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婚約破棄当日、彼女は帝都の御曹司の禁断の花嫁となった の小説カバー

婚約破棄当日、彼女は帝都の御曹司の禁断の花嫁となった

結婚式を目前に控えた宮沢沙織は、婚約者と実姉の不貞を映した映像を突きつけられ、残酷な破局を迎える。参列者からの嘲笑を浴び、ワインで汚れたドレスを脱ぎ捨てて激しい雨の中へ飛び出した彼女は、偶然通りかかった高級車を止め、車内にいた見知らぬ男に復讐心から強引なキスを仕掛けた。その場限りの過ちで終わるはずだったが、相手は帝都で強大な権力を誇る上田家の御曹司、上田拓海であった。翌朝、沙織のアパートを訪れた元婚約者は、冷酷無慈悲と恐れられる拓海がエプロンを纏い、献身的に朝食を作る姿を目撃し愕然とする。拓海は沙織の腰を力強く引き寄せ、逃がさないと言わんばかりにその首筋に顔を埋めた。そして独占欲に満ちた瞳で、冷徹かつ官能的に囁く。「選べ、俺かあいつか。もし選択を間違えれば……一生檻に閉じ込めて、俺だけを見続けることになるぞ」。最悪の裏切りから始まった運命は、帝都の支配者による執着と狂愛に満ちた新生活へと塗り替えられていく。
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「これで、 終わりだとでも? 一晩の約束ではなかったのか? まだ、 たっぷり時間は残っているだろう」

いつの間にか手錠が外れていたことすら理解できないまま、沙織は、狂おしいほど激しい侵略に晒され、その身に宿るすべての理性を、あっけなく奪い去られた。

男の大きな手が、まるで先ほどの彼女の真似をするかのように、荒々しくその唇を塞いだ。 目尻は痛々しいほどに赤く染まり、止めどなく溢れる涙は枕を濡らす。 嗚咽が喉の奥から漏れ出るばかりで、ただその全てを受け入れるしかなかった。

「一晩」という言葉は、文字通り、夜が明けるまでの時間を指していた。

沙織は、その夜、自分が何度意識を失ったのか、もはや数えることもできなかった。 男は、飽くことを知らない獰 猛な野獣のように、沙織の体の奥底、骨の髄までを貪り尽くした。

ようやく夜が明け、沙織が力なく散らばったドレスを拾い上げ、身につけようとしたその時、もう、振り返ってあの男の顔を見るだけの勇気は、寸毫も残されていなかった。

声も出ないほど枯れ果てた喉が、それでも必死に、最後の警告を放った。

「事故現場の動画は、確かに保存してあるわ。 このドアを出たなら、私たちはもう赤の他人。 余計な口は慎みなさい」

その背後から、男の気だるげな、しかし確かな声が響いた。 その声には、深い満足と、獲物を手に入れたような喜びが満ち溢れていた。

「奇遇だな、お嬢様。 事故の動画なら、俺もちゃんと保存してあるぜ」

沙織は、男の言葉に隠された真意に気づくことなく、震える手でバッグを掴み、ドアへと足を引きずった。

力なく揺れる腰は、もはや自身の体重を支えきれず、今にもよろめいて倒れそうだった。

男の意地の悪い、嘲るような笑い声が、低く、しかし明確に響き渡った。

「本当に、もう一眠りしないのか?」

(このクズ!)

沙織によって、部屋のドアは乱暴に、そして激しい音を立てて閉められた。 その最後の力は、まるで男の顔に直接叩きつけるかのような、痛ましいほどの怒りを帯びていた。

しかし、沙織は気づかなかった。 その背後で、男が彼女に送る視線が、狂気にも似た、深い独占欲を宿していたことを。

ホテルのロビーに設置された大型液晶テレビからは、リアルタイムのニュースがけたたましく流れていた。

「京州の名家が絡む縁談にスキャンダル。 松本家の御曹司、結婚を強要されたか。 婚約の席で不機嫌なまま退席。 宮沢家の令嬢、ぬか喜びに終わる」

「松本家の御曹司は、宮沢家の令嬢の姉と親密な関係にあるという噂も。 姉は前妻の子だが、母親が宮沢家の当主のベッドに返り咲いたからな。 姉妹で嫁が入れ替わる可能性もある」

画面に映し出された女は、まさしく沙織と同じ赤いミニドレスを身につけ、その髪には、祝祭の残骸のようなクラッカーの紙吹雪が点々と絡みついていた。 幸福の象徴であったはずの笑顔は、顔に張り付いたまま硬直しており、無慈悲なカメラによって醜く、そして無残に拡大されていた。

一夜の情事の後、沙織の心は、意外なほど引き裂かれるような痛みを感じていなかった。

これまでの私は、松本海斗という男に、あまりにも執着しすぎていた。 制服姿の学生時代から、共にウェディングドレスを夢見たあの頃まで――そんな、強固な愛だと信じていたからこそ、私は彼にここまで無残に踏みにじられたのだ。

彼以外にも、私を心ゆくまで満足させてくれる男は、きっと存在する。

例えば、昨夜の――底なしの体力で、三百ラウンドでも戦い続けられそうなあの男のように。

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