冷徹旦那様は、結婚後に制御不能 の小説カバー

冷徹旦那様は、結婚後に制御不能

7.8 / 10.0
「冷徹旦那様は、制御不能」は、偽善的と蔑まれていた石川凪と、自制心の強い青木浩司の歪な関係を描く現代のromance novelです。甘い言葉で周囲を欺く凪を軽蔑していた浩司でしたが、彼女が態度を翻したことで理性を失い、執着の渦へと飲み込まれていきます。命を懸けた誘惑と、抑えきれない独占欲が交錯する大人の恋愛模様。人気のweb novelとして、嘘と本音が入り混じる駆け引きの結末を、ぜひオンラインのfiction booksでお楽しみください。
「冷徹旦那様は、結婚後に制御不能」のあらすじ
誰もが見惚れるほどの美貌を持つ石川凪。しかし、彼女が周囲に振りまく甘い言葉は、その場限りの偽善に満ちていた。そんな彼女の振る舞いを、冷徹な青木浩司は心底から軽蔑し、嫌悪していた。二人の間には埋められない溝があるはずだったが、ある時を境に凪は彼への誘惑をぴたりと止めてしまう。執着などないはずの浩司だったが、手の内から擦り抜けていく彼女を前に、これまで保っていた強固な自制心は音を立てて崩れ去っていく。逃がさないと言わんばかりに凪を腕の中へ追い詰め、彼は「俺を誘ってみろ」と低く迫る。対する凪が告げたのは、「命だってあげる」というあまりに重く、狂おしい言葉だった。石川凪という存在に出会ったことで、常に理性的で冷徹だったはずの男は、かつてないほど激しく理性を失い、制御不能な情愛の渦へと飲み込まれていく。偽善から始まった関係が、いつしか互いの魂を削り合うような、逃れられない愛憎劇へと変貌していく。
もっと見る

冷徹旦那様は、結婚後に制御不能 第1章

ドアを開けたとたん、ソファで重なり合う二人の体が目に飛び込んできて、石川凪の頭が真っ白になった。

突然林伸一の家を訪ね、「二年間の遠距離恋愛、ついに終わったよ。これで一緒に暮らせる」と告げたら、きっと驚いて喜んでくれるんだ、と。

まさか、目に飛び込んできたのが、これほど目を背けたくなるような光景だとは思いもしなかった。

凪は拳を握りしめた。ソファの二人はあまりに夢中で、彼女の存在にさえ気づいていない。

込み上げる吐き気を必死に堪え、凪はスマートフォンを取り出し、録画モードにした。

二人が体勢を変えたとき、女がようやく凪に気づき、甲高い悲鳴を上げた。

伸一も驚き、慌てて毛布を引き寄せて体に巻き付け、女を背後にかばった。

「どうして帰ってきたんだ?何してるだ?」

凪は目を赤くして言った。「こんな素晴らしい場面、もちろん記録してSNSにアップしなきゃ」

伸一はそれを聞くと、背後の女が糸一本まとっていないのも構わず、毛布を体に巻き付けてソファから降り、凪のスマホを奪おうとした。

「それ以上一歩でも近づいたら、一斉送信する」凪は脅した。

伸一はまったく信じず、そのまま前へ進んだ。

凪はためらわず一斉送信ボタンを押した。

伸一は呆然とした。

いつもは優しく物分かりのいい女が、まさかこんな非情なことをするとは!

「石川凪、死にたいのか!」 伸一は怒りで額に青筋を立て、凪を殺さんばかりの形相だった。

凪はスマホを掲げた。画面にはすでに110が表示されている。「警察に通報したわ」

伸一は目を見開き、言葉を失った。「お前……」

凪の情け容赦ない、冷酷な様子を見て、伸一は凪を指さした。「いいだろう、お前の勝ちだ!」

凪の瞳は冷ややかだった。

「この二年間、まるでゴミにでもしてたってことにするわ。…いいえ、ゴミ以下ね、あんたは」

伸一の家を出た後、凪は親友の平野奏の家へ向かった。

奏の家で五日間過ごし、その間、奏は伸一を罵り続けた。

その日の朝、奏は凪がスマホを見ながら落ち込んでいるのに気づき、寄り添って凪を抱きしめた。「クズ男一人のために、悲しむ価値なんてないわ」

凪は首を振った。「とっくに悲しくなんかない。 ただ、石川雄一が持ってきた縁談をどうしようか迷ってるだけ」

「何ですって?」

凪の父親が彼女に縁談を持ちかけ、帰ってきて話し合うようしきりに催促していたのだ。

相手は家柄が良く、背が高くてハンサム、しかも一人息子だという。

凪が結婚に同意しさえすれば、相手の家は2000万円の結納金を払い、2ヶ月以内に妊娠すれば20億円のボーナス、子供を一人でも産めば、若奥様として無尽蔵の財産を手にできるという。

