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冷遇令嬢、実は天才。婚約破棄した彼らにざまぁ! の小説カバー

冷遇令嬢、実は天才。婚約破棄した彼らにざまぁ!

桜井陽葵は、家族から「無能で醜い」と蔑まれ、冷遇される日々を送っていた。対照的に継母の娘・莉子は才色兼備と謳われ、名家・高木家の後継者である峻一との結婚を控え、陽葵を「一生私の足元にいろ」と見下していた。しかし、運命の結婚式当日、人々が目にしたのは峻一の妻として現れた陽葵の姿だった。誰もが「すぐに捨てられる」と嘲笑し、彼女の追放を待ち望んだが、事態は予想外の展開を見せる。陽葵の正体は、医薬界の女王や金融界の大物、さらにはAI界の権威といった、世界を揺るがす天才的な顔をいくつも持つ真の実力者だったのだ。次々と明かされる驚愕の真実を前に、汐風市は騒然となり、かつて彼女を侮辱した山口家や幼なじみは激しく後悔し、手のひらを返して媚び始める。だが、峻一が世界に向けて公開したのは、誰もが息を呑むほど美しい陽葵の素顔だった。SNSを瞬く間に席巻し、真の姿を現した彼女の逆転劇が今始まる。
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3

高木家の跡継ぎが妻を娶る――その儀式は、何もかもが豪華絢爛を極めていた。中でも、花嫁のために誂えられたウェディングドレスは、前代未聞と呼ぶにふさわしい逸品だった。

噂によれば、四十万粒ものダイヤモンドと真珠が散りばめられ、その価値は数十億円を超えるという。妹である山口莉子が、このドレスを纏って衆目の前で輝く日をどれほど夢見てきたことか。

山口家と高木家では、その家格に天と地ほどの開きがある。山口梓と山口尚矢は世間体を取り繕うため、高木家の格に見合おうと必死に背伸びをした。百億円もの持参金を準備し、娘を華々しく嫁がせ、街中の羨望を一身に集めるはずだった。だが、そのすべてが、結果として桜井陽葵の手に渡ってしまったのだ。

空輸されてきたウェディングドレスが陽葵の身を飾り、山口家が半身をもがれる思いで用意した持参金も、ことごとく彼女の懐に収まることになった。梓、尚矢、莉子の三人は、怒りのあまり血を吐く思いだった。

一方の陽葵は、何度吹き出しそうになったか分からない。だが、高木峻一という氷の塊のような男が隣にいる手前、必死に笑いをこらえていた。

(この男は危険人物だわ。慎重に対応しないと。それに、勝手に籍を入れられた件も、徹底的に調査しなくちゃ)

山口家の屋敷の外には、大勢の報道陣が詰めかけていた。花嫁が交代したという前代未聞のスキャンダルを嗅ぎつけられる前に、高木峻一は用意されていたウェディングカーを捨て、プライベートヘリで花嫁を迎えに来たのだ。

ヘリコプターが陽葵と峻一を乗せて山口家から飛び去った後、莉子は身も世もなく泣き崩れた。「お母様、私の『汐風市一の富豪の妻』になる夢は、こうして打ち砕かれてしまうの?」

「砕けたりしないわ!」梓の瞳が、毒々しい光を放った。

「高木峻一が、あんな醜女を、それも何者かの計略で押し付けられた女を、心から妻として受け入れると思う? ……新婚初夜を越すこともなく、非業の死を遂げるかもしれないわよ!」

莉子の目に、ぱっと光が灯った。「お母様、それって……峻一さんが、自ら『妻に先立たれた夫』になる、ということ?」

「ふふっ」と梓は笑った。「陽葵が死ねば、高木峻一はあなたの元へ戻ってくる。 あなたが『汐風市一の令嬢』という称号を守り続ける限り、富豪一位の妻の座は、遅かれ早かれあなたのものよ」

