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エースの罠 の小説カバー

エースの罠

7年前、エメラルド・ハットンは癒えない傷を抱え、愛する家族や友人のすべてを捨ててニューヨークへと逃れた。彼女を絶望の淵に突き落としたのは、幼い頃にいじめから救ってくれた、兄の親友への一途な恋心だった。裏切りに遭い、深く傷ついた彼女は、生き抜くために辛い記憶を心の奥底に封印し続けてきた。しかし大学卒業後、エメラルドは運命に導かれるように、避けていた故郷へと戻ることになる。そこで彼女を待ち受けていたのは、冷酷な億万長者へと変貌を遂げたアキレス・バレンシアだった。壮絶な過去を背負い、誰もが恐れる男となったアキレスの心は底知れぬ闇に覆われていたが、唯一、親友の妹である彼女だけが彼の「光」だった。長い年月を経て再会した彼女を、彼は二度と離さないと誓う。アキレスは彼女を完全に手に入れるため、甘美で危険な誘惑のゲームを開始する。次々と仕掛けられる巧妙な罠と、愛と欲望が渦巻く炎の中で、エメラルドは自分の心を守り抜くことができるのか。欲しいものは必ず手に入れる男、アキレスが支配するこのゲームから、逃げ出すことは決して許されない。
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3

「お茶はありますか?」

***

4時間半という長いフライトの後、ようやくカリフォルニアに到着すると、両親は待ち合わせの場所で待っていた。 「おかえり」と書かれたプラカードを掲げて、ママは会うなり、いつにもまして私を熱烈に抱きしめた。パパの方は、やっと帰ってきたことに安心している。 今回は、たった2週間の帰省だけど。

高校進学のため、ニューヨークに越すと決心した日から今まで、パパは私のことをずっと心配してくれたし、 ママも気を揉んでいた。 確かに、遠く離れて暮らすことは、簡単なことではなかったけど、この町で暮らす方が、私にとっては辛かった。

傷ついた心を癒すには、時間が必要だった。 それに、距離も。 あの夜の記憶が蘇るたび、心を閉ざし、記憶の奥に葬り去った。 この7年間、ずっとそう過ごしてきた。

そうして、前を向いて進んできた。

「おかえり!かわいいお嬢ちゃん」 敷居に足を踏み入れるなり、兄のトビアスが、骨が折れそうになるくらい、ぎゅっと抱きしめた。 「おや! 大人っぽくなったなあ!」と兄が言った。

その言葉に呆れて、兄を見ている。 「2ヶ月前に会ったばかりじゃない」

「そうだな。でも会いたくて仕方がなかったから、ずいぶん長い間会っていないように感じるよ」懐かしさで目を潤ませながら、兄は答えた。

私はにっこりした。 出張でニューヨークに来ると必ず、会いに来てくれたけれど、 私も、ずっと会いたいと思っていた。

「私は別に会いたくないわよ」 と、生真面目な表情を装って彼をからかった。

兄はくすくす笑いながら、青ざめた顔で10分おきにトイレを往復するワーナーに目を向けた。 ワーナーは、今にも気絶しそう。 父と握手をする前にトイレに駆け込むことになってしまい、とてもバツの悪い顔をしている。

これこそ、両親に印象づける方法!

両親との顔合わせがうまくいくように、と願っていたけど、 もうパパは、ワーナーをこれ以上嫌いになれないわ。

「ワーナーは、あまりにもいい人すぎる」と、パパは電話で言っていたっけ。 どういうわけか、パパは私が交際していると言っても、賛成してくれなかった。

「やあ、ワーナー! お会いできて嬉しいよ!」 トビアスがワーナーに横から抱きついた。 「君、大丈夫? 具合悪そうだね」

「たいしたことないです、ちょっとお腹の調子が悪いだけで。 お兄さんにお会いできて光栄です」 突然、何者かがワーナーの腸にパンチを入れたかのように、表情がねじれた。 「ええと、すみません…」

「右に行って、そのまま真っすぐ。最初のドアです。 ゲストルームを使ってください」パパは不機嫌そうに教えた。

「ありがとうございます」と言って、彼は走っていった。

私はため息をついた。

事情を、パパに説明しなくては。 ワーナーは、まだパパの口調に気づいてないけれど、すぐ気づくだろう。

「お気の毒ね」とママはぽつりと言って、さりげなくパパに責めるような視線を送ったが、パパは無視して部屋に入っていった。 ママはかぶりを振って、私の目を見つめた。 「エミー、お部屋に上がって休んできたら。 ママ、何かさっと作るわね」

私がうなずくと、ママは、パパの後に続いた。 間違いなく、パパの意見を聞くつもりだ。

階段を上がるとき、トビアスが私の肩に手をかけた。 「それで? あの彼と続けるつもり?」

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