奏はそれを聞くと手を叩き、鼻で笑った。「それ、あんたの継母の入れ知恵でしょ。 本当にそんな美味しい話なら、自分の娘を嫁がせないわけないじゃない。 どう見たって罠よ」

「何か内情を知ってるの?」

「言ってること自体は本当よ。 でも、肝心なことを一つ隠してる」

「うん?」

奏は言った。「その人の名前は青木浩司。確かにルックスも財力も実力もあるわ。 昔は九条市の女たちがこぞって彼と結婚したがったものよ。結婚できないまでも、一夜を共にしたいってね」

「青木浩司……」 凪はその名を呟いた。「どこかで聞いたことがあるような」

奏は鼻を鳴らした。「九条市の人なら誰でも知ってる名前よ」

そして続けた。「去年、彼が不治の病って報道されて、余命わずかなんだって。 もともと恋人がいたらしいんだけど、それを知って外国に行っちゃったとか」

「はっきり言うわ、死にゆく男よ。彼と結婚するなんて、死人と結婚するようなものだわ」

なるほど、なかなか悲惨だ。

奏は唇を尖らせた。「継母ができれば実の父親も他人同然、って言うけど、 まさにその通りね。あんたの継母、あんたを嫁がせて未亡人にさせる気よ」

「彼が死んだら、再婚すればいい」

奏は目を見開いた。「ちょっと、本気で考えてるの? あの男、もう病気で弱りきってるんでしょ。今頃どんな不細工になってるか。 それに、こんな土壇場で結婚相手を探すなんて、死ぬ前に自分の子孫を残したいだけでしょ?」