梓と莉子が、峻一が陽葵を手に掛ける可能性を考えたように、陽葵自身もその危険性を察していないわけがなかった。

高木峻一という男には会ったこともなかったが、その名は雷鳴のように世に轟いている。冷酷無比、非情にして残忍。生きる閻魔とさえ呼ばれ、彼に逆らった者は、死ぬか、あるいは死んだ方がましなほどの苦しみを味わうという。この巨大な魔王を、下手に怒らせるわけにはいかない。

だから陽葵は、結婚式の最中はずっと従順な子羊を演じ、新居の寝室へ通されてからも、ベッドの端に規律正しく腰掛け、一言も発さずにいた。

峻一は黒のスーツを脱ぐと、ベッドの向かいにあるソファに腰を下ろし、その視線を陽葵へと注いだ。二筋の光はまるでX線のように、彼女の肌の毛穴一つひとつまでも見透かさんばかりの鋭さだった。

昼間、爆発したような髪と醜いメイクで、直視するのも憚られるほど醜かった女。それが今、華麗なウェディングドレスを纏い、顔と頭を精緻なヴェールで覆った姿は、すらりとした立ち姿と輝く玉の肌と相まって、えも言われぬ美しさを醸し出していた。

噂では、彼女は五歳の時に悪戯で火事を起こし、屋敷を全焼させ、実の母を火の海に葬ったという。彼女自身もその火事で顔に醜い火傷を負い、占い師にさえ「災いの星」と断じられたと聞く。

彼女は世間知らずの愚鈍な娘のはずだった。だが、どう見てもそうは思えない。あの娘の澄んだ瞳の奥には、どれほどの狡猾さと計算が隠されていることか。

先ほど、莉子が彼女に掴みかかろうとした時、陽葵は素早く彼の背後へと身を隠した。常人には分からなかっただろうが、彼の目にははっきりと見えていた。武術の素養がない者には到底不可能な、羽のように軽やかな身のこなしを。

だが、そんなことは些事だ。彼が気にしているのはただ一つ。二人の名が、どうやって一枚の婚姻届に記されるに至ったのか。

(一体、誰がこれほどの力を持って、俺の知らぬ間に妻をあてがったのか? その目的は何だ? そして桜井陽葵本人は、本当に何も知らないと?)

「昼間は随分と口が達者だったようだが、今はなぜ黙っている?」 静寂を破る男の声が部屋に響いた。その声に含まれた冷気は、まるで肌を刺す風のように、陽葵を震えさせた。

「……えっと、その、高木様というあまりに高い場所に、意図せずして登ってしまいましたので……気が引けてしまって……」

今は高木家にいるのだ。従順にすべき時は従順に、媚びるべき時は媚びる。そうすれば、多くの面倒を避けられるはずだ。

「……ふっ!」峻一は、鼻で笑った。

(どの口が言うか。この嘘つきめが。莉子の前で俺を『旦那様』と呼んだ時、微塵も気が引けているようには見えなかったがな。いつまでその芝居が続くか、見ものだ)

自分が信じられていないことは、陽葵にも分かっていた。信じさせるつもりもない。ただ、彼に弱みを握られ、処分されることだけは避けたかった。

彼女が内心で算盤を弾いていると、不意に男が立ち上がり、長い脚でこちらへ向かってくるのが見えた。

陽葵が状況を飲み込むより早く、彼は身を屈めると、彼女の体をひょいと横抱きに抱え上げた。

不意打ちのお姫様抱っこに、陽葵の心臓は激しく跳ねる。「た、高木様、何を……!?」

男は彼女を腕の中に閉じ込めたまま見下ろし、その唇の端に、悪魔的な笑みを浮かべた。「高木夫人。新婚初夜だ。新婚の夫婦である我々が、何をすべきだと思う?」

次の瞬間、視界がぐるりと反転し、彼女はベッドの上へ押し倒されていた。

柔らかなマットレスが、彼女の体を大きく弾ませる。鼻腔を満たすのは、彼の濃厚な男性的な香り。陽葵は完全に思考が停止した。 (今のこの醜悪な姿の私を、本気で抱く気だというの!?)

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