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顔多き夫婦が世界壊滅級のざまあでした! の小説カバー

顔多き夫婦が世界壊滅級のざまあでした!

京城の社交界を騒がせているのは、偽の令嬢として正体を暴かれた松本星嵐の転落劇だった。夫に離縁され、実の両親や兄からも見捨てられた彼女は、婚家を追われると同時に、謎多き実力者である坂本凛斗へと接近する。周囲は彼女がすぐに捨てられると嘲笑していたが、事態は予想外の方向へと動き出す。星嵐が隠し持っていた驚愕の「裏の顔」が次々と明かされ、かつて彼女を蔑んでいた大物たちが次々に跪く事態となったのだ。復縁を望む元夫を冷徹に突き放した彼女は、新たな伴侶である凛斗に対し「私のヒモになってもいい」と余裕の笑みを浮かべる。しかし、凛斗もまた底知れぬ正体を隠し持っていた。彼は不敵な笑みを湛え、対等以上の存在として彼女を翻弄していく。星嵐の離婚と凛斗の結婚、そして正体不明なこの夫婦が手を組んだことにより、世界は未曾有の混乱に陥る。互いに多才な顔を持つ二人が結託し、世の中を鮮やかに裏切っていく。常識を覆すスケールの「ざまあ」劇が、今ここに幕を開ける。
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3

レスターが振り返ると、陽向がバルコニーで煙草を吸っているのが見えた。

陽向は骨ばった指で煙草を挟み、薄い唇の間に立てていた。 輪郭のはっきりした横顔は、白い煙の中に浮かんでいる。

陽向が煙草を吸うのは珍しい。 彼が最後に吸っているのを見たのは、二年前のことだった。

レスターがバルコニーに歩み寄り、状況を報告する。 「星蘭お嬢様は大事には至りませんでした。 ただ、長く雨に濡れたことと、精神的なショックが重なって悪寒を引き起こしたようです。 注射を打ち、薬を飲めば大丈夫でしょう」

「ニュースも拝見しました。 陸名家の仕打ちは、あまりにも酷すぎます。 縁を切るにしても、陸名雪菜の誕生パーティーで星蘭お嬢様を辱める必要があったのでしょうか」

レスターは憤りを隠さない。 「あの時、星蘭お嬢様を海外から呼び戻したのに、何の検証もしなかったというのは本当ですか?この件はどこかおかしい。 きっと陰謀です!」

そう言い終わるか終わらないうちに、ベッドサイドに置かれた星蘭のスマートフォンがけたたましく鳴り始めた。

陽向が近づき、切ろうとしたその手が、画面に表示された名前を見て止まる。 俊眸が一瞬凝り、そして通話ボタンを押した。

電話がつながると同時に、男の怒声が劈いてきた。

『陸名星蘭、電話にも出ず、メッセージも返さない。 てめえ、いい加減にしろ!死んだふりすれば済むと思ってるのか?明日中に離婚届にサインしろって言ってるんだ、わかったか!』 『もう限界だ。

俺と雪菜の邪魔はいい加減やめろ! 陸名家の世話になって長いんだろう? 少しでも良心があるなら、 さっさと身を引け。 今ならまだ体裁も保てる。 せめてもの雪菜への詫びと思え!』

『あと、この二年、祖母と母の面倒を見てくれた礼だ。 金はきっちりやる。 だが、それ以上は期待するな。 今のお前がどんな立場か、よく思い知れ!』

『……どうして黙ってる。 てめえ、今どこにいる?』

あまりにも不自然な沈黙に、陸名隼人は違和感を覚えた。

しかし、その一部始終を聞いていたレスターは、内心で悲鳴を上げていた。

隼人が口を開いた瞬間から、陽向の顔色がみるみる険しくなり、冷たい殺気が部屋に満ちていく。 気圧が下がり、その冷気に足が震えるほどだった。

陽向は端正な顔を曇らせ、血なまぐさい笑みを浮かべた。 「陸名隼人……お前は彼女に、そんな口の利き方をするのか」

――お前に、その資格があると?

隼人は一瞬言葉を失い、相手が尋常でないことを直感して眉をひそめた。 「お前は誰だ?陸名星蘭はどこにいる?」

陽向は部屋で眠る星蘭を一瞥し、無意識に口調が和らぐ。 「彼女は眠っている」

「俺の傍でな」

その言葉に、隼人は激怒した。 「……何だって?」

「お前、一体誰なんだ!」

その怒りに対し、 陽向は気だるげに、 しかし鋭い冷笑を返した。 「焦るな。 生きて俺に会えたその時に、 改めて聞け」 そう言って、 彼は一方的に電話を切った。

翌日、星蘭が目を覚ますと、窓の外は雨上がりの青空が広がっていた。

スマートフォンを手に取ると、陸名隼人からの罵詈雑言と着信の嵐である。 一通り目を通すと、彼女はスマートフォンを放り出し、シャワーを浴びることにした。

浴室で、鏡に映る自分を見つめ、星蘭は久しぶりに内から湧き上がる生気のようなものを感じた。

唇をゆっくりと持ち上げてみると、その笑みはもはや、目に届かない空虚なものではなかった。 あの高熱は、まるで過去の自分を焼き尽くしたようだった。 詰め込んだ哀しみも、こだわりも、すべて灰になったかのように。

長年演じてきた愚かな女の役は、もう終わりにしよう。

シャワーを浴び終えると、彼女はスマートフォンの連絡先をスクロールし、ある懐かしくも謎めいた番号に折り返し電話をかけた。

呼び出し音が一度鳴ったかならないうちに、 興奮した声が飛び込んできた。 『ヴィーナス! やっと出てくれた! 離婚するって本当?! 本当なんだろうな?! 早く教えてくれよ!』

電話の向こうで何人かが押し合いへし合いしているような雑音から、大勢が耳を傾けているのがわかった。

『今日、サインしてくる』

案の定、彼女がそう言うと、電話口はたちまち歓声に包まれた。 グラスのぶつかる音、口笛、そして誰かの掛け声が入り混じり、お祭り騒ぎのようだった。

『やったあああ! 神様ありがとう! ついに恋愛脳が治ったのか?! 家庭主婦ごっこ、 満期終了?! 俺たちの女神、 ついにカムバーク? !』

『離婚万歳! ヴィーナス、 陸名隼人みたいなクズ男、 お前さんにふさわしいわけないだろ!一声かけてくれよ、 今すぐあいつのアソコぶっ飛ばしてやるからな!』

『そうそう、あの陸名家だって大したことないしな! 去年の世界金融危機の時、お前が手を打たなきゃ、陸名家の技術株なんてとっくに沈んでたぜ!ヴィーナス、帰ってこいよ。 お前の後ろには、俺たち『イデアの園』がついてるんだ!』

彼らの熱狂ぶりに、星蘭は思わず笑みを零した。 「じゃあ、まずは車を用意して」

すると、一人の男が弾けるような声で答えた。 「車だけ?女神の帰還を祝して、世界エフワン総合チャンピオンが、直々にお迎えに上がりますよ!」

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