「こんな時にそんなこと考えるなんて、変態よ!」

「でも、見返りが大きい」

「……」

「それに、彼が死ねば財産を相続できる」 凪は淡々とした表情だった。「そうなれば、お金も自由も手に入る。どれだけ多くの人が羨むことか」

奏は呆気にとられた。「あんた、ショックでおかしくなった?」

「本気よ」 凪は真顔になった。「考えたの。愛情なんてもの、幽霊と同じ。噂には聞くけど、見たことはない。 追い求めるだけ無駄よ」

「それに、私たちがこんなに必死で働くのだって、お金を稼いで経済的自由を手に入れるためじゃない? 今、近道があるのに、どうして利用しない手があるの?」

「……なんだか妙に説得力があるんだけど」

凪は笑った。

「それが現実だからよ」

夜、伸一が他人の携帯電話を使って凪に電話をかけてきて、凪を「見かけ倒しの役立たず」と罵った。

電話を切ると、彼はまた別の番号でかけてきた。凪がいくつかの番号を着信拒否にし、ついには電源を切るまで続いた。

翌日、凪が電源を入れると、大量のメッセージがなだれ込んできた。

ほとんどが伸一からで、ありとあらゆる罵詈雑言が並んでいた。

グループチャットは炎上していた。一度も寝たことさえないのに、伸一はそこで凪の胸は豊胸だの、尻軽のくせに清純ぶってるだのといったデマを流していた。

とにかく、一つとして耳に堪えないものはなかった。

凪は深呼吸をした。起こることすべてに理由があると信じようとした。

神様があのクズ男の本性を早く見抜けるよう、あの場面を見せてくれたのだと。

凪は石川雄一に電話をかけ、彼の提案を受け入れた。

父と娘が青木家の大邸宅に着くと、青木浩司の姿はなく、彼の両親が二人を迎えた。

凪が浩司と結婚する意思があると知り、彼らは興奮を隠せない様子だった。

凪の要求はただ一つ、先に入籍することだった。

理由は、法的に有効にするためだ。

結婚式については、不要だと言った。

相手はもちろん異論はなく、むしろ凪が結婚を拒むのではないかと恐れていたほどだった。

双方の合意はとんとん拍子に進み、青木俊一はすぐに役所の職員を自宅に呼び、婚姻届を提出した。

その時になって、凪はようやく浩司の……写真を目にした。

写真の男は奏が言った通り、整った顔立ちで、特にその瞳は深く力強く、人を惹きつけるようだった。

これほどの極上の男、命が残りわずかでなければ、凪に回ってくるはずもなかった。

結婚証明書が凪の手に渡された。凪は合成されたものとはいえ、二人の並んだ写真をじっくりと眺め、まあ良しとした。

青木栞菜が銀行のカードを取り出し、凪に手渡した。式は挙げないが、結納金は変わらず支払われる。 さらに、生活費としてまとまった額が渡された。

とにかく気前が良く、その額の大きさに、凪はカード自体が重く感じられるほどだった。

凪は遠慮せず、堂々と受け取った。

再び結婚証明書に目を落とし、「青木浩司」の四文字を見つめる。 あの男は、両親にこうして「売られた」と知ったら、

いったいどんな気分だろうか。

父親と共に青木家の大邸宅を後にすると、父は満面の笑みを浮かべ、実に上機嫌だった。

「青木家から、ずいぶん見返りをもらったんでしょ」

雄一は一瞬固まり、不自然な表情を浮かべた。「何を言っているんだ」

「とぼけないで」凪は立ち止まって雄一を見据えた。「あなたたちに利益がなかったら、私のことなんて思い出しもしなかったくせに」

雄一は気まずそうな顔をした。「凪……」

凪は手を挙げて、雄一の耳触りのいい言葉を遮った。

凪は先に歩き出し、淡々と言った。 「これで最後よ。

今後、もう連絡しないで」

凪が本当に浩司と結婚したと知り、奏はその場でぐるぐると歩き回った。

だが、もはや手遅れで、後戻りはできなかった。

「あんたのお父さん、本当に酷い。火の穴だってわかってるのに、あんたを突き落とすなんて。 あんたもあんたよ、なんでそんな気前よく入籍しちゃうの? もし彼があんたを虐待しても、籍を入れてなきゃ逃げられた。でも入籍しちゃったら、もし彼があんたを殺そうとしたって、逃げ場なんてないのよ」

