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ウェディングドレスを破り捨て、私は大富豪の腕に堕ちる。 の小説カバー

ウェディングドレスを破り捨て、私は大富豪の腕に堕ちる。

前世の藤原結衣は、愛する高橋悠真のためにその身を捧げ尽くした。暴漢の刃から彼を庇い、多額の資金援助で会社を支えたが、悠真の心に彼女の居場所はなかった。彼は初恋の星野美月を追い続け、結婚式当日ですら結衣を捨てて美月のもとへ向かった。悠真にとって結衣は道具に過ぎず、最後には彼女から腎臓さえも奪い去った。そんな絶望の果て、結衣は自らの結婚式の最中へと回帰を果たす。彼女は迷わずウェディング写真を叩き割り、悲劇の始まりだったはずの結婚を自らの手で破棄した。未練を断ち切られた悠真は、皮肉にも執着を見せ始め、犬のように跪いて許しを乞うようになる。しかし、冷徹な視線を送る結衣が再び彼を選ぶことはなかった。彼女が背を向けて飛び込んだのは、圧倒的な権力を持つ冷酷な男の腕の中だ。男は結衣の腰を抱き寄せ、絶望する悠真を冷たく見下ろすと、彼女が自身の妻であることを宣言した。復讐と愛が交錯する中、結衣は新たな運命を切り拓いていく。
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3

藤原結衣はホテルを後にすると、瞳に浮かべていた笑みを一瞬にして鋭い眼差しへと変えた。

神崎蒼真の件は片付いた。次は高橋家へ戻り、自分のものを取り戻す番だ。

高橋家。

結衣が高橋家に足を踏み入れると、ソファに座る中年の女が目に飛び込んできた。豪奢な服に身を包み、身なりは整えられていたが、その顔にはあからさまな怒りが浮かんでいる。

相手は高橋悠真の母親である高橋玲子だ。

結衣が戻ってきたのを見ると、彼女は眉を深くひそめた。

結婚式では来客が多くて結衣を叱りつけることができなかったが、こうして家に戻ってきたからには、きっちりと躾けてやらねば気が済まなかった。

彼女は結衣の前に歩み寄り、詰問するような口調で言った。「藤原結衣、あんた頭でもおかしくなったの! うちの息子が美月をブライズメイドにしたくらいで、あんな騒ぎを起こすなんて!高橋家の顔に泥を塗る気!」

結衣は冷笑を浮かべて言い返した。「ただのブライズメイド、ですって? もし自分の新郎が、花嫁である自分よりも着飾った初恋の女を連れてきて、ブライズメイドにすると言い出したら、あなたは我慢できるんですか?」

そう口にした途端、結衣は胸が張り裂けそうな痛みに襲われ、息もできないほどだった。

彼女は目を赤くし、血の滲むような思いを込めて言い放った。「高橋家の顔に泥を塗ったと言いますが、悠真は一瞬でも私を尊重してくれたことがありましたか? 彼に資金がない時は、私が一晩中酒をがぶ飲みして出資を取り付けました。彼に人脈がない時は、私の繋がりをすべて彼に提供しました。彼が刺されそうになった時は、私が前に立ちはだかり、この身であの刃を受け止めたんです! それなのに彼は結婚式で、初恋の女を連れてきてブライズメイドにすると言ったんです。玲子さん、私が高橋家の顔を潰したんじゃありません。高橋家が私を裏切ったんです!」

彼女は怨みを込めて玲子を睨みつけた。その眼差しは、命を刈り取る悪鬼のように鋭かった。

結衣の気迫に、玲子は思わず背筋を凍らせた。

だが、すぐに虚勢を張って手を振り上げた。「藤原結衣、このクズ女!うちの息子の名誉を傷つけるんじゃないわよ!今日は姑として、きっちり躾け直してやる!」

玲子の平手が結衣の頬を打とうとしたその瞬間、結衣は鋭い目つきでその手首を掴み、逆に玲子の頬を力いっぱい張り飛ばした。

「パァン!」

玲子の顔は瞬く間に赤く腫れ上がった。

彼女が悲鳴を上げるよりも早く、冷たく苛立ちを含んだ男の声が響いた。「結衣、もういい加減にしろ!」

大股で部屋に入ってきた悠真は、うんざりした目を向けていた。「結衣、俺が美月をブライズメイドにしたのが不満なのは分かってる。なら、次の結婚式では美月をブライズメイドにしなければいいだけの話だろ? 母さんに謝りさえすれば、お前をこれからも妻でいさせてやってもいい!」

その時、星野美月の弱々しい声が響いた。「そうですよ結衣さん、玲子おばさんは一応目上の方なんですから」

結衣は美月の前に歩み寄り、その蒼白でか弱そうな顔を鋭く睨みつけた。「星野美月、よくもまあそんな厚かましいことが言えるわね!」

美月は胸を押さえ、ひどくショックを受けたような素振りを見せた。「ゆ、結衣さん、どうしてそんなひどいことを言うの。私、悲しい……悠真さん……私って、この世に生きているだけで人に嫌われちゃうのかな。もう生きてる意味なんてないみたい」

悠真は心配そうに美月の腰を抱き寄せ、整った顔に怒りを露わにした。「藤原結衣!美月がやっと死ぬのを諦めてくれたのに、なんでそんな風に追い詰めるんだ!もし彼女に何かあったら……!」

彼がさらに何かを言いかけようとした時、結衣はキッチンへと歩いていき、しばらくして包丁を手に戻ってきた。

結衣が包丁を手に自分の方へ向かってくるのを見て、美月は恐怖で腰を抜かしそうになった。「悠真さん……!」

悠真は美月の前に立ちはだかり、彼女を庇った。「結衣、言っておくが、美月を傷つけることだけは絶対に許さないぞ」

結衣は瞳の奥の憎しみを隠し、無理やり笑みを作ってみせた。「怖がらないで、星野さん」

「あなたに何かするつもりなんてないわ。この包丁は、私からあなたたちへの結婚祝いよ。星野さん、死ぬのがお好きなんでしょう? だったら、この包丁をあげる。これから死にたくなったら睡眠薬なんて飲まなくていいわよ。一振りすれば、もっと手っ取り早く死ねるから!」

結衣は包丁をドンッとテーブルに叩きつけた。

美月は完全に腰を抜かし、そのまま床にへたり込んだ。

結衣は背を向けて自分の寝室へと入り、自分の荷物と祖母の形見をまとめると部屋を出た。そのまま立ち去ろうとした時、玲子が彼女を呼び止めた。

「待ちなさい!何を持って行く気!高橋家のものを盗む気じゃないでしょうね!」

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