
絶縁令嬢の華麗なる逆襲
章 3
誘拐犯たちは久我蓮司を見るなり、恐怖でガタガタ震え出し、慌てて土下座して命乞いをした。「久我様、俺たちの目が節穴でした!どうか見逃してください!」
目の前にいる男は、あの泣く子も黙る「生ける閻魔」こと久我蓮司なのだ!
巨大な裏社会の勢力を牛耳り、表と裏の両方の世界に顔が利く。その手口は冷酷無比で、彼らのような底辺のクズが絶対に手を出してはいけない存在だった。
ーーなんて運が悪いんだ。よりによってこんな場所で、この”死神”に出くわすなんて!
蓮司は彼らに一瞥すらくれなかった。まっすぐ佐藤結衣のもとへ歩み寄り、彼女を縛っていたロープを解く。しかし次の瞬間、女は鬼のような速さで動いた。落ちていたナイフを瞬時に拾い上げたのだ。
冷たい刃の光が煌めく。
「ブスッ!」
ナイフは、先ほど彼女を襲おうとしていた誘拐犯の喉元に、寸分の狂いもなく突き刺さった。
鮮血が吹き出す。
残りの誘拐犯たちは全員、恐怖で腰を抜かした。 「お、お前……一体何者なんだ!?」
結衣は口角を上げ、残酷で妖艶な冷笑を浮かべて言い放った。「あんたたちを地獄へ送る者よ」
狭い倉庫の中に、悲鳴、命乞い、そして骨の折れる音が絶え間なく響き渡る。
結衣はリーダー格の顔に傷のある男の前に歩み寄った。 男はまだ息があり、最も恐ろしい悪魔を見るような目で彼女を怯えながら見つめていた。
「言え。 佐藤怜子にいくらもらったの?企みは何だ? 彼女の声は、氷のように冷え切っていた。
顔に傷のある男は恐怖で失禁しながら、途切れ途切れにすべてを白状した。 「怜子お嬢様だ……俺たちに1億円払って……あんたたちを誘拐しろって…… 佐藤家は絶対に自分を選ぶと踏んで……その後であんたを…… なぶり殺しにしてから処分しろって……」
結衣の瞳に宿る冷ややかな光がさらに増した。
(よくもやってくれたわね、佐藤怜子!)
(これが、ずっと渇望していた「家族」の正体!)
(これが、3年間愛し続けた婚約者の正体!)
(見てなさい。この佐藤結衣は、元々好き好んでやられっぱなしの人間じゃない)
家族の愛情に飢えていたからこそ、何度も何度も我慢し、佐藤家の人間から要求されることは、できる限りすべて応えてきた。
――けれど、結局彼らの心を温めることはできず、奴らは私の限界を何度も踏みにじった。
でも、今回はもう情けはかけない。
佐藤家の連中は馬鹿の集まりだ。本当の血縁者を捨てて、偽令嬢である怜子をもてはやしている。
だから、もう見限った!
結衣が一喝した。「失せな!2度と私の前に顔を見せないで!」 数人の誘拐犯は慌てふためいて逃げ出し、あっという間に姿を消した。
(面白い女だ。)
蓮司はこれまで、こんな女に出会ったことがなかった。ただの可哀想な小娘だと思っていたのに、まさかこれほど強いとは。
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