奏は焦りと怒りと心配で、目を赤くしていた。

親友が怒ってくれることに、凪は心が温かくなった。彼女は笑って奏をなだめた。「入籍はしたけど、彼の前に顔を出すつもりはないもの」

奏は凪をじっと見つめた。

凪はいたずらっぽく目を輝かせた。我ながら悪辣な考えだと思うが、事実でもある。

「彼、来年の二月まで生きられないって言ってたじゃない? 残り三ヶ月もないわ。まずは隠れてて、彼がもう動けなくなったら、その時に顔を出すの」

凪の計画は完璧だったが、現実はそう簡単ではなかった。

この言葉を口にしてから数日も経たないうちに、凪のところに使いが来た。。

「青木さんが奥様にお会いしたいと仰っています」

続きを読む

冷徹旦那様は、結婚後に制御不能 目次一覧

Ch. 1 Ch. 2 Ch. 3
Ch. 4
Ch. 5
Ch. 6
Ch. 7
Ch. 8
Ch. 9
Ch. 10
Ch. 11
all

おすすめの作品

新着リリース小説

拾った子がまさか億万長者の息子だったなんて!? の小説カバー
8.0
「不妊である」という冷酷な宣告を突きつけられ、清水瞳は四年前、鈴木家を追われるように去った。絶望に打ちひしがれた彼女は、逃げるように辿り着いた地方の町で、激しい雨に打たれ捨てられていた赤ん坊を救い出す。その子を育てる決意をした瞳にとって、息子との暮らしは生きる希望そのものだった。しかし四年後、彼女の質素な住まいに高級車が列をなし、一人の男が現れる。大富豪である天草蓮は、ブラックカードを無造作に差し出し、多額の報酬と引き換えに実子である少年を連れ去ろうとした。瞳は必死に息子を庇い、命を懸けて守り抜く覚悟を鋭い眼差しで蓮にぶつける。我が子を誰にも渡さないと言い放つ彼女の強い意志と、眩しいほどの気高さに触れた蓮は、不敵な笑みを浮かべた。彼は息子を抱き上げるだけでなく、瞳の腕をも強引に引き寄せ、驚くべき宣言をする。子供だけでなく、彼女自身もまとめて自分の手中に収めるというのだ。そこから、孤独な母子と傲慢な億万長者の、新たな運命が動き出す。
九条夫人はもう辞めた!~離婚後、冷徹総裁の修羅場~ の小説カバー
8.1
九条奈央は三年間、夫への献身を尽くす「良妻」として過ごしてきた。深夜の看病や家事の一切を担い、冷え切った家庭に温もりを灯そうと努めてきたが、現実は残酷だった。夫は愛人を抱き寄せ、彼女を「財産目当ての卑しい女」と蔑み、実の息子までもがその女に懐いて奈央を拒絶する。離婚届を突きつけられ罵倒されたことで、彼女の心はついに決した。未練を断ち切り、家を去った奈央は、封印していたデザイナーとしての才能を開花させ、瞬く間に華やかな社交界の主役へと上り詰める。政財界の権力者たちがこぞって求婚するほど輝きを放つ彼女の前に、かつて自分を捨てた夫と息子が現れた。土砂降りの雨の中、膝をついて許しを請い、ようやく彼女の尊さに気づいたと嘆く九条。しかし、傍らに寄り添う新たな伴侶と共に、奈央は優雅な微笑みを浮かべて冷たく言い放つ。自分を蔑ろにした者たちに、もはや差し出す慈悲など残っていない。「すべては手遅れよ」と。失ってから気づいても、かつての献身的な妻が戻ることは二度とないのである。
余命三ヶ月の妻、冷酷な総帥の溺愛に甘える の小説カバー
8.5
末期の胃がんで余命三ヶ月を宣告された静。絶望に打ちひしがれて帰宅した彼女を待っていたのは、怪我を捏造した義妹を盲信し、謝罪を強要する夫と養父母の非情な仕打ちだった。夫に突き飛ばされ、養母からは熱湯を浴びせられ土下座を迫られる静。この六年間、家族のために献身的に尽くしてきたが、誰一人として彼女の誕生日すら覚えていなかった。愛も絆も幻想だったと悟った静は、冷ややかな笑みを浮かべて夫に離婚届を叩きつける。月曜の朝に役所へ来るよう告げ、驚愕する養父母に対しても井上家との絶縁を冷徹に宣言した。すべてを捨て、激しい雨の中で倒れた彼女を救い上げたのは、強大な権力を有する鷹司家の男だった。死を目前にした天才研究員である静は、彼の差し出した手を取り、自分を無価値なゴミのように扱った者たちへの壮絶な復讐を開始する。残されたわずかな時間の中で、彼女は冷酷な総帥の深い寵愛を受けながら、かつての家族を破滅へと追い込んでいく。
植物状態の夫を治した身代わり妻、もはや正体を隠せない の小説カバー
8.3
水野海月は、ある恩義を返すため身代わりとして藤本家に嫁いだ。植物状態だった夫・藤本暁を二年にわたる献身的な看護で救い出したのは、彼への密かな恋心ゆえだった。しかし、暁の意識が戻り元恋人が現れると、彼女の尽くした日々は否定され、無慈悲な離婚届を突きつけられてしまう。海月は潔く署名し、名門から捨てられた女と世間に嘲笑われながらも独り立ち去った。だが、人々は彼女の真の姿を知らない。サーキットを駆ける伝説のレーサー、世界を魅了するデザイナー、闇を支配する天才ハッカー、そして藤本家を幾度も救った神の手を持つ名医。その正体はすべて海月だったのである。真実を悟り、後悔の念に駆られて復縁を乞う元夫。しかし、そんな彼の前に京の実業界を統べる冷徹な支配者が立ちはだかる。彼は海月を抱き寄せ、「俺の妻に手を出すな」と冷然と言い放った。ただの借金関係だと思っていた男の豹変に、海月は困惑するばかり。多才な素顔を隠し持っていた「身代わり妻」の、華麗なる逆転劇が幕を開ける。
氷の帝王の執着:逃げられない契約結婚 の小説カバー
8.7
切迫流産で入院した主人公は、婚約者である蓮の帰国を信じて待っていた。しかし再会した妹の雅から、自分を薬漬けにし見知らぬ男に抱かせたのは彼女の罠だったと告げられる。さらに雅は自作自演で被害者を装い、蓮は事実を確かめぬまま「目に見えるものしか信じない」と婚約を破棄した。絶望し雨の路上へ飛び出した彼女は、トラックに撥ねられお腹の子と共に命を落としかける。裏切りへの憎悪を胸に五年後、どん底から這い上がった彼女の前に、日本を支配する細川財閥のCEO・暁が現れる。命を救った少年の父である彼から結婚を迫られるが、今の彼女が望むのは誰の庇護でもない。自分から全てを奪った者たちを地獄へ突き落とすため、彼女は冷徹な復讐劇を開始する。
振り向かないお嬢様は、京の大物に骨まで寵愛される の小説カバー
8.3
幼い頃から天野健吾を慕い、彼に相応しい花嫁になるため、舞踊や作法を完璧に身につけてきた新井裕美。しかし、健吾が彼女に返したのは、度重なる無視と冷酷な拒絶だった。命の危機にさらされた際にも見捨てられたことで、裕美は彼への愛が微塵もないことを悟り、決別を決意する。執着を捨て去り、本来の自分を取り戻した彼女は、没落しかけていた新井家を京都の頂点へと押し上げ、社交界で最も輝く存在へと成長を遂げた。かつての面影を失い、凛とした美しさを放つ彼女の瞳に、もう健吾の居場所はない。立場が逆転し、焦燥感に駆られた健吾は「すべてを捧げるから戻ってほしい」と縋り付くが、時すでに遅し。裕美の傍らにいたのは、京都の実権を握る健吾の叔父だった。叔父は、自らのものになった裕美を独占するように、艶やかな痕跡を刻みながら健吾を冷たく突き放す。かつての婚約者を「叔母」と呼ばざるを得ない、残酷で甘美な支配が幕を開ける。
今すぐ読む
共有