"醜い"妻は実は最強の才媛でした~ の小説カバー
9.8
実の家族から冷遇され、「醜い娘」と蔑まれてきた桜井陽葵。対照的に、義母の娘は才色兼備と称えられ、名門・高木家の後継者である峻一との結婚を目前に控えていた。周囲は陽葵を徹底的に見下し、山口莉子らも彼女が一生這いつくばる姿を嘲笑っていた。しかし、運命の結婚式当日、峻一の隣に現れたのは、美しいドレスを纏った陽葵だった。この予想外の事態に、かつて彼女を侮辱した人々は愕然とし、街中が驚愕に包まれる。誰もが「価値のない娘」と断じた陽葵が即座に追い出されることを期待したが、現実は正反対だった。医療界の女王、金融の天才、AI界の巨匠といった彼女の隠された真の姿が次々と明かされ、その圧倒的な才能はかつての敵を沈黙させる。山口家が後悔に震え、周囲が手のひらを返して媚びる中、峻一が公開した陽葵の「神がかった素顔」の一枚が世界を震撼させた。最強の才媛としての正体を現した陽葵は、峻一の深い愛を受けながら、嘲笑を喝采へと変えていく。