
結婚記念日が復讐記念日になるなんて
章 3
親友の仕事は、驚くほど早かった。
一日も経たないうちに、暗号化されたファイルが私のメールボックスに届いていた。
「度肝を抜かれたわ。今年のクズ男・オブ・ザ・イヤーね。八つ裂きにしても飽き足らない」そんなメッセージが添えられていた。
ファイルを開くと、その内容は想像を絶するほど衝撃的だった。
周翰――私の、あの優しくて思いやりのある、一代で成功を築いた夫は、根っからの詐欺師だったのである。
彼は、山奥から大学に出てきた貧しい青年などではなかった。
彼の父親はかつて小さな建設業を営んでいたが、手抜き工事で死亡事故を起こし、全財産を失ったばかりか、高利貸しから莫大な借金を抱えていた。
そして、その借金の返済に充てられたのが、私の両親が遺してくれた遺産だったのだ。
結婚して二年目のこと。将来性のあるプロジェクトに投資したい、と彼に言いくるめられ、私はそれを信じ、口座のパスワードまで教えてしまった。
彼はその金で、実家の底なし沼を埋めたのである。
それだけではない。私たちが共に立ち上げた「雅翰デザイン」にも、彼はとうの昔に不正な手を伸ばしていた。
職権を濫用し、プロジェクト費用を水増し請求したり、偽の購入契約書を作成したりする手口で、三年もの間に会社の利益の七割近くを海外口座に移していたのだ。
その口座の名義人は、彼の母親だった。
そして、あの許婉晴も、偶然出会った運命の相手などではなかった。
彼女は周翰の故郷にいる遠縁の娘で、高校を卒業するとすぐに社会に出ていた。周翰と彼の母親が、私のために周到に用意した「代理出産のための道具」だったのである。
彼らの計画は、まさに天衣無縫だった。
許婉晴が子供を産んだ後、周翰は私が「子供を産めない」上に「精神的に病んでいる」ことを理由に、離婚訴訟を起こす手はずだった。
そうなれば、彼が捏造した「私が会社に損害を与えた証拠」と、「感情のコントロールができないという事実」が決定打となり、裁判官は子供の親権と財産の大部分を彼に認めるだろう。
そして私には、莫大な借金と、地に堕ちた評判だけが残る。
なんという壮大な筋書きだろうか。
パソコンの画面に映る、一枚一枚偽造された署名を見つめながら、私は全身が冷たくなっていくのを感じた。
私が三年間愛し続けた男が、私に近づいたこと自体、初めから周到に計画された詐欺だったのである。
彼の愛の言葉の一つ一つ、その抱擁の一つ一つの裏に、最も悪質な企みが隠されていたのだ。
携帯電話が鳴った。周翰からだった。
「ハニー、煮込みの材料は全部買ってきたよ。今下ごしらえしてるから、最高のディナーを楽しみにしてて」
彼の声はいつもと変わらず優しく、まるで私たちが今もなお、深く愛し合っている夫婦であるかのようだった。
私は胃から込み上げてくる吐き気を必死にこらえ、とろけるように甘い声で言った。「あなたって本当に素敵。愛してるわ」
「僕も愛してるよ、僕の小雅」
電話を切ると、私はすべての証拠をまとめて弁護士に送信した。
それから、周翰が一番好きだと言っていた赤いロングドレスに着替え、念入りに化粧を施した。
今夜、この食卓で繰り広げられるショーの主役は、私なのだから。
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