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恋人に裏切られ、結ばれたのは義弟でした の小説カバー

恋人に裏切られ、結ばれたのは義弟でした

視力が回復したその時、私は衝撃の事実に直面する。夫だと思っていた男は、最愛の人ではなくその弟だったのだ。かつて私を救うために「本命の女性と縁を切る」と誓った恋人は、あろうことか隣室で彼女と甘い時間を過ごしていた。壁越しに聞こえてきたのは、兄弟の歪な会話だ。私の失明に責任を感じる弟が兄を問い詰めるが、兄は面倒そうに「あと一ヶ月で世話は終わる」と言い放つ。さらに、私への情愛を覗かせる弟に対し、兄は「これは偽装結婚に過ぎない」と冷たく釘を刺した。裏切りを知った私は、視力が戻ったことを誰にも明かさず、静かに復讐の時を待つ。そして約束の期限が迫る二十九日目、私は弟の手を引き、正式に婚姻届を提出した。裏切り者の兄を差し置いて「義弟の妻」という立場を手に入れた私は、この皮肉な関係をもう少しだけ堪能しようと心に決める。愛と嘘が交錯する中で、偽りの結婚生活は新たな局面へと動き出す。
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3

私は黙ってベッドへ戻った。目が回復したことは、まだ誰にも告げていない。

ただ、以前は目が見えないことを理由に、あまり外に出たがらなかった。

今は、庭に座って過ごす時間の方が好きになった。

いつもイヤホンをつけて音楽を聴くふりをしているが、音は何も流れていない。

数日前まで、沈遂と林梓微は私が何かを聞きつけるのを恐れてか、ほとんど外に出てこなかった。

だが、やがて二人は人目を憚らなくなった。

一ヶ月の期限まで残り二十日となった日、林梓微が沈遂を脅した。「まだ帰る気があるなら、屋敷の入り口にあるあの桃の木を二本とも切り倒してちょうだい。見てるだけで虫唾が走るわ!」

沈遂は不快そうに顔をしかめる。「あれは渺渺が気に入っていた木だ。切れるわけないだろ!」

林梓微は冷たく言い放つ。「十年、私のそばにいると約束したわよね。この十年間は私の要求なら何でも聞くと言ったはずよ。忘れたの?」

「切らないなら、今すぐ時渺に本当のことを教えてやるわ!」

そう言って、彼女は私の方へ向かう素振りを見せる。

私は何も気づかぬふりをしている。だが、沈遂は焦りを露わにした。「やめろ!切ればいいんだろ!」

林梓微は勝ち誇ったように笑い、満足げに腰を下ろした。

その日の午後、二本の桃の木は根こそぎ引き抜かれた。

沈淮が私のそばにしゃがみ込み、複雑な眼差しでその光景を眺めている。

私は静かに尋ねた。「外で何をしているの?」

彼の声は重く、諦めたような響きがあった。「風水の先生が、あの桃の木は良くないと言ったそうだ。だから切るしかないと」

「渺渺、君は……」

「そう」

私は気にもかけないという風に眉を上げると、「それなら、仕方ないわね」と言った。

沈淮は少し驚いたように私を見つめたが、結局何も言わなかった。

やがて、彼は私の手を引いて家の中へと戻った。

それからの数日、林梓微は同じ手口を繰り返した。

沈遂に庭の君子蘭を運び出させ、池の錦鯉をすくい取らせた。

私がいつも餌付けしていた二匹の野良猫でさえ、ぱったりと姿を見せなくなった。

沈遂はそのたびに激しく憤るのだが、林梓微が私のところへ行くと脅せば、たちまち折れてしまうのだった。

君子蘭の鉢が一つ、また一つと運び出されていく。彼は低い塀越しに私の姿を見つめ、自分に言い聞かせるようにつぶやいた。「大丈夫だ。どうせ今の渺渺には何も見えない。 俺が戻ったら、またすべて元通りにしてやる」

だが、彼は本当に戻ってこられるのだろうか。

心の中で冷笑し、私は沈淮を呼んだ。そして、沈遂に見せつけるように、彼の唇に口づけた。

カシャン!と音がして、沈遂の手から何かが滑り落ちた。

私はわざとそちらに顔を向け、沈淮に尋ねる。「何の音?」

沈淮は息を呑んだが、何も答えなかった。

ただ、私の後頭部に手を添え、口づけを深くするだけである。

彼の唇からは、まとわりつくような情愛が伝わってくる。

残された時間がわずかだと知っているからこその、慈しむような口づけ。

しかし、それ以上に強かったのは、挑発の色だった。

沈遂に対する、あからさまな挑発。

この十年、私から求めない限り、沈淮が自ら触れてくることは滅多になかった。

抱きしめられ、肌を寄せ合うことはあっても、それ以上の行為は決してなかった。

腹が立って、こう問い詰めたこともある。「私が盲目だから嫌なの?つまらない?」

沈淮はいつも、ため息まじりに答えるだけだった。「渺渺、君を傷つけたくないだけなんだ」

私を傷つけたくない。兄を傷つけたくない。そして、自分自身も傷つけたくない。

だから彼は、ひたすら耐え、欲望を抑制し続けてきたのだ。

では、隣の二人はどうだ?

沈遂が私のために、十年も貞淑を守り通すなどあり得るだろうか。

信じられるはずもない。

唇が離れ、私は軽く息を弾ませながら、何気ないふうを装って尋ねた。

「阿遂、あなたの弟さん、まだ帰国していないの?」

「なぜ、そんなことを?」

沈淮の全身が、目に見えて硬直した。

「別に。ただ、もう長いこと弟さんの話を聞かないから、どうしているのかと思って」

沈淮は安堵の息を漏らし、無意識に隣の庭へ視線を送った。

そこでは、沈遂がまなじりを決してこちらを睨みつけている。その目は真っ赤に充血していた。

先ほどの、沈淮が深めた口づけに激しい不満を抱いているのは明らかだった。

沈淮は視線を戻し、目を伏せる。「会いたいなら、もう少し待てば……」

「別に興味はないわ」

私は彼の言葉を遮る。「一度会ったきりだけれど、ふと思い出しただけ。あなたたち兄弟、きっと仲が良くないのね」

「義姉になる私が、わざわざ会うべき相手でもないわ」

彼の傍らに下ろされた手が、ゆっくりと拳を握りしめていく。その瞳から光が失われた。

しばらく待ってみたが、彼が真実を打ち明ける気配はない。私は心の中で、静かにため息をついた。

一ヶ月の期限まで、残り七日。

沈淮、あなたに残された時間はもうないのよ!

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